ガイドコメント
98年4月のデビューからの10年間を締めくくる、通算10枚目となるオリジナル・フル・アルバム。歌詞や歌唱、アレンジなどに活動11年目に向けたさらなる“進化”を感じさせる一枚だ。
収録曲
01Bridge to the sky
10thアルバム『NEXT LEVEL』のオープニングを飾る約1分40秒のイントロダクション。中野雄太による打ち込み系クラブ・チューンで、タイトルよろしく、大空を闊歩していくようなスケールと爽快さを持ったトラックだ。
02NEXT LEVEL
パナソニック「LUMIX FX40」CFソングで10thアルバム・タイトル曲。次のステージへ歩きだそうと“僕達”の視点で語りかけるが、“過去に残した傷跡さえ今は愛しい”のフレーズには自身の心境もチラリとのぞかせる。D・A・I作曲のミッド。
03Disco-munication
エレクトロなエフェクトと骨太なギター・サウンドを組み合わせたCMJKによる約1分半のインスト。ヴォーカルを切り貼りし、デジタルと和を融合させたサウンドは、クールに見えても心のつながりを求めている現代の若者の苦悩を表現しているよう。
04EnergizE
“put your hands up together”の煽り&クラップを軸に展開するアップ。ボトムは意外とファットだが、“結局どんな君も好き”というポジティヴな詞と明朗なメロディにより、キャッチーに仕上がっている。あゆの歌唱も晴れやか。
05Sparkle
ダークで妖しいムードのボトムが特徴のクラブ・チューン。眺めているだけじゃ始まらないと、怖じ気付く心を見透かすように、“No No No”と挑発的な歌唱で迫る。ホンダ「ZEST SPARK」CMソングとなった45thシングル。
06rollin'
オートチューンを用いるなどエレクトロな色合いを深めたCMJKのアレンジらしいアップ。エフェクトから素のヴォーカルへと移行する展開が妙で、一瞬先は闇という表裏一体の人生をどう生きるのかと問いかけられているよう。
07GREEN
パナソニック「LUMIX FX37」CFソングとなった44thシングル。艶やかで淑やかな和をイメージさせるサウンドをバックに、素直になれずにいた自身を改め恋心に思うままにしたいと綴る。季節感ある色彩と叙情的な詞も日本らしさに一役買っている。
08Load of the SHUGYO
CMJKによる、アルバム『NEXT LEVEL』収録の約1分半のインタールード。僧侶の日々の修行を想起させるストイックな雰囲気と“ドン、ドドン”というボトムから、一転してヘヴィなギター・サウンドが狂い咲くダイナミックなインスト曲だ。
09identity
まっすぐぶつかって、何にでも頷けないのが、私のIDと宣言する自己顕示ソング。うねり狂うハードなギター・サウンドのなかで、“解ってるんでしょう?”と心をえぐり、“必要なのは、どうあるべきか”とクールに啖呵を切るヴォーカルが潔い。
10Rule
分厚いボトムとヘヴィなギターが切迫するシリアスな世界観を創るアッパー・ロック。既成概念をぶち壊せと強く突きつけるが、ともに行こうと手を差し伸べる勇敢さも見える歌唱が出色。映画『DRAGONBALL Evolution』全世界テーマ・ソング。
11LOVE'n'HATE
決戦直前の不穏さにも似た重苦しい雰囲気と扇動的なサウンドが全面に敷かれたヘヴィ・ロック。冷淡なカウント・アップが、“嫌われたくないから遠く離れた”という覚悟をいっそう悲壮なものにしている。愛するゆえのちぎれるような決断がうかがえる歌唱は見事。
12Pieces of SEVEN
アルバム『NEXT LEVEL』に収録された、HΛLによる約2分半のインストゥルメンタル・トラック。7つのピースを追い求め大海原を漂うような雰囲気の前半から、さまざまな苦難がのしかかるような重厚な後半への展開の対比が強烈。
13Days
逢いたくて仕方ない気持ちを綴ったミディアム・スロー。強い意志を叫ぶことが多い浜崎のなかに見え隠れする、真の優しさが描写されたような温かいラヴ・バラードだ。微笑ましい歌唱が印象的な44thシングル。
14Curtain call
ニルソン「ウィズアウト・ユー」を思わせるシンプルで美しいピアノ・リフを基調にしたラヴ・バラード。言葉で上手く言えないが、この歌は“心からの愛のうた”だというところに、浜崎らしい不器用さと照れが同居している。