ガイドコメント
ニューヨークでレコーディングされた8枚目のアルバム。先行シングル「愉快なピーナッツ」をはじめ、ルーツ・ロックやジャズ、ソウル、ブルース、エレクトロニカなどさまざまなジャンルの楽曲が楽しめる。
収録曲
01LV45
心地よさとだるさを感じる柔らかいサウンドをバックに、夢が途切れてしまいそうだという不安や焦燥感を綴る。“回線は悪魔に切られそうだ”という詞とリンクした、歌い終らないうちにブツリと切れてしまうアウトロが印象的だ。
02愉快なピーナッツ
アップル「iPhone 3GS」CMソングに起用されたナンバー。ほのかに脱力感のあるサウンドのなかで、解決策が考えつかない虚しい一日を飾り気のない言葉で描く。“ピーナッツ”“ヴィーナス”“ドーナツ”と韻を踏むサビの陽気さが、陰気な雰囲気を取り除いている。
03太陽のブルース
大鵬薬品「チオビタドリンク」CMソングとなった、ノスタルジックなアコギとメロディアスなピアノに乗せた温かさのある曲。いまや途切れた記憶となってしまった君と過ごした楽しかった日々の心情を、水を与えずに干からびた砂漠にたとえた詞がはかない。
04夜汽車
リズミカルなドラムと陽気なピアノが特徴の明るく爽やかなナンバー。僕と君を乗せて走る“夜汽車”の様子を描いた微笑ましい歌詞を、岸田が弾む声で歌う。“今夜はクリスマス”のすぐあとに奏でられるベルが季節感を漂わせている。
05リルレロ
“蛇の目爛々”や“蛇腹しゅうしゅう”と繰り返される、ユニークな言葉で綴られた独特の詞世界が耳に残るナンバー。ロックを基調とした重厚なサウンドとは対照的な、明るめのキーボードがポップなアクセントとなっている。
06つらいことばかり
エレクトロで不思議な曲調のポップ・ナンバー。“つらいことばかり”だがそんなことは吹き飛ばせという前向きな詞と、短調を基本としながらもリズミカルでほのかに明るさを感じさせるサウンドが、人生の紆余曲折を表わしているようだ。
07さよならリグレット
美しいピアノの旋律を中心とした、ノスタルジーな響きが心地よい20thシングル。懐かしい大切な思い出とこれから歩む道への不安や寂しさを乗り越える勇気を綴る。土岐麻子のコーラスが温かさをもたらす、ハウス食品「ジャワカレー」CMソング。
08かごの中のジョニー
佐藤良成のフィドルがよりアイリッシュ色を強めた、陽気で軽快な曲。自由に奏でられる長いアウトロは、雄大な自然の景色を思い描かせる。言動に振り回され愛想が尽きたジョニーにさよならを言う詞だが、自身の心の葛藤を描いているとも受け取れる。
09Natsuno
エフェクトのかかったギターがノスタルジックで心地よい、草が生い茂る大地と空といった幼い頃の“夏”の情景を色で表現した曲。別れを暗示する“ほつれて切れそうな 赤い糸”という詞が、“夏の”終わりのような寂しさを感じる。
10デルタ
アンティークのような古さと懐かしさを思わせる落ち着いた響きのピアノと、柔らかいギターが心地よいスロー・ナンバー。心の琴線に触れる穏やかで優しいメロディが、純粋ゆえに切なさを感じる心の内を“真っ赤な〜”という言葉で描いた詞に温かみを与えている。
11魂のゆくえ
突き抜けた明るさのリズミカルなピアノに心弾む8thアルバムのタイトル曲。“輝かしい未来は 胸の中で咲く花のよう”というキラキラした希望を感じる詞が、不安や涙を吹き飛ばしてくれるメッセージとして夢を持つ者を後押ししてくれるようだ。
12ベベブ
タンバリンのリズムが高揚感を与える軽快なポップ・ロック・ナンバー。平凡な日常のなかの些細なことでも喜びや幸せを見つけられる前向きな歌詞が、晴々とした気分にさせてくれる。“教えてよ baby boo”と繰り返すフレーズが耳に残る。
13背骨
夢がなくても焦らないでゆっくり前進していけという想いが込められたメッセージ・ソング。人生においてさまざまなことで心が折れそうになっても“背骨”を曲げて下を見るな、“晴れるか曇るか どうでもいいや 前を見ろ”と背中を押す詞が心強い。