ミニ・レビュー
デビュー20周年記念の年に発表する通算15作目。派手なファンファーレで始まるタイトル曲をはじめ、スカ・ビートが基本なのは当然ながらも多彩なアレンジで楽しませてくれる。また今回で3回目の共演とらる英ダブ界の大御所、デニス・ボーヴェルとの3曲も聴きもの。
ガイドコメント
デビュー20周年となる2009年発表、通算14作目のオリジナル・アルバム。イギリスのサッカー・チーム、リバプールFCのサポーター・ソングとして有名な「ユール・ネバー・ウォーク・アローン」のカヴァーなどを収めている。
収録曲
01Routine Melodies
レゲエ調にアレンジされた陽気なミディアム・ナンバー。にぎやかなスカとメンバー全員によるコーラスが、気持ちのいい常夏を思わせる。KITAHARAの快活に奏でるトロンボーン・ソロが盛り上げる、陽射しいっぱいの日に聴きたい一曲。
02Paradise Blue
ゴージャスなファンファーレで始まり、メンバーそれぞれのソロが交互に演奏されるインストゥルメンタル。なかでもOKIの軽快なピアノ・ソロがスパイスとなって、いっそう華やかさを増している。豪華絢爛でスウィンギーなジャズ・ナンバー。
03疾風の剣
スカ・ジャズに昭和のブルースをミックスしたようなミディアム・インストゥルメンタル。刑事ドラマを思わせるような颯爽とした男前なメロディが、ワイルドで大人の色気を感じさせる。“疾風の剣”のごとく、勢いが止むことなく突き進む刺激的な一曲。
04Heaven's Door
細かく刻んだ裏打ちと快活なメロディを奏でるホーンが色鮮やかなポップ・チューン。天国への鍵を手に入れるには自分の夢へ向かって前進することから始まると、リズムにのせて語る人生応援ソングだ。暑い夏の陽射しの中を駆け出したくなる一曲。
05WITCHING HOUR
平凡な日中を過ごしたとしても、真夜中には素敵な何かが待っているかもしれない……。そういわんばかりに奏でられるブルージィでビターなミディアム・ナンバー。煙をまとわせたクールなサウンドが、甘い危険を匂わせている。
06そばにいて黙るとき
ポップだが、ちょっぴり切なく余韻のあるメロディアスな一曲。クライマックスではユニゾンで恋人と未来について歌っている。何が起こるか分からない未来に不安を抱えながらも穏やかな幸せを祈るというところに、哀愁漂う男気が感じられる。
07Like Jazz On Fire
スリリングに目まぐるしい変化で魅せるファンキー・ジャズ。ゴージャスなサウンドが空間いっぱいにあふれ、爽快に駆け抜けていく。ワイルドなサビを中心に、即興さながらのライヴのような演奏だ。タイトルどおり“灼熱のジャズ”そのもの。
08さよならワルツ
マカロニ・ウェスタンのような勇ましいパーティ・ソング。渋みを帯びたトランペット&サックスが奏でるメロディと切れのあるいかついエレキが、スパイスとしてうまく絡み合っている。激しく手荒だが、そのワイルド感がたまらない。
09Already Steady
ラテンとジャズの要素が交じり合った、トロピカルなインストゥルメンタル。爽やかなサウンドが目の前いっぱいに広がっていくよう。まったく聴き飽きることのない、余裕たっぷりの自信がうかがえる演奏だ。
10You'll Never Walk Alone
ダブ界の至宝であるデニス・ボヴェルがエンジニアを手がけたカヴァー曲。原曲よりも跳ねたポップな曲調だが、落ち着いた渋みも持ち合わせている。世界中のサッカークラブのサポーターに歌われるアンセムとしても著名なナンバーだ。
11カルナバル
ワイルドかつクールなロック・テイストのミディアム・スロー・ナンバー。野武士のような激しいエレキが印象的。ボンゴ・コンガやマラカス、カバサなどパーカッションが、エキゾチックな異国の香り漂う空間を作り上げている。
12Sugar Fountain
落ち着きのあるラテン調のミディアム・ナンバー。スティールパンが心地よい常夏のリゾートを想像させる。ところどころに聴こえる鳥のさえずりや親しみやすいメロディを奏でるサックスとトロンボーンによって、上質な大人の夏を演出している。