ミニ・レビュー
映画『L change the World』の主題歌「アイル・ビー・ウェイティング」を含む、4年ぶり8枚目のアルバム。レッド・ツェッペリン風のハードかつファンキーなナンバーを軸に、しっとりとしたスローを挟む構成で、迷いのないクラシック・ロック路線を突き進む。
ガイドコメント
およそ4年ぶり、通算8枚目となるオリジナル・フル・アルバム。映画『L change the World』の主題歌「アイル・ビー・ウェイティング」をはじめ、キャッチーかつクールなサウンドが展開されている。本作はDVDが付いたデラックス版。
収録曲
[Disc 1]
01LOVE REVOLUTION
タイトで強靭なリズムとシャープな中にもゴツゴツとした感触を持つギターのリフが、グイグイと引っ張っていくパワフルなナンバー。2008年にあえて“レヴォリューション”という言葉を持ち出し、熱く訴えるところがレニーらしい。
02BRING IT ON
タメの効いたヘヴィなサウンドやエコーをかけたヴォーカルの端々に、レッド・ツェッペリンを彷彿とさせるフレーズが覗き、思わずニヤリとさせられるハード・チューン。アヌーシュカ・シャンカールのシタールが彩りを添えている。
03GOOD MORNING
ストリングスのフォーマルな音色とザラザラした感じのギターの響きが、後期のビートルズを思い起こさせるミディアム・ナンバー。レニーならではの懐かしくも新鮮なクラシック・ロックを味わい尽くすことができる。
04LOVE LOVE LOVE
車もテレビも金も仕事も、おまけに政治家も、何もかも必要ない。俺には愛がある、お前さえいればいい……と何とも豪快に愛の大切さを訴えるヘヴィ・チューン。現実は厳しいけれど、誰しも一度は夢想する究極の世界が歌われている。
05IF YOU WANT IT
コンテンポラリー・ゴスペルにも通じるナンバー。望みさえすれば世界を変えられる、不運を変えられるというポジティヴな姿勢が、バラード調のメロディに乗せて力強く歌われている。後奏部の激情的な展開がいかにもレニーらしい。
06I'LL BE WAITING
映画『デス・ノート』のスピンオフ作品である映画『L change the World』の主題歌。イントロの柔らかなピアノの音色にリズム・セクションやオーケストラが加わり、徐々に昂揚感が増していくドラマティックな展開が素晴らしい。
07WILL YOU MARRY ME
レッド・ツェッペリン・ミーツ・ジェイムス・ブラウンといった趣のファンク・ロック・チューン。“俺と結婚してくれ”と情熱的に求婚する男の姿を歌うレニーの歌唱も“JB”を意識した感じで、グルーヴィなサウンドにマッチしている。
08I LOVE THE RAIN
過ぎ去った恋人との思い出が雨とともによみがえり、いつしか雨そのものを愛おしく思うようになった男の歌。ヘヴィに鳴り響くギターが哀しくも狂おしい男の想いとあいまって、リスナーの心を締めつけずにはおかない秀作バラードだ。
09A LONG AND SAD GOODBYE
家庭を顧みなかった父親に長年わだかまりを抱いていたレニーだが、父が亡くなる2ヵ月前に和解できたという。本曲は今はなきその父親に捧げたもので、和解に至るまでの恨みや辛さ、そして愛情がストレートに綴られている。
10DANCIN' TIL DAWN
フロアで魅惑的に踊る女性に魅了され、夜明けまで踊り明かしてしまう男の姿を描いたミディアム・ナンバー。ホーンをフィーチャーしたクラシカルなソウル・ブルース調のサウンドが、艶めかしいダンスフロアのイメージを伝えてくれる。
11THIS MOMENT IS ALL THERE IS
柔らかなメロディと爽やかさすら感じるレニーの歌声に間奏のジミヘン風ギターが印象的なスロー・ナンバー。過去を悔いたり将来のことで悩むより、今この瞬間を有意義に生きようというポジティヴなメッセージが胸に響く。
12A NEW DOOR
自分をごまかし、辛い日々に耐えてきた人間に、新しい扉を開いてやり直そうと諭す曲。厳かなピアノの調べとゴスペルに通じる詞の世界、優しさをたたえたレニーのヴォーカルが一体となって、静かな感動を与えてくれる傑作バラード。
13BACK IN VIETNAM
ビートルズ「バック・イン・ザ・U.S.S.R.」のパロディ・ナンバー。そのビートルズの曲もチャック・ベリー「バック・イン・ザ・USA」のパロディだから、3代目(?)といった方が正しいか。ただ、こちらはグッと重心を落としたヘヴィな佇まいとなっている。
14I WANT TO GO HOME
明確には描かれていないが、おそらくは終わりの見えない戦争の最前線に身を置く兵士が、愛しい人が待つ我が家へ帰りたいと祈るように願う心境を歌ったと思われるスロー・ナンバー。簡潔な言葉で綴られた詞に、切迫感が込められている。
[Disc 2]〈DVD〉
01ラヴ・レヴォリューション・イントロ (インタビュー)
02レット・ラヴ・ルール (ビデオ)
03ミスター・キャブ・ドライバー (ビデオ)
04アイル・ビー・ウェイティング (インタビュー)
05イット・エイント・オーヴァー・ティル・イッツ・オーヴァー (ビデオ)
06自由への疾走 (ビデオ)
07イフ・ユー・ウォント・イット (インタビュー)
08ロックンロール・イズ・デッド (ビデオ)
09ロング・アンド・サッド・グッドバイ (インタビュー)
10フライ・アウェイ (ビデオ)
11レイディ (ビデオ)
12ラヴ・レヴォリューション (インタビュー)
13ホエア・アー・ウィ・ランニン? (ビデオ)