ミニ・レビュー
2007年のレコード大賞を受賞した「蕾」を含む6枚目のアルバム。ヘヴィなロック・サウンドを取り入れた「水面の蝶」、カントリー・テイストのポップ・チューン「風の中を」、ビートルズっぽいエッセンスをさりげなく感じさせる「Fragile mind」など多彩な楽曲を収録。
ガイドコメント
コブクロの通算6枚目となるアルバム。ドラマ『レガッタ〜君といた永遠』主題歌「君という名の翼」ほか、タイアップ曲が満載。何回もリピートして聴きこみたくなる、味わい深い作品だ。
収録曲
01蒼く 優しく
心をチクッと刺すような微かな感傷を含む、コブクロらしい壮大な説得力を持ったミディアム・チューン。“夢”をテーマに、自分と向き合うことの大切さを歌っている。反町隆史主演の日本テレビ系ドラマ『ドリーム☆アゲイン』主題歌。
02コイン
自販機でお金を崩し、公衆電話から彼女に電話をかける……ノスタルジックな思い出を綴った詞が心のなかに“忘れていた、大事なこと”を呼び起こしてくれる。軽快なメロディとフォーキーなバンド・サウンドも、どこか懐かしい。
03蕾 (つぼみ)
フジテレビ系ドラマ『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』主題歌でおなじみの、切なく美しいバラード。小渕が歌うAメロの優しく繊細なイメージと黒田の力強いヴォーカルが冴えるBメロとのギャップが鮮やか。サビでの絶妙なハーモニーは鳥肌ものだ。
04どんな空でも
ふたりのア・カペラ・ハーモニーからはじまるミディアム・チューン。君と出会えた不思議を感じながら、同じ空を分け合っていることを喜びたい。そんな感情が込められた詞からは、彼らのファンに対する思いも伝わってくる。
05君という名の翼
“翼という名のパートナーといっしょに、どこまでもがむしゃらに突き進んでいきたい”という内容を持つリリックには、コブクロのふたりの関係がはっきりと反映されている。疾走感にあふれるメロディも、曲の世界観にぴったりだ。
06WHITE DAYS
繊細で美しいストリングス、濃密な思いが込められたピアノを中心としたバラード・ナンバー。“真っ白な希望に満ちた世界は、必ず僕らを待っている”というメッセージやしやなかなコーラス・ワークが、胸を揺るがす。
07君色
穏やかなラヴ・ソング。詞曲を手掛けた小渕の恋愛観が感じられ、とても面白い。恋を病と割り切りつつも、がんばって“愛”へたどり着こうとする男のいじらしさにあふれている。思わず頷けるユニークなリリックも印象的。
08水面の蝶
ずっしりとしたヘヴィネスを感じさせるギター・サウンドが鮮烈な印象を残す、渾身のロック・ナンバー。水面の蝶のようにもがきながら自分の手で時代を作っていきたい……という、強い思いがどこまでも響きわたる。
09風の中を
アメリカン・カントリー、フォーク・ミュージックのエッセンスを取り入れたオーガニック・ソング。コブクロのヴァラエティに富んだ音楽性を感じさせる一曲と言える。道なき道を突き進もう、という歌詞は、黒田俊介が手掛けている。
10月光
全力で疾走していくビート、エモーショナルなギター・フレーズ、勢いに任せながらダイナミックなメロディを描いていくヴォーカルがひとつになった、コブクロ流のロックンロール。ライヴ感に満ちたサウンド・メイクが楽しい。
11風見鶏
日本的なメロディの繊細なピアノから始まるイントロが印象的な、切なさと力強さに満ちたバラード。構成がシンプルな分、二人のヴォーカリストとしての魅力やポジティヴな歌詞と珠玉のメロディを思う存分に堪能できる。
12Diary
恋人たちの何気ない日常を描いた、まさしく“日記”のような雰囲気のかわいいラヴ・ソング。スピッツ、森山直太朗などのプロデュースで知られる笹路正徳が手掛けたストリングス・アレンジも、この曲の大きな魅力。
13Fragile mind
中期ビートルズを想起させるコード感を持ったミディアム・ロック・チューン。“壊れやすい心”を抱えながら、それでも前に向かって進んでいきたいという意志をはっきりと伝えた詞、ドラマティックな展開を持つメロディも絶品。