ガイドコメント
徳永英明のヒット・シングルを網羅した、コレクション・アルバム。デビュー曲「レイニーブルー」から始まり、全28曲を2枚組で収録。『VOCALIST』を聴いてハマった人には、絶好の入門編となりそうだ。
収録曲
[Disc 1]
01レイニー ブルー
86年のデビュー曲。女性視点の歌詞をこうも違和感なく歌ってのける男性シンガーも稀だが、何より驚かされるのはデビュー曲にして早くも徳永印のバラードをほぼ完成させていること。前に出過ぎないギター・ソロもセンス抜群。
02輝きながら…
シンガーになるべく生まれてきたとしか思えないハスキー・ヴォイスが、高音域へと伸びに伸びる87年発表の切なくメロディアスな大ヒット曲。バックに流れる澄んだストリングスやコーラスも、彼の歌声の透明度には勝つ術なし。
03風のエオリア
ドラマティックなストリングスとピアノの音色が美しい、儚いメロディのバラード・ナンバー。切ない歌詞を紡ぐ、情熱的なシルキー・ヴォイスに心を打たれる。88年リリースの、徳永英明を代表する名曲。
04最後の言い訳
“いちばん大事なもの”=恋人との別れの淋しさ、悲しさ、辛さをメロディアスに歌い上げたバラード・ナンバー。ピアノを基調とした温もりあふれるアコースティック・サウンドが優しく響く、切なくも感動的な一曲だ。
05恋人
平成へ時が移って初のシングルとなった、1989年リリースの7枚目。倦怠期が訪れ、別れを探し始める恋人に、ときめきを感じた昔に戻ってみないかとそっと語りかけるノスタルジックなポップ・バラードだ。エアコン「エオリア」のイメージソングとしても話題となった。
06MYSELF〜風になりたい〜
生き急ぐ毎日のなか、ふと立ち止まり自分自身を見つめ直す……。そんなポジティヴな歌詞に勇気付けられる爽快なミディアム・バラード。柔らかなホーン、優しいキーボードの音色に彩られたサウンドは、まさに夢見心地。
07夢を信じて
スロー・バラードのイメージが強すぎる彼の歌声が、アップ・テンポな楽曲であっても不変の魅力を放つことを満天下に知らしめた90年発表曲。TVアニメ『ドラゴンクエスト』のエンディングにも使われた曲ゆえ、歌詞はすこぶる前向き。
08壊れかけのRadio
思春期真っ只中な人のみならず、とうに思春期を過ぎてしまった人にも訴えかけてくる90年発表のヒット曲。ラジオを心の拠り所として過ごした経験を持つ人なら、さらにグッと込み上げるに違いない、徳永バラード最高峰のひとつ。
09Wednesday Moon
ロマンティックなフレーズとセンチメンタルなメロディが絶妙にマッチした、疾走感あふれるラヴ・ソング。息の荒いワイルドでセクシーな歌声、ドラマティックな曲展開にゾクゾクさせられる、緊張感に満ちたナンバー。
10LOVE IS ALL
ポジティヴな歌詞とキャッチーなメロディに彩られた、ピースフルなミディアム・バラード。時折加わるパイプオルガンの凛とした音色が、楽曲全体を引き締めている。聴く者を勇気付ける、純度の高い一曲。
11Revolution
ギターとベースがハードに響くロッカ・バラード。恋人に対する強い思いを綴った情熱的な歌詞を、力いっぱいに歌い上げるヴォーカルが心地よい。全体の印象が暑苦しくならず爽やかなのは、シルキー・ヴォイスの成せる技。
12I LOVE YOU
直球のタイトルのとおり、恋人との愛に詰まった日々を回想した情熱的なナンバー。指輪を投げ捨てるところから始まる悲哀に満ちた失恋ソングでありながらも、温もりと優しさに満ちたサウンドが気持ちを穏やかにしてくれる。
13もう一度あの日のように
伸びやかなヴォーカル、切なさと優しさが入り混じったメロディが心を打つバラード。大人になってもピュアな心を失っていないか、時代に流されていないか……。そんな背筋がピンとなるような真摯な問いかけが胸に迫る一曲だ。
14僕のそばに
物語のように繊細な描写にグッと心をつかまれる、不器用な男の切ない心情を綴ったラヴ・ソング。柔らかく優しい歌声とホットなサウンドが、よりストーリーをリアルに感じさせてくれる。
[Disc 2]
01永遠の果てに
たおやかなキーボードの音色と女性コーラスに癒される、人間の生命と人生をテーマにした壮大なバラード。宇宙のなかの地球という星に生まれることの奇跡を綴った歌詞を、スペイシーな効果音がいっそう盛り立てる。
02未来飛行
「忙しさに負けちゃいけない」「生きることをなまけちゃいけない」といった名フレーズの数々にハッとさせられる、生き急ぐ大人に捧げるメッセージ・ソング。柔らかなメロディがすっと心を軽くしてくれるはずだ。
03ROUGH DIAMOND
滑らかなストリングスの音色と、エネルギッシュなピアノ&バンド・サウンドが融合したアッパーなポップ・ナンバー。ひたすらポジティヴで爽やかな歌詞は、聴き手を前向きな気持ちにしてくれる。
04SMILE
旅立つ“僕”が“君”への永遠の愛を誓うドラマティックなラヴ・ソング。ふんわりとした優しいメロディを紡ぐ、愛する恋人に語りかけるようなヴォーカルが魅力的だ。思わず曲の世界観に引き込まれてしまう美しくも切ない一曲。
05誓い
結婚式のBGMにもぴったりなプロポーズの歌。恋人との出会いからこれまでの思い出を回想し、心に決めた“誓い”の言葉とは……。ハートウォーミングなサウンドに癒される、感動のナンバーだ。
06青い契り
シリアスでもの悲しいメロディ、かすれ気味のシャウト、熱い思いをぶちまけるようなギター……。ハッピーにも思える詞に情熱的ながらも短調のサウンドを乗せることで、愛する二人の行く末を示唆しているように思える。
07オリオンの炎
別れてしまった“君”への思いを星空に託したバラード・ナンバー。現状を悔やむより前に進みたい……、そんな熱い思いが詰まっている。エコーがかかった幻想的なサウンドが、ロマンティックな雰囲気を演出している。
08君をつれて
穏やかでありながら情熱を感じさせるピアノの音色と、軽やかなリズムを刻むドラミングに心が弾むポップ・チューン。新しい明日へ向かうことへの期待感を歌ったハッピーな歌詞も心地よさ満点だ。
09君は君でいたいのに
“僕”が傷つけてしまった“君”への後悔の念と変わらぬ愛情を歌う、手紙のような詞に胸が締めつけられるラヴ・ソング。間奏から流れるストリングスの壮大な響きと、淋しげなピアノの音色のコントラストが切なさを強調している。
10My Life
泣きたい気持ちを我慢して頑張って生きてきた人を励ます清らかなバラード・ナンバー。声を張り上げることをせずに、感情を抑えるように歌うヴォーカルが、楽曲のテーマをより浮き彫りにしている。
11恋をしてゆこう
通算36作目のシングルは、等身大の二人でいようと語りかけるラヴ・ソング。サビの高音をあえて張りあげないことで、彼の優しい声がより際立っている。JR東日本『大人の休日倶楽部』2006、CMソング。
12happiness
抑えたピアノとギターをバックに、ほぼアカペラ状態で披露するスロー・バラード。今後はみんなのために歌いたいという徳永が、誰のそばにもあるはずの“しあわせ”を歌う。本人初出演映画『旅の贈りもの0:00発』の挿入歌。
13抱きしめてあげる
恋人への真摯な愛を綴った甘いラヴ・バラード。恋することの切なさを細やかに描写したクオリティの高い詞にも感心させられるが、単にエネルギッシュに歌うのではなく静かな情熱を感じさせる“引き”のヴォーカルが見事。
14愛が哀しいから
愛があれば生きていける……。そんな無垢で純粋な気持ちにさせてくれる、エヴァーグリーンなバラード・ナンバー。聴き手を包み込むような優しいヴォーカルと流麗で切ないメロディに心癒される。