ミニ・レビュー
テクストを尊んだヴォルフよろしく、言葉を丁寧に扱い、柔らかく温かい声で歌い紡ぐ。「捨てられた娘」の寂寥感も押し付けがましくなく内側から漂い出、名曲「隠棲」での名唱も胸に染みる。ベテラン、ドイチュの伴奏は音色、バランス、間など、どれも格別の味わい深さ。★
ガイドコメント
ウィーン国立歌劇場を本拠に、メゾ・ソプラノを代表する歌手となった、キルヒシュラーガーによるヴォルフ歌曲集。プロデュースは元デッカのレイバーンで、ドイチュの名伴奏を得た彼女の声質と深い表現力により、ヴォルフの世界を余すところなく味わえる。
収録曲
ヴォルフ:
01ゲーテ歌曲集〜第29曲「アナクレオンの墓」
02メーリケ歌曲集〜第42曲「乙女の初恋の歌」/第2曲「子供と蜜蜂」/第3曲「夜明け前の楽しいひと時」/第9曲「尽きることのない愛」/第7曲「捨てられた娘」/第8曲「出会い」
03ゲーテ歌曲集〜第5曲「ミニョン1」/第6曲「ミニョン2」/第7曲「ミニョン3」/第9曲「ミニョン (君よ知るや南の国)」
04アイヒェンドルフ歌曲集〜第7曲「ジプシーの娘」/第15曲「災難」/第8曲「夜の魔法」
05ハイネ、シェークスピア、バイロンの詩による4つの歌曲〜第3曲「眠れぬものの太陽」/第4曲「どんなに美しいものも類なく」
06メーリケ歌曲集〜第12曲「隠棲」/第13曲「春に」/第36曲「さようなら」/第39曲「考えてもみよ、ああ心よ」/第15曲「旅先で」
07ケラーの詩による6つの古謡〜第1曲「お入りなさい、気高い戦士たち」/第2曲「私の恋人はフィンクのように歌う」/第3曲「乳飲み子よ」/第4曲「朝露を踏んでさまよえば」/第5曲「炭焼きの女房は酔っている」/第6曲「明るい月のなんと輝かしいことか」
演奏
アンゲリカ・キルヒシュラーガー(MS) ヘルムート・ドイチュ(P)