ミニ・レビュー
豪快なパフォーマンスで話題を呼ぶ4人組のファースト・アルバム。元スーパーカーのいしわたり淳治プロデュースによる本作は、パンクやメタル、エモなどあらゆるジャンルを網羅しつつ、ライヴの勢いをそのまま閉じ込めたようなハイ・テンションなサウンドだ。
ガイドコメント
ロック・バンド、9mm Parabellum Bulletの1stフル・アルバム。抜群のパフォーマンスと高いテンションがサウンドに変換され、ピリピリとした刺激的な空間を作り出している。
収録曲
01Psychopolis
超ハイテンションな歌謡メタル。鋭いキレやドライヴ感を持つギターと曲全体を飲み込みそうな轟音ベース、そしてマシンガンのように打ち込まれる高速ドラムが暴れまわる。彼らの演奏アイディアの豊かさに驚かされる仕上がり。
02Discommunication
03Heat-Island (Album ver.)
神秘的なアルペジオから爆発的な破壊力を持って打ち込まれるドラムが印象的な、キャッチーなメロディへと万華鏡のように移り変わるナンバー。5/8拍子という複雑なリズムの中で、技巧的かつカオティックな“9mmワールド”が炸裂する。
04Sleepwalk
暴力的な激しさを持つベース音と物悲しいメロディが絡み合う、高速ロック・ナンバー。サビに現れるエレアコが哀愁を生み、喪失感に捕らわれた詞を盛り上げている。切れ味の鋭い音を叩きつける演奏スタイルは彼らならでは。
05砂の惑星
単音のギター・フレーズを前面に出し、心地良いミドル・テンポでまとめたキャッチーな歌謡曲風。後半で突如、ギター、ベース、ドラムが、なだれ込むように激しい演奏を繰り広げる構成が絶妙。人生の無常を歌った詞も面白い。
06Heart-Shaped Gear
ブリティッシュ・ロックを思わせる、ギター・フレーズで聴かせる歌謡曲風ロック。リズミカルに打ち込まれるドラムを主軸にした演奏も親しみやすい。サビに表われる、研ぎ澄まされた音がぶつかり合う轟音プレイも彼ららしい。
07Sundome
静かなアルペジオに始まり、音数を絞ったシンプルな演奏を繰り広げるメタル・ナンバー。随所に取り入れている音圧たっぷりの爆音ギターのフレーズが、曲にアクセントを付けている。菅原が描く意味深な詞も迫力がある。
08Battle March
静かな演奏と耳をつんざくような爆音プレイが交互に現れるアグレッシヴ・ロック。細部にこだわった音作りには、“楽しめることをやっていきたい”という彼らの音楽的感性が生きている。全体に立ち込める暗くどんよりとした雰囲気も良い。
09Butterfly Effect
浮遊感を漂わせ、危うい緊迫感をはらむギター・フレーズが聴きどころのミディアム・ギター・ロック。遠くから響いてくるようなヴォーカルも、不思議な虚無感を作っている。終盤、激しくうなりを上げるドラムとベースの絡みも、大胆にして濃厚。
10Termination
狂気的な爆音とキャッチーな歌謡曲を組み合わせたエモーショナル・ロック。緻密に練り上げられたギター・フレーズが曲全体のクオリティを高めている。詞には“ここからさらに繋いでいく”という、音楽活動に対する決意がみなぎっている。
11The World (Album ver.)
6/8拍子という高速テンポで疾走するロック・ナンバー。Aメロの部分での、シンバルの細かくテクニカルな刻みが新鮮。激しい音の嵐の中に親しみやすいキャッチーなヴォーカルを置くという構成がユニークだ。
12Punishment
パンクの流れをくむ激烈な音進行を基礎とし、各メンバーが卓越した技術を披露したメタル風ナンバー。2ビートのドラムにテクニカルなギターのカッティング、そして引き締まったビート感が爽快。4人の高い演奏力が実感できる。