ミニ・レビュー
約2年ぶりのサード・フル・アルバム。斉藤和義、野村義男、THEイナズマ戦隊、マシコタツロウなど個性豊かな作家陣が参戦、その個性に負けないほどオモシロ&男前でガンガン攻めるキャラクターを活かしきった作品だ。アイドルの規格を外れたクオリティをみせる秀作。
ガイドコメント
約2年ぶり、通算3作目となるアルバム。さまざまな音楽ジャンルの要素がちりばめられた、まさに“パズル”のような一枚。彼らならではの温かいヴォーカル・ワークも秀逸の仕上がりだ。
収録曲
[Disc 1]〈KANJANI∞〉
01一秒 KISS
キューンと鳴いてから速弾きへと移行するギターで幕を開ける、野村義男作詞曲によるロック・チューン。ゴリゴリではなく、派手やかなホーン・アレンジを加えたゴージャスな仕立てだ。一秒でも早くキスしたい欲望をかりたてる“KISS! KISS!”の叫びに熱も高まる。
02アカイシンキロウ
林田健司らしさが光る80年代ディスコ調アッパー・ファンク。めまぐるしい抑揚を持ったストリングスのドラマティックな旋律に乗せ、君だけが僕だけのLadyと訴える。ミラーボール輝くムードの勢いそのままに、ご機嫌なフェイクやシャウトを披露。
03パズル
斉藤和義制作の3rdアルバム・タイトル曲。斉藤らしい朴訥としたギター・ポップで、ストリングスを配した悲しげな曲調だが、屈託ない歌唱によってかすかな希望が見えてくるのがいい。「東京で足りないピースを探してる」と歌う慕情ソングだ。
04渇いた花
自らの過去を嘆き、その痛みを消すため今は泣かせてと歌った、コダマックス制作によるミディアム・チューン。ワウ・ギターやホーンに裏声フェイクなどを駆使した、センチメンタルな歌謡曲風ファンクとなっている。
05ゴリゴリ
上中丈弥が詞を、久保裕行が曲を担当した、THEイナズマ戦隊コンビによる青春ロックンロール。何度挫折しても自分の道を進むしかないという決意を“俺道ストレート”と潔く表現。ヤンチャな男っぷりをみせる歌唱が微笑ましい。
06イッツ マイ ソウル (KJ3 MIX)
7thシングルの別ヴァージョン(KJ3 MIX)。惚れた弱みなら彼女のワガママに振り回されても仕方ないという前向きな詞は、関西人の彼らにはピッタリ。嫌なことも笑い飛ばせそうな、明るいディスコ・ファンクだ。
07ローリング・コースター
目当ての相手を前に心が右往左往する様子をローリング・コースターに見立てた恋愛ソング。キャッチーなメロディのポップ・ロックだが、クセのある歌唱やヴォーカル・エフェクトといった工夫がいいアクセントとなっている。
08My Last Train
「もらい泣き」などの一青窈作品で知られるマシコタツロウ作曲のバラード哀歌。麗しい鍵盤とストリングスを背景に“Love Love……”と連呼する切なく美しい歌だが、昭和歌謡風の歌唱とのギャップがツボ。
09無責任ヒーロー
2000年代の植木等風“何とかなるさ”的応援歌。派手やかなサウンドをバックに“ジャジャジャジャーン”と笑って誤魔化し、無責任ヒーローと言い切る開き直りっぷりが痛快。日本テレビ系『江川×堀尾のSUPERうるぐす』テーマ曲の9thシングル。
10ブリュレ
アダルトなグルーヴが駆け抜けるロック・サウンドに乗せ、それぞれ個性的な歌唱を展開するアップ。クレームブリュレのザラメ糖を焦がした固いカラメルを相手の心の壁にたとえ、その甘い殻を破って柔らかい部分に触れたいという妖しい比喩が秀逸だ。
11咲いて生きよ
80年代アイドル歌謡風のアレンジがかえって新鮮に感じるポップ・ナンバー。また会える日までそれぞれの未来で咲き誇れと誓う詞は、出会いと別れの季節にふさわしい。日本テレビ系『江川×堀尾のSUPERうるぐす』テーマ・ソング。
12ギガマジメ我ファイト
上中丈弥(THEイナズマ戦隊)、林田健司、CHOKKAKUの詞・曲・編曲コンビで送るファンキー・ポップ。うなるようなフェイクをちらつかせ、泥臭く不器用でも人生かけるぜと高らかに歌う。青春浪花節ともいえる豪快さに感服。
13情熱Party
TAKESHI制作による爽快なロック・チューン。まだ目の前に何もなくとも、希望の行き先に終わりはないと教えてくれる応援歌だ。「まだまだこれからだぜ」と肩を叩いてくれるような清々しさに、きっと勇気も倍増するはず。
14ワッハッハー
笑えば楽しい高鳴りがみなに訪れると歌うハッピー・ロック。“ケタケタ”“アッハッハー”など笑い声を詞にするだけでなく、本当に楽しげな笑いや掛け声を折り込んでいる。茶の間ドラマ的な雰囲気に心弾む8thシングル。
15どんなに離れてたって傍にいるから
ハーモニカや土臭いギター、味のあるオルガンなど、詞曲を手掛けたSIONの世界観が存分に表われたミディアム・ロック。もっとお前にふさわしい俺になってかっさらいに行くと歌うにはやや貫禄が足りないが、無理に背伸びをせずに自然体に徹するところは好感。
[Disc 2]〈SOLO Collection〉
01words (渋谷すばる)
02no-no-no (大倉忠義)
03アイライロ (安田章大)
04One's shadow (村上信五)
05ワンシャン・ロンピン (丸山隆平)
06413man (横山裕)
07Half Down (錦戸亮)