ミニ・レビュー
シングル「ANY LOVE」「太陽の地図」などを含む8枚目のアルバム。最先端のヒップホップ・チューン「以心伝心」、80'sフレイヴァーを感じさせる「Dance Dance」など、さらにカラフルに広がった音楽性、よりリアルになった歌詞がバランスよく溶け合っている。
ガイドコメント
通算8枚目となるオリジナル・アルバム。ヒット・シングル曲「ANY LOVE」やフジテレビ系『めざましテレビ』のテーマ曲「太陽の地図」などを含む強力盤で、彼女の突き抜けるようなヴォーカルが心ゆくまで味わえる。
収録曲
01以心伝心
どんなに離れた場所にいても、僕と君はしっかりとつながっている。アルバム『EIGHth WORlD』のコンセプトを象徴するような、壮大にして神聖なイメージのダンス・チューン。ダイナミックなグルーヴを解き放っていくヴォーカルに圧倒される。
02ANY LOVE
失うものは何もない、ただひたすらまっすぐに愛してほしい……。そんな純粋な思いが伝わってくるミディアム・チューン。現代的なR&Bマナーに則ったサウンド・メイクと濃く強いエモーションを放つヴォーカルがゆったりと溶け合う。
03Royal Chocolate Flush
バウンシーなビートとアクロバティックなメロディが融合し、気持ちをズンズンと上げてくれるダンス・チューン。チョコレートと恋愛を重ね合わせたリリックからは、“本能に任せて生きてみよう”というメッセージが伝わってくる。
04November-Interlude-
05MISSING AUTUMN
不確かな未来を感じながらも、それでも“あなたが好き”という感情は抑えられない。恋愛のなかにある切なさを叙情的に描き出す歌詞からは、MISIAの作詞家としての才能が伝わってくる。ファンク・テイストを取り入れたサウンドも心地いい。
06To Be In Love
MISIAのシンガーとしての魅力がまっすぐに響きわたる、オーセンティックなバラード。離れ離れになってしまった恋人を思い、もう一度だけ逢いたいと願う……そんなエモーションがクラシカルなメロディによって昇華されていく。
07裸足の季節
ソウル・ミュージックの空気をさりげなく取り入れた、軽やかにしてグルーヴィなポップ・チューン。大げさに歌い上げるのではない、しっかりと抑制を効かせたヴォーカルや生楽器の響きを活かしたアレンジも、本当に気持ちいい。
08Chandelier
ジャズ〜ソウルのボーダーラインを軽々と超えていくギター・カッティング、ソフィスティケイトされたビートを繰り出すリズム・セクション、しなやかなストリングス・アレンジ。聴き返すたびに深みを増す、大人のためのポップ・チューン。
09Hybrid Breaks-Interlude-
10Dance Dance
70年代のディスコ・ミュージックを彷彿とさせる、快楽的なダンス・ナンバー。弾むようにテンションを上げていくヴォーカル・ラインと会うたびに好きになっていく恋愛感情をテーマにしたリリックが、ナチュラルに重なりあっていく。
11太陽の地図
朝になれば、また新しい自分がはじまるんだ……爽やかで前向きなメッセージが大きく広がっていくアップ・チューン。ワクワク感を誘うようなビートやシンプルで口ずさみやすいメロディを浴びていると、いろんな悩みが飛んでいってしまいそうだ。
12そばにいて...
デリケートな響きを持つピアノの向こうから聴こえてくる、美しく繊細なフェイク。MISIAのヴォーカルの魅力、技術の高さをたっぷりと堪能できるピアノ・バラード。特にサビのメロディが放つシックなヴァイブレーションは、出色の出来だ。
13君は草原に寝ころんで
オーガニックな響きを持つコーラス、ラテン・フレイヴァを取り入れたビート、スパニッシュの香りが漂うギター・フレーズがひとつになった、アコースティック・ダンス・チューン。“自由な鳥のように自分を解放しよう”というリリックも魅力的。
14太陽のマライカ
青山純(ドラム)やASA-CHANG(パーカッション)を軸にした、生々しくふくよかなグルーヴが素晴らしいミディアム・バラード。日本を代表するミュージシャンたちの演奏のなかで、MISIAのヴォーカルがゆったりと広がっていく。この快感がたまらない。