ミニ・レビュー
三人組ロック・バンドの7枚目のアルバム。先行シングルでリリースされた、名曲「こいうた」を凌ぐとも言われるミディアム・バラード「ふたしかたしか」を含む全12曲。一発で彼女たちだとわかる独特のギター・サウンドは、今作でも健在。
ガイドコメント
通算7枚目となるフル・アルバム。TVアニメ『イタズラなKiss』エンディング曲「片思いファイター」やリード・シングル曲「ふたしかたしか」などを収録。キュートだけどハード、キャッチーだけどクールな独特のバンド・サウンドの集大成だ。
収録曲
01地球最後の日
激しいサウンドで始まるアッパー・チューン。“地球最後の日になったら あなた以外は何の価値もない”という“あなた”に対する強い想いが、ストレートに綴られている。“あなた”への抑え切れない衝動をぶつけるようなエネルギッシュなドラムが印象的。
02ちんとんしゃん
妖しげな歌い方で始まる、彼らお得意の和風テイストのロック・ナンバー。アッコ独特の古風な言い回しを使った詞が、見事にサウンドとマッチしている。童謡「チューリップ」を思わせるメロディを用いるなど、茶目っ気もたっぷり。
03アンテナ
7thアルバムのタイトル曲となった、エモーショナルなサウンドで始まる疾走感あふれるナンバー。なじみやすい言葉で綴られた詞は、読めば読むほど心に響き、悩みを抱えている人へ励ましを送っているようだ。アッコとユウのハモリも健在。
04ふたしかたしか
15thシングルとなった、名曲「こいのうた」を凌ぐ完成度のミディアム・バラード。“確かなこと”を集めても“不確かなこと”ばかりという不安が募る内容だが、その反面、アウトロの美しいメロディのループからは希望が感じられる。
05飛び跳ねマーチ
タイトルどおり、飛び跳ねるように弾んだ歌声とリズミカルなサウンドでいっぱいのポップ・ナンバー。アッコとユウのヴォーカルが非常に楽しげで、小さなことでくよくよしている気持ちも吹き飛ばしてくれる。GO!GO!らしいグルーヴィなギターがうなる間奏もグッド。
06食わずギライ
ユニークな詞とリズミカルなサウンドが特色のミディアム・ナンバー。イントロとサビはダンサブルな4つ打ちで、ポップ感が増している。“食わずギライ”という欠点があってもまったく気にしない、開き直った前向きな姿勢がいさぎよくも映るといった内容だ。
07片思いファイター
アッコがコミック『イタズラなKiss』に影響を受けて作詞した14thシングルで、後にアニメ化された同作品のエンディング・テーマとなった曲。片思いの気持ちの変化が前髪の長さで表わされるという内容で、駆け抜けていくサビにその一途な想いがリンクする一体感が気持ちいい。
08on the まゆ毛〜切りすぎて〜
アグレッシヴで激しく重たいサウンドに対して、ユニークな詞が印象的なロック・ナンバー。サビの“On the まゆ毛”というフレーズの繰り返しとメタルのようなドラムのターキーのシャウトが、ミスマッチでおもしろい。
09コミュニケーションギャップ
歌謡テイストが入り混じったロック・ナンバー。“あなた”とのコミュニケーションに悩む“あたし”の気持ちが歪んだギターや疾走感あふれるサビに表われるが、同時に二人の“ギャップ”に挑戦していく姿勢も感じられる。
10満天の星 春の庭
普段は作詞が多いアッコが作曲に加わった、繊細な歌声とノスタルジックなサウンドで聴かせる一曲。弱さを隠して強がっていた心の緊張が解け、自分が素直になれた小さな喜びと明日への希望が感じられる、優しく温かい詞が魅力。
11ハモリエヴリデイ
陽気なギターとカウベルが鳴らされた後、アッコとユウのハモリで始まる軽快なリズムのナンバー。“あたしの毎日は君がいなくちゃどうにもならない”“どんな未来でも受けて立つから どんとこい”というサビの詞が頼もしく、彼女らの絆を歌っているようでもある。
12雨の日だけの恋
ターキーが詞曲を担当し、メンバー3人がそれぞれヴォーカルを務める、リズミカルで明るいポップ・チューン。人間に恋をしたアマガエルについて、雨の日でもハッピーな気分にさせてくれる一曲として楽しく描いている。