ミニ・レビュー
哀愁漂うユーロビート系の「ストレート・スルー・マイ・ハート」で一気にリスナーの心を捉える最強コーラス集団のアルバム。ブリトニー・スピアーズらを手掛けたマックス・マーティンを筆頭に多彩なヒット・メイカー陣が参加、極上のコーラスとメロディでリスナーの期待どおりの内容に仕上げられた。
ガイドコメント
2009年9月30日発表のアルバム。レディー・ガガ「ジャスト・ダンス」を手掛けたRed One制作による先行シングル「ストレート・スルー・マイ・ハート」ほか、マックス・マーティン、Ne-Yoら強力制作陣が参加した最高のポップ・アルバム。
収録曲
01STRAIGHT THROUGH MY HEART
レディー・ガガ作品で著名なレッドワン制作のドラマティックなポップ・ナンバー。銃声が響き、赤く染まるシャツ……という歌詞にギクリとするが、サビで“彼女にハートを撃ち抜かれた”とネタ明かし。アルバム『ディス・イズ・アス』からのリード・シングル。
02BIGGER
僕は約束も守れない最低な男だけど、それを気にしない大物=“BIGGER”な君に追いつくよと歌う、ゆるやかでポップなミッド・バラード。持ち味の伸びやかな歌唱を抑えたハスキーなヴォーカルで、甘えても許される男子像をうまく描いている。
03BYE BYE LOVE
オートチューンを駆使したクラブ風トラックとR&B調のコーラスが一体となったアップ。サウンドはライトだが、綴られているのは他の男のもとへ走った浮気な彼女への三行半。気持ちが離れきったときはこんなにも冷静か、と思わせる。
04ALL OF YOUR LIFE (YOU NEED LOVE)
“永遠の愛を今ここで誓う”と高らかに宣言する直球ラヴ・ソング。ハウス調の重量感のあるビートが、生涯をかけた愛を誓う重みを表わしているかのよう。甘いだけのラヴ・ソングではないところがおもしろい。
05IF I KNEW THEN
レゲエ調のリズムがラヴァーズ・ロックのように甘く響くエレクトロ・ダンス・ナンバー。もう一度二人でやり直してみようと口説くヴォーカルは、優しくもどこか力強い。トラックはケリー・クラークソンらで知られる、クロード・ケリーによるもの。
06THIS IS US
ソウルジャ・ボーイでおなじみのジム・ジョンソンのプロデュースによるミドル・ナンバー。ピアノとアコギとストリングスをちりばめた厚みのあるサウンドに乗せて、どうか過去を忘れてやり直そうと告げる。情感たっぷりのヴォーカルは、BSBの真骨頂。
07PDA
ユーロ調のサウンド・シークエンスとスネア・ドラムのビートという組み合わせが効いたミッド・チューン。“見られたって構わない 堂々とやるよ 君となら”というきわどくも聞こえる歌詞を噛みくだくと、スネアの音も急激に高まる鼓動に聴こえてくる。
08MASQUERADE
重いビートを下敷きに、跳ねるようなシンセやクラップをちりばめたカラフルなエレクトロ・ダンス・チューン。仮面をつけた饗宴の夜に、ハイな気分で愛を語りかける一曲。“マスカレード”と繰り返すコーラスが、まるで呪文のように響く。
09SHE'S A DREAM
柔らかいヴォーカルが夢へと誘うかのような、R&B調のミッド・バラード。僕が世界中を飛び回る有名人だとは知らずにつきあってくれる彼女がたまらなく愛しい、と独白するセレブの本音ソング。コーラス・ワークも申し分ないほど魅惑的。
10SHATTERED
愛しい人から裏切られた辛さや苦しさを力の限りに歌い上げた、文字どおり“泣き”のバラード。大編成のストリングスが紡ぐ音色が“信じられないよ 君が僕を傷つけるなんて”と歌うサビを盛り上げる、非常にドラマティックなマイナー調ナンバーだ。
11UNDONE
二人の絆が消えゆくことを嘆いて“地獄をさまよってる”と歌う、“受難の道ゆき”ともいえる重厚なナンバー。ノイズのような音に続いて登場する、途切れ途切れのピアノが鳴らす不協和音。やがてそれが、エレキやストリングスをともなって拡大していく。
12INTERNATIONAL LUV
即興的なヴォーカル・ワークが堪能できるR&Bナンバー。世界中の女性へ向けて“国境を越えて 彼方へ”“一緒においで”と歌うラヴ・ソング。軽く柔軟性のあるエレクトロ・サウンドが、いつでも一緒に飛び立てるような気にさせる。
13STRAIGHT THROUGH MY HEART
7thアルバム『ディス・イズ・アス』からのリード・シングルを、ジェイソン・ネヴィンスがリミックスしたヴァージョン。原曲のイメージを保ちながら、さほどテンポを変えずにユーロ・ダンス風に新装している。日本盤ボーナス・トラック。