ミニ・レビュー
ストックホルムで初の海外レコーディングを行なって完成した4枚目のアルバム。バンドとして原点回帰し、そぎ落として残った音楽のみで表現されたサウンドは、エレクトリックなクールさと、ロックの持つ熱さが融合した唯一無二のオリジナリティにあふれている。
ガイドコメント
亀田誠治プロデュースによる先行シングル「Sugar!!」や、スウェーデン・ストックホルムでのバンド初となる海外録音楽曲を含む4thアルバム。さまざまな経験と音楽への思いを、ハートフルでポップなロック・サウンドに凝縮した一枚。
収録曲
[Disc 1]
01バウムクーヘン
ストックホルムでレコーディングをされたメジャー4thアルバム『CHRONICLE』のオープニング・ナンバー。不器用で臆病な“僕”の心の内を、軽快なリズムとキャッチーなサウンドに乗せて歌う。“チェッチェッチェ”と繰り返すフレーズが印象的。
02Sugar!!
亀田誠治プロデュースによる11thシングル。疾走感あふれるサウンドに乗せて、“全力で走れ”と自分自身にエールを送る。キュートかつスペーシーなキーボードが士気を高めてくれる。J SPORTS『2009 WBC』中継テーマ・ソング。
03Merry-Go-Round
意中の君に対する抑えられない衝動をストレートに描いたアップ・チューン。イントロからいきなり高揚感をもたらすノリのよいキーボードのサウンドと間奏の歪んだギターが魅惑的。“行けーーーー!!”とシャウトする志村が新鮮だ。
04Monster
女に振り回される男の性を描いた詞を、ヘヴィで攻撃的なサウンドに乗せたロック・ナンバー。これまでにない志村の、高速ラップのような淡々とした歌唱が印象的。憤りがにじみ出たようなサビの“速度あげたら止まんない!”というフレーズも耳に残る。
05クロニクル
失恋の気持ちをキャッチーで耳なじみのよいサウンドに乗せて歌う、メジャー4thアルバムのタイトル・ナンバー。シンプルな言葉で、出会いや別れを経験することの大切さを教えてくれる。恋や夢に悩む若者の心をつかむ一曲に仕上がっている。
06エイプリル
大切な人との別れを描いた一曲。“何かを始めるのには 何かを捨てなきゃな”という詞からは、今を必死に生きる覚悟と同時に、人生に対する虚無が感じられる。憂いを帯びたサウンドから躍動感あるサビへの変化が、詞とマッチしている。
07Clock
ひとりぼっちになってしまった寂しさを淡々と描いたセンチメンタルなナンバー。軽やかに弾かれるアコギや、サビの透明感あるピュアなサウンドはほのかに温もりを感じさせるが、それが返って切ない歌詞を強調している。
08Listen to the music
緩やかな雰囲気を持ったサウンドを背に、ハーモニカやアコギがアクセントとなってメリハリをつけるサイケデリック・ポップ。自分たちの音楽に対するレスポンスを求めるようなユニークな詞を、気だるそうに歌う。聴き手までもが気を抜かれてしまいそうだ。
09同じ月
過去の恋人を思い出し、結局変われない自分を心情を描いたポップ・ナンバー。“君の言葉が今も僕をしめつけるのです”と歌うサビからは後悔が感じられる。穏やかかつ色鮮やかなサウンドに挟まれる間奏のギターが情緒的。プロデュースは亀田誠治。
10Anthem
別れた恋人へ捧げた“アンセム”。いつでも自分の味方でいてくれた君がいなくなってしまった悲しみが、“いない いない いない いない……”と繰り返されるフレーズに込められている。壮大で深みのある柔らかいサウンドが歌詞と相まって涙を誘う。
11Laid Back
突き抜けた明るさを持ったサウンドが特色のロック・ナンバー。賑やかなキーボードが魅力のほか、華麗なギターのライト・ハンドが耳を引く。志村の弾む歌唱に加わるコーラスやクラップが、楽曲の存在感をいっそう強めている。
12All Right
ハードなギター・リフが特徴のヘヴィ・ロック・ナンバー。アッパーで重厚なサウンドと“Yeah! All Right!!”という力強いシャウトに胸の高鳴りを感じられずにはいられない。彼らの音楽に対する熱い想いが爆発したかのような一曲だ。
13タイムマシン
美しいメロディのピアノのバックでキーボードが静かに響くバラード。君と一緒にいたあの頃に戻りたいという想いが込められた詞を、切々と歌う志村の声に涙腺が緩む。特に“後悔だけはしたくないのです”というフレーズが心に沁みる。
14ないものねだり
なかなか気持ちを伝えられない悩みを、何気ない日常の風景とともに描く。情景が思い浮かぶような温かみのあるサウンドと素朴で優しい志村の歌声が心地よく、すんなりと耳に入ってくる一曲だ。シンプルでもどこかサイケ感漂うのが彼ららしい。
15Stockholm
海外レコーディングによる4thアルバム『CHRONICLE』のなかで、唯一ストックホルムで書き上げられた曲。雪が積もる風景と君への想いをシンプルに綴った詞を、ゆったりと歌う。静かなサウンドだが、壮大さを感じさせる名バラードに仕上がっている。
[Disc 2]〈DVD〉〈ストックホルム“喜怒哀楽”映像日記〉
01Sugar!! (ビデオ・クリップ) (スウェーデンドキュメント45sec ver.)
02Sugar!! (アコースティック・ライブセッション at“COLD ROOM”)
03ルーティーン (レコーディングセッション at Monogram Recordings)
04北欧選手権 in Stockholm、Sweden
0525日間に渡る初の海外レコーディングドキュメント (メンバーによるオーディオ・コメンタリー収録)