ミニ・レビュー
84年から87年にかけて新日フィルの定期で行なわれた日本人の演奏家だけによる「ニーベルングの指環」全曲コンサートのライヴである。圧倒的なスケールを保ちながらも複雑な楽譜を客観的に把握する朝比奈の解釈は重厚かつ精緻である。二期会のベストを揃えた歌手陣の頑張りにも敬意を表したい。管弦楽の奥から凛とした声を響かせる釜洞祐子の瑞々しい声が一際印象に残る。全四夜を通して文化会館の聴衆を忘我の境に浸らせた熱き血潮たぎる演奏。12枚のCDに記録された朝比奈隆の至芸は我々の胸を打ち続けるだろう。
ガイドコメント
日本のワーグナー演奏史上欠かせない録音。演奏会形式によるライヴ収録で、日本人演奏家による初の全曲演奏であり、なかでも「神々の黄昏」は日本初演となった。朝比奈芸術のひとつのピークである歴史的演奏だ。
収録曲
ワーグナー:〈序夜と3日間の舞台祭典劇「ニーベルングの指環」〉
01楽劇「ラインの黄金」
02楽劇「ワルキューレ」
03楽劇「ジークフリート」
04楽劇「神々の黄昏」
演奏
朝比奈隆指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団 西明美,辻宥子,豊田喜代美,渡辺美佐子,西松甫味子(S) 秋葉京子(MS) 大野徹也(T) 池田直樹,勝部太(BR) 多田羅迪夫,高橋啓三(BS) 他
録音
(1)84.6 (2)85.10 (3)86.4 (4)87.10