ミニ・レビュー
1年9ヵ月ぶり、15枚目のオリジナル・アルバム。作詞作曲とヴォーカルはもちろんのこと、音作りもかなり自分で手がけ、曲によっては大胆な打ち込みも使って、メロディだけではなくリズムへの配慮も行き届いた仕上がり。けっこう実験的なポップスだ。
ガイドコメント
エイベックス移籍後初となる、通算15作目のアルバム。爽やかで弾けるようなシングル曲「GREEN DAYS」をはじめ、どの曲をとっても彼らしい良質なナンバーが揃っている。
収録曲
01introduction
アナログ・レコードのノイズ風SEに、アーシーなリズムがフェイド・イン。ストリングスが奏でるたおやかなメロディは、ケルティックや琉球音楽のよう。悠久の調べは、そのままアルバム『悲しみなんて〜』の次曲「祈りの唄が聞こえてくる」のイントロへと続く。
02祈りの歌が聞こえてくる
流麗なフラメンコ・ギターの音色とアフリカン・ビートをベースにした温かなリズムが、手足の先までしみていく。“目に見えること/それだけが大事なものじゃない”……虹のようにきらめくメロディを歌うマッキーのファルセットに、思わず落涙。
03Dance with me.
“今日の音楽に合わせて/僕らの今日をちゃんと踊ろう”。等身大の言葉と素直なメロディがストレートに心に響くミッド・ポップ・チューン。ホーンのフレージングやヴィブラフォンの音色など、ブルー・アイド・ソウルのテイストをふんだんに取り入れた一曲だ。
04GREEN DAYS
フジテレビ系ドラマ『牛に願いを』主題歌、TOYOTA「ラクティス」コラボCMソング。爽やかなノスタルジー、照れるほどバカ正直なメッセージ、おだやかだけど力強いカタルシスなど、マッキー節が揃い踏みした一曲。
05カイト
“いつでも僕は君の糸を/もっているから”。恋人の心をカイトに喩えた、甘酸っぱいミッド・ポップ・チューン。70年代ソウル風のサウンドは、シカゴの「サタデー・イン・ザ・パーク」を連想させる。紳士服のAOKI、CMソング。
06Love was sleeping.
美しいメロディで綴られるミッド・バラード。清らかなギターと凛としたピアノ、柔らかなストリングスが、“大事な事に気づくときはいつも/決まって愛が悲しみに変わるときだ”という切ない物語をそっと包み込む。NTTドコモ東北CMタイアップ曲。
07lose no time
“神様は僕らを見放してはいないんだ”という詞が印象的な、シニカルな視点でポジティヴな未来を描いたアップ・テンポのダンス・チューン。ヴォコーダーやシーケンサーを駆使したサウンド・プロダクションは、鍵盤の魔術師マッキーの面目躍如だ。
08赤いマフラー
鐘の音やリコーダー、グロッケンの音色をちりばめた、マッキー流クリスマス・ソング。“リボンなど掛けなくても/君に言えばよかった/「ありがとう」と”の詞が、実にほろ苦い。テレビ東京『お茶の間の真実 もしかして私だけ!? 』エンディング・テーマ。
09Anywhere
“どんな辛さも幸せにかえながら生きていける”“君のいる場所が僕の生きていく場所だから”……21世紀の日本を代表するソングライター、マッキーが放つミッド・バラード。純和風のメロディにそっと寄り添うストリングスが、奥ゆかしくも美しい。
10Circle of Rainbow
巨大なヴィクトリアの滝にかかる巨大な丸い虹。犬の鼻先に見えた小さな丸い虹。その美しさに感動できる心を素直に綴ったミッド・ポップ・チューン。アフロ・パーカッションと重厚なコーラス、祝福のファンファーレが、日常の奇跡を盛り上げる。
11五つの文字
「あたりまえ」じゃなくて「ありがとう」。大切な5つの文字を歌ったミッド・ポップ・チューン。オリエンタルな音階のイントロ、幾重にも重ねたコーラス、複雑なコード展開など、マッキーのサウンド・メイカーとしての才能が凝縮された一曲に仕上がっている。