ガイドコメント
約2年ぶりとなる3rdアルバムは、豪華プロデューサーを迎えたポップな仕上がり。全曲の作詞・作曲、そしてプロデュースに彼女自身が関わった、思い入れの深い作品となっている。
収録曲
[Disc 1]
01IF I WERE A BOY
“私が男だったら、もっと上等な男になってるわ”と彼女を大切にしなかった男に対して“あなたは半人前よ”と強烈なパンチを食らわす曲。トビー・ガッドとビヨンセの共作による静寂ながらも訴求力の強いフォーク風バラードだ。
02HALO
厳かなイントロから幕を開けるミディアムR&B。ヒップホップ調のトラックにストリングスを絡め、教会風の雰囲気を醸し出している。“あなたに光輪を感じる”と高らかに歌う、ライアン・テダーとビヨンセの共作曲。
03DISAPPEAR
アマンダ・ゴースト、デイヴ・マクラクレン、イアン・デンクとの共作によるシンプルなミッド。プロコル・ハルム「青い影」やギルバート・オサリバン「アローン・アゲイン」風の面影をちらつかせながら、目の前から恋人が消えていく瞬間の失望を歌う。
04BROKEN - HEARTED GIRL
恋に破れた女性にはなりたくないと思いながらも、相手を愛せずにはいられない葛藤を歌った曲。プライドと女性らしい慎ましさの両面を見事に描写している。落ち着いた雰囲気だがメロディアスな楽曲制作はスターゲイト。
05AVE MARIA
スターゲイトとの共作によるパーソナルなミディアム・ナンバー。有名な「アヴェ・マリア」のフレーズを採り入れながら、世界を飛び回って仕事に忙殺され自身を見失った時に心の救いとなってくれた人のことを歌っている。
06SMASH INTO YOU
アコースティック・ギターを効果的にフィーチャーした、トリッキー・ステュワート&ドリームによるラヴ・ソング。ゆったりと大らかに歌ってはいるが、歌詞は“走ってあなたにぶつかっていきたい”という激しい喜びを示している。
07SATELLITES
しっかりと愛を築かないと“衛星”のようにたまにすれ違うだけの関係になってしまうという不安を歌う。3分ほどの短いトラックにアコギを配した、旧き良きシンガーの曲といった佇まいだ。アマンダ・ゴースト、デイヴ・マクラクレン、イアン・デンクとの共作。
08THAT'S WHY YOU'RE BEAUTIFUL
アンドリュー・ヘイとの制作による、音数の少ない渋味のあるギターとドラムのアレンジが栄えるトラック。“深く愛し合っている二人は美しい”というくだりは、自身とジガことジェイ・Zとのことを示しているのかもしれない。
09SAVE THE HERO
ジム・ジョンシン、リコ・ラヴとの共作曲。厳かでゆったりとした曲調のなかで“助けを求めている時に救ってくれるのは誰?”と歌うが、自己を犠牲にてスターという強い女性の象徴となった自身の悲痛な叫びを代弁しているようにも聞こえる。
[Disc 2]
01SINGLE LADIES (PUT A RING ON IT)
快活なクラップと“オッオッオー”というフレーズで大胆にリードするトリッキー・スチュワート&ドリーム制作のアップ。ビヨンセの別人格“サーシャ・フィアース”を代表する曲で、別れた男に“いまさら恋しがっても後の祭りよ”と突き放す女性へのアンセム。
02RADIO
うねりのあるメロディ・ラインとクラブ調アレンジが特色のアッパー・チューン。制作はジム・ジョンシン、D・タウン&リコ・ラヴとの共作で、父親に買ってもらったカラオケ・マシーンで楽しんでいた子供の頃の思い出をテーマにしている。
03DIVA
ションドレ“バングラデシュ”クロフォードとショーン・ギャレットとの共作によるヒップホップ調ミッド。エフェクト・ヴォイスによる“私はディーヴァ”というループをバックに、攻撃的で男勝りの女性を演じている。
04SWEET DREAMS
自身が大胆なダンスを披露する「クリスタルガイザー」CM曲として話題のダンサブルなアップ。甘い夢でも素敵な悪夢でもあなたの夢なら醒めたくないと、恋人との幸せな関係を歌っている。制作はジム・ジョンシン、ワイン・ウィルキンス、リコとの共作。
05VIDEO PHONE
ションドレ“バングラデシュ”クロフォードとショーン・ギャレットとの共作によるフロア・ライクなミディアムR&B。“私が欲しいなら携帯動画で撮って何度も見ればいいわ”と妖しくそして強気に迫るビヨンセに、男どもはタジタジになるはず。
06HELLO
“ハロー”の一言であなたに魅了されたのと恋人への愛を歌うミディアムR&Bチューン。ピアノで幕を開け、クライマックスへと近づくたびに高ぶる渾身のヴォーカルが堪能できるアグレッシヴなラヴ・ソングだ。REOとの共作曲。
07EGO
おおらかで快活なホーンと鍵盤を配したゴスペルの薫りも漂うミッド・スロー。ゆったりとしたスナップのリズムに乗せ、大言を実行するタフでエゴのある男が好きと歌うのが別人格“サーシャ・フィアース”らしい。エルヴィス・ウィリアムス&ハロルド・リリィとの共作。
08SCARED OF LONELY
ロドニー“ダークチャイルド”ジャーキンス印の、胸騒ぎや不安をかき立てるようなせわしさを感じるストリングスと鍵盤の音が特徴のミディアム。別人格“サーシャ・フィアース”と真の自身との狭間で、孤独におびえる心境を吐露している。
09WHY DON'T YOU LOVE ME
バマ・ボーイズとの共作によるファンキーなアップ。ルックスも美しく、頭脳も経済的にも文句なしの私をなぜ愛してくれないのと強い不満をぶつけるが、最後に“あなたがおバカさんなのかもね”と言い放つところが強気な女性“サーシャ・フィアース”らしい。