ミニ・レビュー
ティンバランドやネイトヒルズなどを制作に迎え、ジャスティン・ティンバーレイクもゲストで参加した3年ぶりのアルバム。初期の妖艶さを湛えたダンス/ファンク・サウンドを今風にアップ・トゥ・デートした内容は、新旧どちらのファンにも支持されそう。
ガイドコメント
ネイト・ヒルズをプロデューサーに迎えた、2007年11月発表のアルバム。ティンバランドとジャスティン・ティンバーレイクが参加した「スキン・ダイヴァーズ」をはじめ、魅力的なナンバーが並んだ充実作だ。
収録曲
[Disc 1]
01THE VALLEY
ジョン・テイラーのファンキーなベース・プレイが快感中枢を刺激する、デビュー当初のデュラン・デュランをアップ・トゥ・デートした感じのダンサブルなナンバー。刹那的な人生を彼ららしい美意識で綴った歌詞もグッド。
02RED CARPET MASSACRE
パワフルなサウンドの中にもデュラン・デュランならではのグラマラスな雰囲気が漂うアルバム・タイトル・チューン。死に対する甘美な憧憬が抽象的な言葉で描かれているが、生臭い血の匂いがしないところが、いかにも彼ららしい。
03NITE-RUNNER
プロデュースにティンバランドとジャスティン・ティンバーレイクが参加し、ジャスティンは共演もしている。ティンバランドお得意のミディアム調のダンス・チューンで、ファルセットを多用したヴォーカルに妖しさが募る。
04FALLING DOWN
ジャスティン・ティンバーレイクが曲作りに参加し、プロデュースを担当したバラード。美しくもメランコリックなメロディをバックに、堕ちていく男の葛藤を詩的に描いた詞を、サイモン・ル・ボンが思い入れたっぷりに歌い上げている。
05BOX FULL O' HONEY
アコースティック・フレイヴァをたたえたミディアム・チューン。文学的かつロマンティックな愛の世界を情感豊かに歌うサイモンのヴォーカルとそれを支えるサウンドのコンビネーションが、心地よい響きを与えてくれる。
06SKIN DIVERS
ティンバランドがプロデュースしたミディアム・ファンク・ナンバー。ティンバ独特のリズムを聴かせつつ、デュラン・デュランならではのフレーズがちりばめられられている。ヒネリの効いたヴォーカル・アレンジにも注目したい一曲。
07TEMPTED
艶めかしくきらびやかにうごめく、ネイト・ヒルズのプロデュースによるデュラン・デュラン流ディスコ・チューン。80年代風のアナクロ風のシンセサイザーの音が彼らには似合う、そう思わせる訴求力がこの曲にはある。
08TRICKED OUT
デュラン・デュランにしては珍しいインストゥルメンタル・ナンバー。アグレッシヴなギターと重厚なリズム・セクション、縦横に空間を切り裂くキーボードが一体となり、スリリングかつダンサブルな音世界を構築している。
09ZOOM IN
エレクトロ・ポップとロックをミックスした、モダン・ハイブリッド・チューン。ネット上の3D世界“セカンド・ライフ”を舞台にしたかのようなフューチャリスティックな歌詞が、デュラン・デュランのイメージと一致している。
10SHE'S TOO MUCH
サイモン・ル・ボンが愛娘サフロンを念頭に書いた曲。愛する子供のためならどんな苦難もいとわないという親心が歌詞の端々からこぼれ落ちてくる。微笑ましくもちょっぴり羨ましささえ感じてしまう、美しいメロディを持ったミディアム・ナンバー。
11DIRTY GREAT MONSTER
ズシッとした手応えのリズム・セクションに導かれて始まるヘヴィなナンバー。父親を怪物になぞらえ、それにおびえる子供たちの心情を描いた詞とリンクした暗く沈んでいくようなサウンドの中で、サックスの音色がひときわ印象に残る。
12LAST MAN STANDING
戦いが終わり平和が訪れたあと、ひとり立つ男。勝者か、聖者か、それとも真逆の存在か。それぞれが自由に解釈し想像できる歌世界を、サイモン・ル・ボンがドラマティックに歌い上げた美しいミディアム・チューン。
13CRY BABY CRY
へヴィかつ端正なリズム・セクションに、美しくも凛とした表情のストリングスが絡む。その壮麗なサウンドとサイモン・ル・ボンの力強いヴォーカルやファルセットを効果的に使ったコーラスが、有機的に結合したミディアム・ナンバー。
[Disc 2]〈DVD〉
01メイキング・オブ...「レッド・カーペット・マサカー」ドキュメンタリー
02フォーリング・ダウン (ミュージック・ヴィデオ)