ミニ・レビュー
この曲の第3楽章の響きにこれほど多様な表情が潜んでいたのかと認識が洗われる。殊更な仕掛を弄しているわけではない。敬虔崇高な構えを作らず、沈着に耳を働かせて響きの色や質感の違いを引き出すことで、遥かな想いが巡りゆく未見の音の姿が浮かび上がる。★
ガイドコメント
ヤルヴィとフランクフルト放送響との、第7番に続くブルックナー・チクルス第2弾。メロディ・ラインを磨き透明性を高めた、神秘性とロマンティシズムに傾きすぎない第9番を切り拓いている。
収録曲
ブルックナー:
01交響曲第9番ニ短調 WAB109 (B=G、コールス校訂ブルックナー協会クリティカル・エディション (2000年))
演奏
パーヴォ・ヤルヴィ指揮 フランクフルト放送交響楽団