ミニ・レビュー
クラシック・ロックのテイストを感じさせる楽曲群を歌い上げる女性シンガーによるセカンド・アルバムは、話題性も高かった前作以上に幅広い音楽性で迫る。アプローチとしてはより現代的。構築して作り上げたようなゴージャスな雰囲気のマテリアルを奔放に聴かせる。
ガイドコメント
2009年9月2日リリースの2ndアルバム。「How Do I Survive?」「My Best Of My Life」「恋する瞳は美しい」「やさしい気持ちで」といったシングル曲のほか、ドラマや映画主題歌など話題の楽曲が満載の充実作。
収録曲
01Alright!!
しっかりとしたリズムを刻むドラムと印象的なギター・リフで始まる配信限定シングル。“五感を奮い立たせろ”といった力強い詞の応援歌で、次のステージへと引っ張っていくようなダイナミックな歌唱が魅力だ。フジテレビ系ドラマ『BOSS』オープニング曲。
02How Do I Survive?
「モード学園」CMソングにもなった6thシングルで、シンプルなバンド・サウンドのロック・ナンバー。歌詞は毎日を自分らしく生きようというテーマで書かれているが、“尖って強引に行こう”というフレーズには越智の挑戦心が垣間見える。
03Searching
アコギの音色が切なく響くミディアム・ロック・ナンバー。周りの人に対する疑心や本当の愛を求める姿を描いた歌詞には、リアルな感情が投影されている。力強くも悲しげな歌い方がサウンドにも歌詞にもマッチしている。
04My Best Of My Life
フジテレビ系ドラマ『BOSS』主題歌となった7thシングル。静かなピアノにストリングスが加わり、サビに向けて徐々に盛り上がりをみせる壮大なバラードだ。日々ベストを尽くして生きる意味を育てていこう、と歌う堂々としたヴォーカルは圧巻。
05恋する瞳は美しい
80年代風の4つ打ちディスコ・ビートにロック・ギターのリフが効いた8thシングル。ミラーボールが輝く様子を思い浮かべて書かれた詞には、夜の街で繰り広げられる恋の駆け引きが描かれている。Canon「IXY DIGITAL」CMソング。
06やさしい気持ちで
フジテレビ系『めざましテレビ』テーマ・ソングの8thシングル。一聴すると爽やかなミディアム・ロックだが、アコギの多重録音を盛り込むなど新たな試みがみられる意欲作だ。メロディ展開も歌詞もドラマティックな王道ポップス風に仕上がっている。
07Bad Girl
ハンド・クラップが気分を盛り上げるご機嫌なパーティ・ソング。友達の彼氏と遊んでしまう小悪魔的な女の子を、ロックン・ロール・サウンドに乗せて陽気に歌う。“イマドキ”の女の子がもっていそうな一面をリアルに描いた歌詞に注目。
08アイデンティティの行方
ファンキーなベース・ラインとグルーヴ感たっぷりのドラミングが光るミディアム・ナンバー。友人の言葉に対しての怒りや自分の存在価値を問うような歌詞だが、韻を踏みつつリズミカルに歌うことでクールに仕上げている。
09誕生
スタンダードなロック・サウンドにエレキ・シタールがエキゾチックなアクセントを加えるアッパー・チューン。“今”を作る一瞬一瞬を噛み締め、地球上の生命に思いをめぐらすという歌詞は実に奥が深い。Right-on「X-WASH」CMソング。
10See You
ギターのカッティングが小気味よい疾走感あふれるロック・ナンバー。突き抜けるホーンとリズミカルに跳ねるようなピアノがポジティヴな別れを演出している。切ない遠距離恋愛も越智が歌うと陽気なムードに包まれてしまう。
11春のまぼろし
恋の切なさを咲いては散りゆく桜の花びらに例えたミディアム・バラード。揺らめくようなギターが印象的なイントロからピアノのリフレインが響くアウトロまで、メロディアスでドラマティックな展開をみせる。丁寧な歌唱がさらに切なさをかきたてる。
12Hanky Panky
ホーンをフィーチャーしたファンキーなロック・ナンバー。ストレスでモヤモヤしてるんだからあなたが私の笑顔を取り戻して! と彼氏に無茶な要望をする女の子を描く。聴いているだけで希望がわいてくる応援歌だ。映画『山形スクリーム』主題歌。
13愛に抱かれて
結婚する友人のために書かれたという歌詞が胸を打つアコースティック・バラード。“あなたの明日が晴れ渡るように”という言葉は、友人だけでなくファンに対するメッセージにもなっていて、伸びやかで優しい歌唱に大切な人への想いが込められている。