ミニ・レビュー
つねに新たなアクションを起こすことで、バンドの可能性を広げてきた彼らの3作目。タイトルは“先駆者”と“革命”を意味する英語をミックスした造語だ。中盤ではインタールードを挟み、フロア・チューンを並べるなど、そのミクスチャーな展開はエキサイティング。
ガイドコメント
前作『BUGRIGHT』から約11ヵ月で発表となる通算3枚目のアルバム。TBS系アニメ『地球へ…』オープニング・テーマ「endscape」や日本テレビ系ドラマ『働きマン』主題歌「浮世 CROSSING」などを収録した強力な一枚だ。
収録曲
01Roots
音楽で世界は変えられなくても、きっと人の心を動かすことはできるはず……そんなメッセージを真摯に伝える、スピード感にあふれたストーリー性のあるサウンド・メイク。ウーバーワールドのアンセムとなるべき、新たな名曲の誕生だ。
02brand new ancient
ラップだけではなくポエトリー・リーディングを取り入れた面白い構成で、楽曲の世界観をより確かなものにしている。サビでは一転、キャッチーでポップなメロディが展開。メリハリの効いたミクスチャー・チューンだ。
03浮世CROSSING
キャッチーなメロディとラップをミックスした、軽快なアッパー・チューン。こんな複雑な時代だけれど、自分のありのままに素直に生きていきたいと願う、日本テレビ系ドラマ『働きマン』のテーマ・ソング。
04病的希求日記
すべては時代のせい、それとも自分のせいなのか。ほんの少しのことで天秤はどちらにでも傾いてしまうから、TAKUYA∞はこうしてメッセージを送り続けるのだろう。従来のウーバーワールドの流れを汲んだ、メロディックなポップ・ロック。
05counting song-H
メロウな導入部を経てロックとポップの間を行き来するドラマティックなサウンドが展開される。タイトルの“H”とはHydrangea=アジサイのこと。ひとつとして同じ形のない花と、常に答えを求められる現実を重ね合わせ、疑問を投げかけている。
06シャカビーチ〜Laka Laka La〜 (album ver.)
8枚目のシングルとして夏をたぎらせたサマー・チューンのアルバム・ヴァージョン。イントロにスクラッチ・ノイズが入った裏歌詞を持ってきて、シングルと構成を変えている。彼らには珍しくラテン・テイストを大胆に取り入れたサウンドにも注目。
07GROOVY GROOVY GROOVY
会場が一体となったコール&レスポンス……そんなライヴでの盛り上がりが目に浮かぶような、“ヘドバン”大歓迎のコア・チューン。初期衝動そのままに膨大なエネルギーを放出する、ライヴ仕様のヴォーカルとサウンドは圧巻。
08expod-digital
TAKUYA∞の高速ラップとヒューマン・ビートボックス、楽器隊が魅せるテクニックの数々など、メンバーそれぞれの個が際立つトラック。アルバム『プログリューション』では、本曲から「ENERGY」までフロア・チューンがノンストップで展開される。
09-妙策号外ORCHESTRA-
アルバム『プログリューション』の聴きどころのひとつは、ノンストップで直撃するハウス・スタイルの楽曲たち。このインストが次曲「UNKNOWN ORCHESTRA」に繋げるインタールード的な役割を持っている。
10UNKNOWN ORCHESTRA (album ver.)
シングル「endscape」のカップリングで、『プログリューション』の前曲「-妙策号外ORCHESTRA-」からひとつの流れで聴けるアルバム・ヴァージョン。彼らの新境地ともいっていいバンド性を活かした刺激性の高いダンス・チューンだ。
11-god's followers-
淡々とした4つ打ちのビートが「UNKNOWN ORCHESTRA」で高揚した気持ちを一瞬クールダウンさせる。だが、それはよりアツくさせるための着火剤だった……という心地よい仕掛けが本トラック。アルバム『プログリューション』の次曲「神集め」に繋がるインタールードだ。
12神集め
遊び心を持ちつつ、英語で綴られた深く繊細な表情も見せるリリックが印象的だ。ウーバーワールドらしい耳になじむキャッチーなメロディと繰り返される“The Secret of God”のフレーズが、躍動感を与えるポップ・チューン。
13-forecast map 1995-
タイトルの“1955年”という高度成長期に起きたさまざまな変化。たとえば、それが2008年には、環境破壊という形で影を落とす。浮遊感のあるサウンドに包まれたアルバム『プログリューション』の小トラックで、エコロジーについて歌った次曲「ENERGY」の説得力を増加させている。
14ENERGY (album ver.)
シングル「浮世CROSSING」収録曲のアルバム・ヴァージョンで、アルバム『プログリューション』のノンストップ・ゾーンの最後を締めくくるロック・チューン。エコロジーについて歌うが、エコカーをテーマにするところがTAKUYA∞らしい。“eco life〜”と繰り返されるコーラスが面白い。
15endscape (album ver.)
TBS系アニメ『地球へ…』のオープニング・テーマ。バンドらしい勢いとサビに向けて大きく拡がりをみせるサウンドは爽快。全編にアツい想いがほとばしり、生きることについてのメッセージがストレートに伝わってくる、ポジティヴかつ壮大なナンバー。
16心が指す場所と口癖 そして君がついて来る
メッセージ色の強いアップ・チューンが並ぶアルバム『プログリューション』の中で、唯一といえるラヴ・ソング。ささいな出来事を切り取った恋愛模様を温かく歌う。過去の恋愛を振り返るのではなく、未来に灯りをともす、ひたすら沁みるロッカ・バラードだ。
17オトノハ
アルバム『プログリューション』のオープニング・チューン「Roots」で示した“歌うこと”についての想いを締めくくるナンバー。MCで話していることをライヴに来られない人にも伝えたいと、TAKUYA∞がアコギ1本で歌う最高のメッセージだ。
18to the world (SE)
アルバム『プログリューション』のラスト・トラック。これを最後に配することで、“革命の先駆者”としての決意をリスナーや自らに対し英詞で宣言している。2分弱にもかかわらず、再び何かが始まるかのようなドラマ性を強く感じさせるナンバーだ。