ミニ・レビュー
3枚目のアルバムは、耽美的で妖艶なナンバーで幕を開け、氷室京介が提供したドラマ『有閑倶楽部』の主題歌のロック・ナンバー「Keep the faith」、メロウなバラード「MOTHER/FATHER」、疾走感あふれるハード・ロック「LIPS」、ポップでキャッチーな「喜びの歌」などさまざまな表情を見せる。6人の音楽的懐の深さを感じる一枚。
ガイドコメント
KAT-TUNの3rdアルバム。得意とするハードなロック・チューンはもちろん、キャッチーなポップス、アッパーなダンス・ナンバー、メロウなバラードなど多彩なテイストの作品が収められている。
収録曲
01TABOO
アルバム『KAT-TUN III-QUEEN OF PIRATES-』のオープニング・ナンバー。悲劇のオペラで使われそうな緊迫感のあるストリングスとメンバーそれぞれがつとめてセクシーに歌い上げるさまが、テーマである“罪と罰”をよりエロティックに表現している。
02Keep the faith
氷室京介が手掛けた、重厚なサウンドのロック・ナンバー。野性味を帯びた、ギラつくヴォーカルが攻撃的。力強いリリックには、リスナーに「いつも隣りに俺たちがいるから自由に羽ばたけ」と叫んでいるような心強さがある。
03AFFECTION〜もう戻れない〜
悩ましげなファルセットを多用したヴォーカルと涼しげなR&Bトラックがマッチしたスタイリッシュな一曲。友達だった女性にキスをしてしまったことで「もう友達にはもどれない」と揺れる男ごころを歌っている。
04HELL、NO
重厚なギターが空間を切り裂くヘヴィなミクスチャー・ロック。ラップ・パートの詞を手掛けギャングスタ風にフロウするのは“JOKER”こと田中聖。お互いを傷つけ合う衝動的な男女の関係を描いた歌詞をハードボイルドに歌い上げている。
05DISTANCE
恋人との別れを嘆きながらもポジティヴにとらえようとする男の心模様を歌ったミディアム・バラード。歌謡曲風味のメロディとハード・ロック調の泣きのギターが哀愁を醸し出している。KAT-TUNの大人の魅力に迫った一曲。
06MOTHER/FATHER
恋人に純愛を誓っているようでもあり、両親への感謝を歌っているようでもある、絆がテーマのミディアム・ナンバー。優しく素朴なメロディに乗せて、男女の愛だけにとらわれない、広い意味での“愛”を歌っている。
07LIPS
亀梨和也主演の日本テレビ系ドラマ『1ポンドの福音』の主題歌となった6thシングル。キスを求める衝動的な想いを、攻め立てるようなブラスト・ビートとがなるヴォーカルで表現した、野性味あふれるロック・チューンだ。
08喜びの歌
TBS系金曜ドラマ『特急田中3号』主題歌。かき鳴らされるギター・サウンドと伸びやかなヴォーカルが、どことなくスウィートなロックンロール。シャウトするリエゾンやラップのブレスが、かなりグラマラスで思わずドキリ。
09「un-」
ストリングスとアコースティック・ギターが疾走するロック・チューン。“走り去る風のような君”との駆け引きの恋に揺れる歌詞は大人っぽいものの、さらりとしたヴォーカルと楽曲の爽やかさがあいまって、少年のような甘酸っぱさを演出している。
10OUR STORY〜プロローグ〜
恋人との別れを“終わりは始まり”と歌うポジティヴな失恋ソング。光がパッと差し込むように急転する転調と、“忘れない”というフレーズを畳み掛ける、終盤の情熱的な展開が聴きどころ。徐々に熱を帯びていくヴォーカルも魅力的だ。
11何年たっても
デートの別れ際の“まだ一緒にいたい!”という気持ちを描くとともに、アルバム『KAT-TUN III〜』の終わりを惜しむかのようなクロージング・ナンバー。ファンキーなベースとキラキラしたシンセが絡む80年代テイストのサウンドが楽しい。