ミニ・レビュー
2年5ヵ月ぶりとなるオリジナル・フル・アルバム。1、3、7、12曲目といったヒット・シングルを収録したこの作品は、軽快なナンバーからバラードまで抜群の出来を誇っており、エモーショナルでキャッチーなメロディは相変わらず印象的なものばかりだ。
ガイドコメント
前作『AWAKE』より約2年5ヵ月ぶりとなるオリジナル・フル・アルバム。メンバーそれぞれの多彩なプレイが炸裂した、まさに圧巻の一枚だ。独特の世界観もいっそう洗練されており、バンドの充実ぶりがうかがえる。
収録曲
01SEVENTH HEAVEN
通算29枚目となるシングルは、グルーヴィなメロディに乗せて愛と未来を歌ったポップ・ロック・チューンだ。hydeいわく「皆が踊って盛り上がれるように作った」とのこと。日本テレビ系『スポーツうるぐす』テーマ・ソング。
02Pretty girl
脳の髄まで揺るがす、ken作詞・作曲の低音ロックンロール・チューン。巻き舌調のhydeのヴォーカルが、男っぽい潔さを漂わせる。男女のエロティックな夜を風景のように描いた不思議な詞と激烈サウンドの対比が絶妙。
03MY HEART DRAWS A DREAM
04砂時計
tetsuが作詞・作曲に挑戦した、美しく壮大なミディアム・ロック。“幸せを望む事がその悲劇を呼んでいる”と現代社会を映すような辛辣な詞が、美しいメロディアスの中に鋭く光る。メンバーの演奏の個性を引き出した曲でもある。
05spiral
ブレイクビーツを取り入れ、yukihiroの高度なドラミングが光るロック・チューン。抑揚と緩急を交ぜた豊かな音と太く安定したhydeの歌声、そして“踊れる曲”を意識したドラマティックな曲調に、工夫を凝らした構成が見える。
06ALONE EN LA VIDA
スペイン語で“孤独な人生”という題を付けた、郷愁的なミディアム・ロック。サンタナを思わせる哀愁たっぷりのギターと、人の命を旅にたとえた素朴な詞が雄大だ。“素朴が素敵と思うようになった”と語るkenの心が生きている。
07DAYBREAK'S BELL
yukihiroの技巧的なドラム・プレイをふんだんにちりばめた、幻想的なヘヴィ・ロック・チューン。退廃的なムードが漂う激情的なメロディに、hydeの甘くミステリアスな歌声が揺らぐ。彼らには珍しい演奏に挑んでいる。
08海辺
美しい旋律とドラム&ベースの骨っぽい演奏の対比が鮮やかなミディアム・ロック。曲のトリートメントに重きを置き、メンバーの演奏の個性によって可能な表現を引き出したという曲調に、彼らの自由で高度な音楽観が生きている。
09THE BLACK ROSE
サスペンス調のドラマティックな音と熱情的なトランペットが強靭なロック・チューン。イントロの琴を思わせる高雅な和風音から一転、激しいドラムに飲み込まれる転調が鮮やか。Yukihiroいわく「hyde君の不思議な曲シリーズ」なのだとか。
10Link (KISS Mix)
2005年に発表した曲のリミックス・ヴァージョン。“大人から子供までが歌えるように作った”(tetsu)というこの曲は、ポップなメロディに優しいストリングスの音色が和やか。人と人との繋がりを描いた詞に心が温まる。
11雪の足跡
温かい愛を描いた、透明感にあふれるロマンティックなウィンター・バラード。凛とした冬の空気を描く叙情的なメロディとファルセットを聴かせた華麗な歌声が美しい。Hydeが苦手とするフレーズが多く、発声に工夫を凝らしたという。
12Hurry Xmas
華やかなジャズ・テイストのクリスマス・ソング。ストリングスやトランペット、フルート、アコーディオンなど、多彩な楽器を取り入れた豪華な音作りが、クリスマスの楽しい雰囲気を作っている。恋人たちの夜を描いた詞もロマンティック。
仕様
初回限定スペシャルパッケージ (23面ワイドブックレット仕様)CDテキスト