ミニ・レビュー
18枚目のアルバム。亀田誠治やYANAGIMANによるストリングスを使ったゴージャスなアレンジと、蔦谷好位置のエレクトロ的サウンドとが混在し、一本調子にならずバランスの取れた仕上がり。宮本浩次は相変わらずパワフルだが、いい意味での軽さもあり、懐の深さも感じさせる。
ガイドコメント
エレカシが不安定な世の中を生きる人々に贈る名盤。四季をテーマにした本作では、「絆」「新しい季節へキミと」など既発シングルもたっぷりと収録。彼らならではの力強い歌と叫びが詰まっている。
収録曲
01Sky is blue
心地よさと気だるさの両方を持ち合わせたスライド・ギターが印象的なミディアム・スロー・ロック。柔らかくもしゃがれた声で熱く歌う宮本に男臭さが感じられる。太陽に駆り立てられて新たな自分に生まれ変われるという詞が心強く響く。
02新しい季節へキミと
新たな気持ちでスタートを切れるような清々しいナンバー。軽快なリズムと爽快なメロディに乗せて歌われる、伸びやかな宮本の声に勇気づけられる。ストリングスによって壮大さを生んだアレンジもよい。
03絆 (きづな)
映画『相棒シリーズ「鑑識・米沢守の事件簿」』主題歌に起用された38枚目のシングル。ストリングスを取り入れ、どこか哀愁を帯びながらも温かく流れるメロディが印象深いミディアム・スロー・ナンバーで、男気を感じさせる宮本の歌い方にも注目。
04ハナウタ〜遠い昔からの物語〜
サントリー「焼酎はなうた」のCMに使用されたはなむけの曲。柔らかなハモンドオルガンをバックにしたピアノとアコギがリードするメロディは、温かさのなかに強さを感じさせる。穏やかに歌い始め徐々に熱くなる宮本の声が清々しい。
05あの風のように
爽やかなメロディと開放感のある歌い方が魅力のナンバー。冬から春に移る瞬間の輝きや喜びを表わす明るく軽やかなサウンドと前向きな詞が、心を躍らせ力をみなぎらせていく。最後の宮本の語りにも注目。
06おかみさん
重たいベースと徐々に激しさを増していくギターによるハード・ロック調のナンバー。気だるくも厚みのあるサウンドで聴かせるサビが印象的で、宮本のしゃがれ声やシャウトによくマッチしている。皮肉や哀愁が混ざった詞がおもしろい。
07It's my life
軽やかなメロディと詞がマッチしているミディアム・ロック・ナンバー。静かで爽やかなイントロからリズミカルなサウンドへ展開すると、宮本のしゃがれた歌声も弾む。タンバリンがポップなアクセントをつけている。
08ジョニーの彷徨
男らしく堂々と歌いきる宮本の声に力強さが見えるロック・ナンバー。打ち込みのためデジタル色が強く表われているが、チープなイメージをまったく感じさせない重厚感と躍動感は見事。どこか哀愁を感じさせながらも熱い情熱がたぎる一曲。
09ネヴァーエンディングストーリー
哀愁漂うメロディと淡々としたヴォーカルで始まるバラード。徐々にエモーショナルになっていく宮本の歌い方が切ない。相手を想う強い気持ちが一途に表われた、静から動へと展開するギターも心を打つ。
10to you
悩みながらも迷わず前進する姿勢を歌った、38枚目のシングルのカップリング曲。“to you”と歌う裏声や清々しく爽やかなサウンドが、明日への希望や旅立つ勇気にエールを送っているようだ。
11桜の花、舞い上がる道を
東京新聞のCMソングに起用された36枚目のシングル。1年掛けて作り上げ、エレカシの一つの到達点となった曲で、後ろを振り向かず前に進むことが大切だということを教えてくれる詞が温かい。サウンド・プロデュースは亀田誠治が担当。