ミニ・レビュー
Janne Da Arcのyasuのソロ・プロジェクトによるセカンド・アルバム。スリリングなアレンジを施したハード・ロック・ナンバーからメロウな曲まで、叙情的なヴォーカル・メロディをちりばめた楽曲はどれもスケールが大きく、存在感にあふれている。
ガイドコメント
Janne Da Arcのヴォーカリスト、yasuによるソロ・プロジェクトの2ndアルバム。すべてチャート上位にランクインした「20+∞Century Boys」「ジグソー」「眠り姫」「優しい嘘」のシングル4曲ほかを収録。
収録曲
01Mother
神聖な空気に満ちた荘厳な幕開けを迎えるアルバム『Q.E.D.』のオープニング・ナンバー。ストリングスとたおやかなベース・ラインに支えられた優雅なサウンドが特徴だ。無限の可能性を感じさせる温かな言葉で綴られた、希望あふれる内容となっている。
02cord name【JUSTICE】
アグレッシヴなギターを筆頭に、すべての楽器が攻めてくるハードなロック・ナンバー。サウンドの疾走感につられるように、yasuも艶やかながら好戦的な歌唱を披露。“Fake!”“Break!”といった掛け声もワイルドな仕上がりに一役買っている。
03Jigsaw〜ジグソー (Q.E.D. version)
6thシングル「ジグソー」の全英詞ヴァージョン。重さの効いたゴシックなミッド・ロックで、聴くほどに引き込まれるダークな世界観が魅力。結局自分が一番可愛いという人間の愚かさを痛烈に皮肉った衝撃的な内容だ。
04罪と罰〜神様のアリバイ〜
“人は人を裁けるのか”がテーマのアルバム『Q.E.D.』のなかで、もっともそのテーマに最も言及している一曲。哀愁漂うメロディ・ラインが耳を引くアッパー・ロックで、神に正義を問い、人間に絶望するyasuのヴォーカルが悲痛の叫びのように胸に刺さる。
05眠り姫
もう目覚めない恋人に寄り添っていく一途な想いを綴った悲恋歌。ピアノの旋律が美しい柔らかなサウンドと透き通るヴォーカルによって、胸を締め付けるほどにせつない曲となっている。TBS系バラエティ『恋するハニカミ!』エンディング・テーマ。
06チェリーチェリー
アゲアゲな掛け声が特徴的な、リズミカルで明るいロック・ナンバー。片想いの相手に振り回される頼りなさげな主人公の嘆きを描いた内容で、相手の女性の合いの手が随所で入る楽しい構成だ。振り回されてもそばにいたいと歌うどこまでも前向きな一曲。
071954 LOVE/HATE
サイケデリックなシンセが不穏な空気を醸し出す、アダルトでワイルドなミッド・ロック。yasu得意のエロティックなフレーズが満載の刺激的な曲で、オクターヴ違いのコーラスが艶っぽさを引き立てている。
08I'm not a ghost
オリエンタル風のシンセがアクセントとなった、緊張感と疾走感にあふれるロック・チューン。体だけの関係以上になれない女性の叶わぬ恋を綴った内容で、“私を見て! 幽霊なんかじゃない!”と訴える悲痛の叫びがせつない。
09優しい嘘
哀愁漂うサウンドにディレイのかかったピアノが凛と響くミッド・ロック。“嫌い”という“優しい嘘”に甘えたことで終わった恋を歌った悲しいラヴ・ソングだ。失ってから実感する愛しさを切々と語るストレートな詞が胸を締め付ける。
10黒い太陽
一夜だけで焦げるほどに燃え上がる恋に落ちてしまった、情熱的な想いを綴ったアグレッシヴなロック・ナンバー。叶わないと思いながらも抑えられない貪欲な恋心を女性の視点から描いたもので、yasuのヴォーカルもどことなく官能的なものになっている。
11Maria
壮大なロック・バラードからエネルギッシュなパンク・ロックへと展開する清々しい一曲。生きる意味を見失い立ち止まっても、変わらぬ一途な愛を届けるべく、想いを胸に再び前を見据えていく力強い決意を歌っている。
1220+∞Century Boys
前向きなエネルギーに満ちた清々しいアッパー・ロック。たとえ夢見ることで傷ついても、それで明るい未来が作られていくんだという若者へのメッセージを込めている。詞・サウンドともに希望を感じられる5thシングル。