ミニ・レビュー
結成20周年目に発表された16枚目のアルバムは、今なお攻めの姿勢でロックし続ける B'zを存分に楽しむことができる。熱い想いをハードな質感やうねりに託したかと思えば、空間性で遊んでみたりと、B'zとしての指紋を保存しながらも確実な進化がそこにはある。
ガイドコメント
結成20周年を迎えた2007年12月発表の、通算16枚目のアルバム。爽快なアップ・ナンバーや心に染み入るバラードなど、彼らならではのロック・サウンドが惜しみなく詰め込まれている。
収録曲
01純情ACTION
稲葉浩志のハイトーン・ヴォーカルと松本孝弘のメタリック・ギターがデッドヒートを展開しながら疾走する、ハード・ロッキンなアルバム『ACTION』のオープナー。「ジャパン・バスケットボール・リーグ2007-2008」オフィシャル・ソング。
02黒い青春
ひたひたと忍び寄るハイハットとウッド・ベース、ジャジィな雰囲気を切り裂くように歪んだギターの乱入で急展開する、メロディックなハード・ロック。暗闇でもがく孤独なティーンエイジャーの気持ちを綴ったリアルな歌詞が、胸を刺す。
03SUPER LOVE SONG
04満月よ照らせ
アコースティック・ピアノをフィーチャーしたシンプルなミディアム・ロック・バラード。メジャー・スケールで展開するブルージィなメロディが、泣きのツボを押す。いじめをテーマにした作品で、“満月よ照らせ”のひと言で表現した深みのある詞は秀逸だ。
05パーフェクトライフ
“完璧に見える人も みな見えないところで青筋たてて 苦しんでる”。不完全な自分をさらけ出した詞とザ・ナック「マイ・シャローナ」をもじったギター・リフが印象的なミディアム・ロック・チューン。着うたサイト「music.jp」CMソング。
06一心不乱
“一心不乱に その腕を磨け”。都会で不完全燃焼しているキッズたちを叱咤激励するミディアム・ロック・チューン。80年代のディスコ・ヒット、クークーの「アップサイド・ダウン」をサンプリング風にフィーチャーしたギター・リフに、思わずニヤリ。
07FRICTION-LAP2-
シングル「SUPER LOVE SONG」収録曲の別ヴァージョン。英詞とドライヴ感あふれるギターがマッチした、アッパーなハード・ロック・ナンバーだ。エレクトロニック・アーツのゲーム・ソフト「バーンアウトドミネーター」タイアップ・ソング。
08ONE ON ONE
過ちを超えた真の友情をテーマにした、メジャー・スケールのミッド・チューン。ビートルズ・ライクなギター・リフとピアノのバッキングが気持ちを盛り上げてくれる。TBS系『世界・ふしぎ発見!』エンディング・テーマ。
09僕には君がいる
“いつかは誰もいなくなる だから余計に愛しい”……代表曲「ALONE」を彷彿とさせるミディアム・バラード。失われたものの大切さを綴った詞やピアノの澄んだ音色と穏やかなストリングスが、凍りついた心を溶かしてゆく。
10なんという幸せ
ワビサビを極めたギターにファンキーなオルガンとゴージャスなブラス・セクションが華を添える、メジャー・スケールのスロー・バラード。“はたらきまくろう がむしゃらに”と言い切るブルー・カラーの主人公と、そのポジティヴな生き様が爽快だ。
11わるいゆめ
“戻ってくると思ってた。悪い夢を見ているみたいだ”……淡々と真夜中の時を刻むウーリッツァーの和音と気だるいエレクトリック・ギター。物静かなストリングスが、逆に不安な気持ちを煽る。麻痺した心の痛みを伝えるミディアム・ロック・チューン。
12HOMETOWN BOYS'MARCH
“何年たっても どこにいても かわした 言葉は消えない”……夢を叶えるため育った街を出て行く友に捧げる、誇りのロッキン・マーチ。力強く背中を押すギターの後ろで、景気づけのブラス・セクションがにぎやかに鳴る。
13光芒
イントロのキーボード・リフが、87年に全米第1位を記録したハート「アローン」を思い出させる、王道のミディアム・バラード。ハイトーンとアルトを歌い分ける稲葉浩志のヴォーカルが聴きモノだ。苦しみの中でも未来の光を見出すエンディングが感動的。
14トラベリンメンのテーマ
ストリート・オルガン風ののどかなイントロがユーモラスなミディアム・ナンバー。ポップなAメロとブルージィなサビを70'sロックのテイストで絶妙に味付け。ライヴ続きの生活を茶化したような詞も、ウィットに富んでいる。
15オレとオマエの新しい季節
斉藤ノブのグルーヴィなパーカッションをフィーチャーした、ミディアムなアッパー・ロック・チューン。スパニッシュ・ギターを模した松本孝弘のギター・プレイが冴える。日本テレビ『The OC』エンディング・テーマ。
16永遠の翼
17BUDDY
全国ツアー“B'z LIVE-GYM 2006”でエンディングSEとして使用され、話題を呼んだナンバー。歌謡曲調のメロディと松本孝弘の硬派なハード・ギターが見事に融合し、稲葉浩志のハイトーン・ヴォーカルで完全昇華する。