ミニ・レビュー
等身大の魅力が詰まった8作目。彼女らしいポップでキャッチーなナンバー「Shining」のほか、アメリカのR&Bシーンを代表する大物プロデューサー・チーム、ジャム&ルイスが手がけた5、9曲目もあり、アーティストとしてのネクスト・ステージを見据えた意欲作でもある。
ガイドコメント
通算8枚目となるオリジナル・アルバム。ジャネット・ジャクソンやブリトニー・スピアーズらを手がけた強力なプロデューサー陣を迎えており、彼女の伸びやかなヴォーカルにさらなる魅力が与えられている。
収録曲
01涙のさきに
トラックメイカーShingo.S制作の、キレのいいギターが先導するダンス・ロック・チューン。“涙のあとには輝く道が待っている”というポジティヴな内容をチアフルに歌っている。自身が出演する「TULLY'S BARISTA'S SPECIAL」CM曲。
02ONE
何ものにも代えられない友だちという存在への感謝の気持ちを綴ったミディアム・ポップ・チューン。崎谷健次郎による美しいメロディ・ラインと湿っぽくなり過ぎないShingo.Sのプロデュースが秀逸。劇場版『ポケットモンスター』シリーズ主題歌。
03Good Times
新進気鋭のトラックメイカー、STY制作によるミディアムR&Bチューン。天へ突き抜けるような高揚感を持ったヴォーカルと、大地に響くようなドドンというボトムとの対比が面白い。土曜の夜のラヴ・アフェアがテーマ。
04Help Me Out
STY同様、ディグズ・グループに所属するプロデューサー、HIRO制作によるダンス・チューン。前のめりなビートとサビへ向かうにつれて早くなる譜割や間奏で披露される高音フェイクが、募る想いの高鳴り具合を見事に表現している。
05ITOSHIHITO
日本語の美しさを存分に示すような余裕のある譜割が特色のミッド・スロー・チューン。打ち込みながらもゆったりとしたメロディ・ラインによってせわしなさをしっかりと消す好仕事は、US大御所プロデューサー、ジャム&ルイスによるもの。
06帰り道
金原千恵子隊のストリングスがサウンドに深みを与えている叙情系スロー・バラード。童謡や唱歌のような日本的な世界観を持った詞とメロディによって、そこはかとない切なさや儚さを、帰り道の情景を通じて映し出している。
07トキノカケラ
別れと出会いの季節である春の情景を巧みに詞に盛り込んだノスタルジックなナンバー。とはいえ、切なさに終始することはなく、むしろ近い将来への希望を明るく歌っている。情感あふれるヴォーカルも好印象。
08TIME GOES BY
幼少期からの親友へ送る応援メッセージ・ソング。“時の流れや人の行き来によってそれぞれの行く先は違ったとしても、いつでもそばにいて応援するよ”という女性同士の友情を綴っている。STY制作のミッド・スロー・ポップ。
09I Can't Wait
シングル「Kirakuni」でみせたような矢継ぎ早に繰り出されるリリックが特色のジャム&ルイス制作曲。「Kirakuni」ほどの“黒さ”はないが、カラフルなポップ感覚あふれるサウンドが彼女のキュートな一面を引き出している。
10Shining
冬到来の高揚感が募るラヴ・ソング。凍てつく寒さの中で一層輝いて見えるイルミネーション。二人の日々もそんな風にいつの日も輝き続けるように……と願う気持ちと恋をしている嬉しさが、弾むヴォーカルから伝わってくる。
11It's a crime
スリリングなビートが走る、扇情的なテクノ風ポップ。従来では見られなかった、2008年のトレンドでもあるエレクトロ要素を採り入れた冒険作。制作はブリトニー・スピアーズ「トキシック」などでも知られるブラッドシャイ&アヴァント。
12History
Spontania「君のすべてに」などで知られるLA出身のプロデューサー、ジェフ・ミヤハラ制作によるミディアム・ポップ。“あなたの愛なんてもう<過去のもの=History>だから”と、男へ強烈なパンチを見舞う決別ソングだ。