ミニ・レビュー
半年ぶりのシングルは、西田敏行主演の歴史大作映画『火天の城』の書き下ろし主題歌。川村結花の作らしいピュアで温かい楽曲、ストリングスとニ胡の幽遠な響き、そして島唄の魂生きる美しい声がたまらなく魅了する。美空ひばりの名唱で知られる小椋佳作をカヴァーしたシンプルな「愛燦燦」も聴きもの。
ガイドコメント
前作から約半年ぶりとなるシングルは、心の深い部分を鷲掴みにする究極の愛のうた。“歌の力”を強く感じられる深い愛を歌った作品だ。コーラスワークとループ感によるR&Bテイストに加えて、二胡なのに和の趣を感じる意欲的なナンバー。
収録曲
01空が空
西田敏行主演映画『火天の城』主題歌として書き下ろされた壮大なラヴ・バラード。空が空であるように君が君であればいいと、シンプルだからこそ説得力のある言葉を歌い継ぐ歌唱は、優しくも硬骨。劉鋒の二胡が鮮烈な印象を与える、心を揺さぶる歌だ。
02愛燦燦
美空ひばりの名曲として知られる小椋佳のナンバーをカヴァー。朝露の滴のように瑞々しいアコギと鍵盤を添えたアレンジは、麗しい歌唱をいっそう引き立てている。悠久な時の流れにも似た雰囲気のなかで人生の情趣を語る描写は、何度聴いても素晴らしい。
03うたかた
タイトル同様にサウダージを感じさせるボサ・ノヴァ調のナンバー。君を夢見ることに想いを馳せる歌だが、ヴェルヴェットのような深みのあるなめらかな声が、さらに上質でまろやかな楽曲へと昇華させている。昼下がりのまどろみを誘うようだ。
04夏の夢
優雅な空間を紡ぎだすギターがいざなう、夏の夢物語。一瞬にして時間の概念を忘れさせる中のヴォーカルは、心を洗う癒しの魔法といえる。自分を見失いがちな日常から少し離れて、夢にきらめいていた幼い頃を思い出してと、優しく語りかける歌だ。
05空が空 (「火天の城」movie version)
西田敏行主演映画『火天の城』主題歌となったシングルの劇中ヴァージョン。オリジナルと異なる中の息継ぎからはじまるイントロ・フレーズは、命を宿す人間の生々しさをいっそう強く印象づける。痛みを包み込む芯の強さがうかがえるナンバーだ。