ガイドコメント
アメリカの人気ヒップホップ・ミクスチャー・グループ、ブラック・アイド・ピーズの、前作『モンキー・ビジネス』から4年ぶりとなる5thアルバム。リード・シングルとなる「ブン・ブン・バウ」ほかを収録している。
収録曲
01BOOM BOOM POW
ハッキングでネット流出するもシーンを席巻した、アルバム『The E.N.D.』のリード・シングル&初の全米ナンバー1ヒット。エレクトロの最先端を注入した2009年の代表曲で、彼らがすでに次世代を見据えていることを誇示した近未来的なアップだ。
02ROCK THAT BODY
デイヴィッド・ゲッタが制作、マーク・ナイト、ファンカジェンダの補制作によるエレクトロ・アップ。ロブ・ベイス&DJ EZ・ロック「イット・テイクス・トゥー」を配したエネルギッシュな曲で、“ロックしようぜ”と叫ぶタブーのフレーズが耳を引く。
03MEET ME HALFWAY
ファーギーの悩ましいヴォーカルが印象的な、キース・ハリスとウィル・アイ・アムによる制作曲。互いに歩み寄ろうと恋しい人へ語りかけるラヴ・ソングで、シンセ・ベースが創る未来的なムードと細かく刻まれるギターの焦燥感が特色のエレクトロ・ミッドだ。
04IMMA BE
キース・ハリスとウィル・アイ・アムによるエレクトロ・ファンクで、中盤で転調する展開が巧み。“アマビー、アマビー”と繰り返すフックとうねるフロウが中毒になる、成り上がり宣言ソングだ。自分たちを妬むヤツを余裕で構えて受け流すところが彼ららしい。
05I GOTTA FEELING
フランスのデイヴィッド・ゲッタを起用したエレクトロ・ハウス。“今夜は最高の夜になりそう”と歌うパーティ・アップで、高揚とエネルギッシュな爽快感が伝わってくる。アルバム『The E.N.D.』からの2ndシングルで全米14週連続1位を獲得。
06ALIVE
一度別れた二人が、やっぱりあなたが、君がいないとダメなんだと互いにつぶやく復縁熱望ソング。過ぎ去った時間を埋め合わせるかのごとく、刻々と走るビートに沿って重心の低い歌唱を乗せていく。中盤でのファーギーのスキャットがはらはらとした哀愁を誘う。
07MISSING YOU
プリンツ・ボードとウィル・アイ・アムの共作による、うねるようなボトムが特徴的なエレクトロ・ミッド。終始“あなたが恋しい”と繰り返すラヴ・ソングで、高ぶる感情を抑えきれずに吐露する、ファーギーの情熱的なハイトーン・ヴォイスが印象的。
08RING - A - LING
真夜中のコール・ガールについてのメイク・ラヴ・ソング。ファットなボトムのループと中毒になる“リガリガリンリン”のフレーズが、妖しい一夜のセクシャルなムードをかき立てる。ファーギーの無機質なエフェクト声のラストが好演出。制作はキース・ハリス。
09PARTY ALL THE TIME
“いつまでもパーティするぜ”という文字どおりのパーティ・チューン。陽気なクラブ調エレクトロで、それぞれの歌唱も愉快そのものだが、自分たちの音楽でこの先も踊らせるんだという強い意志と自信が見受けられる。
10OUT OF MY HEAD
ファーギーがぶっきらぼうなヴォーカルで“自分を忘れて思い切り騒ぐんだ”とくだをまき、酔っぱらいを好演。寸劇風のブリッジも酩酊度を高めている。プリンツ・ボードとウィル・アイ・アムによるファンキーなパーティ・ソングだ。
11ELECTRIC CITY
バウ・ワウ・ワウ「アイ・ウォント・キャンディ」のドラム・パターンを用いたレゲエ調エレクトロ。ラガマフィン風に独特の抑揚をつけて歌うファーギーに注目。オレたちのサウンドでうならせてやると叫ぶ、トップランナーを自負する彼らならではのナンバーだ。
12SHOWDOWN
アップル・デ・アップとDJリプレイ制作のファンキーなエレクトロ・アップ。ジャンルの壁をぶち壊してオレたちの音楽を送電してやると歌う、彼らを嫌う者に対する戦闘開始宣言ソングだ。カウントダウンやエフェクト・ヴォイスで終わるアウトロが印象的。
13NOW GENERATION
若い世代について語ったファンク・ロック調。一瞬でつながるネット世界で即座に手に入れるのが今風のやり方だぜと歌うが、それは迅速性ばかり追求し耐性がない若者への皮肉でもある。一方で、オバマ大統領誕生の原動力となった世代だとも言及している。
14ONE TRIBE
クラップと“ウォウ”というコーラスが導くホープフルなヒップホップ。パンゲア大陸(2億5千万年前頃に誕生した超大陸)を例に挙げながら、“私たちは一つの人類、一つの民族”という理念を謳う。序盤の民族音楽調のトラックが、母なる大地を感じさせる。
15ROCKIN TO THE BEAT
ウィル・アイ・アム制作による、ファンキーなクラブ調アッパー・チューン。うねったボトムとメタルを想起させるメロディアスな高速ギター・カッティングが特色。エフェクトをかけた機械的な声でタイトル・コールを繰り返す、未来型ロックだ。
16SIMPLE LITTLE MELODY
ベルリン出身のアレクサンダー・リダのソロ・プロジェクト、ボーイズ・ノイズ制作のディスコ・エレクトロ・ロック。“3+1=4=BEP”と数式を用いながら、愛は技術や算術で語るものじゃなく、シンプルなメロディのようにそれだけで刺激的なんだと説く。
17MARE
インドのプレイバック・シンガー、スワナラサ&ハリハラン「ハイ・ラマ」を敷いた、アップルとDJリプレイ共作のダンサブルなパーティ・アップ。アップルの母国語、タガログ語を取り入れながら、ダンスフロアでマレ=雌馬(女性の比喩か)を追う男を描く。