ミニ・レビュー
藤原歌劇団の創設者、藤原義江(1898〜1976)の、名テノールとしての足跡が見事な復刻で蘇った。オペラの普及期ゆえに、すべての曲は日本語で歌われているが、海外のオペラ・ハウスで鍛えられた美声は、21世紀の耳で聴いてもさすがに別格。カレーラスを彷彿とさせる色気あふれる歌い口は、絶品と言ってもいいものだ。“洋楽篇”と“日本歌曲編”の2セットに分売されているが、内容は実質4枚組。前者は昭和8〜15年、後者が大正15〜昭和7年発売と、音源の時期が異なるため、経歴に沿った声や歌い口の変化も興味深い。
ガイドコメント
歴史的なSP盤のアナログ音源を、最新のデジタル技術と音楽的アプローチによって修復する“ノイズレスSPアーカイヴス”シリーズの第4弾。明治31年生まれのテノール、藤原義江が昭和初期〜15年頃に録音した「スワニー河」などの洋楽を収録。
収録曲
[Disc 1]
01女ごころの唄 (歌劇「リゴレット」より) (ヴェルディ/カルロ・サバイノ編)
02さらば愛の家 (歌劇「蝶々夫人」より) (プッチーニ/カルロ・サバイノ編)
03岩にもたれた (歌劇「フラ・ディアボロ」より) (オーベール/カルロ・サバイノ編)
04波をけり (歌劇「古城の鐘」より) (プランケット/カルロ・サバイノ編)
05ジョスランの子守唄 (ゴダール/カルロ・サバイノ編)
06舟うた (歌劇「ホフマン物語」より) (オッフェンバック)
07綺麗な娘 (夢幻歌劇「クリスピーノ」より) (リッチ兄弟/カルロ・サバイノ編)
08ニーナ (ペルゴレージ/カルロ・サバイノ編)
09スワニー河 (フォスター/カルロ・サバイノ編)
10帰れソレントへ (デ・クルティス/カルロ・サバイノ編)
11遥かのサンタ・ルチア (マリオ/カルロ・サバイノ編)
12ケンタッキーの我が家 (オールド・ケンタッキーホーム) (フォスター/カルロ・サバイノ編)
13高鳴る調べに (喜歌劇「メリー・ウイドウ」より) (レハール/カルロ・サバイノ編)
14折ればよかった (ブラームス/カルロ・サバイノ編)
15フニクリ・フニクラ (デンツァ/カルロ・サバイノ編)
16シューベルトの子守唄 (シューベルト/カルロ・サバイノ編)
17シューベルトのセレナード (小夜曲) (シューベルト/カルロ・サバイノ編)
18女の見る夢 (ナポリ民謡) (クレシェンツォ)
19私の太陽よ (オー・ソレ・ミオ) (ディ・カプア/カルロ・サバイノ編)
20セレナーデ (モシュコフスキー)
[Disc 2]
01さらばグラナダ (カレッデア)
02サンタ・ルチア (コットラウ)
03カルメン・カルメラ (スペイン民謡)
04ヴィリアの歌 (喜歌劇「メリー・ウイドウ」より) (レハール)
05タランテラ (ロッシーニ)
06愛の二重唱 (歌劇「シューベルトの恋」より) (シューベルト/竹内平吉編)
07アイ・アイ・アイ (フレイレ/鈴木静一編)
08麦打ち唄 (サデロ/鈴木静一編)
09ユーモレスク (ドヴォルザーク)
10紅いサラファン (ワルラーモフ/鈴木静一編)
11カルメラ (デ・クルティス/チベルリ編)
12心のバンドネオン (ディセポロ)
13わが光の君 (喜歌劇「微笑の国」より) (レハール/鈴木静一編)
14愚かしの涙 (喜歌劇「微笑の国」より) (レハール)
15オーヴァー・ゼア (コーアン/飯田信夫編)
16嘆きのセレナード (トセリ/飯田信夫編)
17乾杯の歌 (歌劇「椿姫」より) (ヴェルディ)
18パリを離れて (歌劇「椿姫」より) (ヴェルディ)
演奏
藤原義江(T) [1] (1)〜(17)(19)カルロ・サバイノ指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団 (18)日本ビクター管弦楽団 [2] (1)〜(5)(7)(8)(15)(16)日本ビクター管弦楽団 (6)東宝管弦楽団 (11)米国ビクター交響楽団 (12)オルケスタ・ティピカ (13)(14)日本ビクター交響楽団 (17)(18)瀧田菊江(S) 飯田信夫指揮 中央交響楽団 ヴォーカル・フォア合唱団