ミニ・レビュー
スターゲイトとの制作で活躍するR&Bシンガーのベスト・アルバム。マイケル流を踏襲した「ビコーズ・オブ・ユー」「ソー・シック」やスムースな美メロ曲「セクシー・ラヴ」、ハウス風ダンスに挑戦した意欲曲「クローサー」など、ヒットは枚挙に暇がない。「ドゥ・ユー」で迎えられたUtadaは、マイナー調ミッド・スローの佇まいに巧く溶け込んでいる。
ガイドコメント
男性R&Bシンガー・ソングライター、Ne-Yoのヒット曲を結集させた日本独自企画盤。デビュー作『イン・マイ・オウン・ワーズ』から3rd『イヤー・オブ・ザ・ジェントルマン』までの人気曲のほか、カニエ・ウェストを迎えてのリミックス曲なども収録。
収録曲
01BECAUSE OF YOU
2ndアルバム『ビコーズ・オブ・ユー』からの先行シングルとなったミッド。マイケル・ジャクソンのマナーを踏襲した美しいメロディとグルーヴ感のあるトラックに乗せて、君のことばかり考えてしまうんだと恋に溺れる男の胸の内を歌い上げている。
02SO SICK
ノルウェーのプロデュース・ユニット、スターゲイトが手掛けたミディアム・バラード。“ラヴ・ソングなんて今は聴きたくない”と失恋をいまだに引きずる男の悲痛な想いを吐露した詞を、メランコリックな旋律に乗せて歌った大ヒット・ナンバー。
03SEXY LOVE
君に触れられるだけでもう……と彼女への抑えきれない想いを綴ったミディアムR&B。ニーヨの気負いのないナチュラルな歌唱はもちろん、スターゲイトの手腕が光るシンセ・ハープが導く美メロトラックにも好感が持てる。
04CLOSER
マイナー調の切ないアコギの音色がループするダンサブルなハウス・チューン。アップ・テンポの小気味良いシンセは、互いに求めあう男女の高鳴る鼓動のよう。3rdアルバム『イヤー・オブ・ザ・ジェントルマン』からの先行シングル。
05STAY
ピーディ・ピーディを客演に迎えたミッド。甘いラヴ・ソングにも聴こえるが、ここでのニーヨの恋人とは“音楽”のこと。デバージの「ステイ・ウィズ・ミー」を敷いた洒脱なトラックに乗せて、“必要なのは君だけ”と真摯な想いを歌い上げている。
06MISS INDEPENDENT
独特のリズムがクセになるシンセと物憂げなメロディが印象的なミディアム・ナンバー。自分で何でもできてしまう「ミス・インディペンデント」への尊敬と愛を吐露する、頼りがいのある彼女に付いていきたいという姿勢は、さしずめ草食系男子風。
07CRAZY
シンプルながらストリングスのピチカートなどのアクセントが効いたミディアムR&B。“マイケルの再来”とジェイ・Zが称賛の声を上げるイントロが象徴的で、美しいメロディやヴォーカル・スタイルはまさに“ポスト・マイケル”と呼ぶにふさわしい仕上がり。
08IN THE WAY
米iTuneのみで配信されたR&Bバラード。温かみのあるピアノを軸としたドラマティックなナンバーだが、詞は世界中が僕と君を仲を裂こうとしてるんだとナーバス気味。離れ離れの恋人同士の気持ちを代弁するような歌詞にグッとくる人も多いはず。
09GO ON GIRL
軽いタッチのアコギのイントロから始まるシリアスなミディアム・スロー。僕にとってはただ一人の特別な存在だったのに……と、プレイガールの彼女への想いに揺れる男心を描く。自虐的ともとれる歌詞は、彼女への皮肉まじりの捨てゼリフのよう。
10MAD
ピアノの流麗な旋律が導くドラマティックなミディアム・バラード。恋愛中の人ならば一度は経験するだろう些細なきっかけから起こる不和に心を痛める状況を、男性視点で描く。「パート・オブ・ザ・リスト」から引き継がれたドラマ仕立てのPVも秀逸。
11WHEN YOU'RE MAD
恋人との修羅場を思わせるシーンから始まるミディアム・ナンバー。“怒ってる君もセクシー”という冗談まじりの言葉には、愛しい人に向けられた熱いまなざしが感じられ、“あばたもえくぼ”といった様相。シェイ・テイラーによるプロデュース作。
12CAN WE CHILL
細部にまでこだわりが感じられるシンセ使いが巧みなミディアムR&B。シンセによるホーンやストリングスにより生み出される厚いサウンドは、70年代ソウルの薫りが漂ってくる。懐かしさと同時に新しさも感じられる曲は、エリック・ハドソンのプロデュース。
13PART OF THE LIST
郷愁を誘うスパニッシュ風のアコギを軸にしたミディアム・バラード。二人で過ごしたこの部屋で、出て行ってしまった彼女との思い出を追想する男を描く。しだいに熱を帯びていくエモーショナルな歌唱が、悲壮感を漂わせている。
14DO YOU
Utadaをデュエット・パートナーに迎えた当初配信限定だった曲。「ソー・シック」の続編的なナンバーで、幸せそうな彼女と今なお吹っ切れずにいる未練がましい男の気持ちを綴る。もの悲しいピアノの調べが幸せだった頃を回想するかのようにリフレイン。
15BECAUSE OF YOU
盟友カニエ・ウエストをフィーチャーしたリミックス・ヴァージョン。恋に溺れる男を描く、全面にカニエのラップを押し出したキャッチーなナンバーだ。シンセ・ベースが効いているが、大幅にはいじらずに原曲を大事にしていたリミックスとなっている。