ミニ・レビュー
一青窈の、歌謡曲をテーマにしたシングル3部作の第1弾。小林武史作曲。疲れ切った男性に向けて自分が治す薬になってあげるという、自ら手がけた歌詞と、かつての山口百恵を思わせるような、大胆でアッパーなダンサブルなアレンジとのミスマッチが新鮮。
ガイドコメント
2009年10月7日リリースの新歌謡3部作シングル第1弾。「ユア メディスン〜」は“フューチャーディスコ歌謡”と銘打ったキラキラした情熱的なアップ・テンポのナンバー。新しい一青窈を感じさせる楽曲が詰まっている一枚。
収録曲
01ユア メディスン〜私があなたの薬になってあげる
フォーライフ移籍第1弾、“新歌謡/進化窈”三部作第1弾シングル。現代の病理ともいえる自殺をテーマに、何とか食い止めたいという一青の願いが込められた曲だ。懐かしい歌謡ディスコを基調としたアップで、ブリッジでのヴォーカル・エフェクトも効果的。
02ほおずき
清々しい南風のように安堵感をもたらすサウンドが魅力のナンバー。これまでの思いやりに欠けた言動や自身のずるさを省みた、一青の独白的な詞が美しい。膨らんでいく欲望と相手を怒らせて膨らませた頬とをほおずきに喩えた述懐も、彼女ならではの粋な演出だ。
03白昼夢
歌とエンディングのセリフで構成された幻想的な曲。現実と虚構の狭間を行き交う、悩める若者の生態を映し出した詞が白眉。現代的な問題をエロスをちりばめながら昭和歌謡的な雰囲気で描いた、一青の真骨頂といえる歌だ。
04prologue1
“この世界は虚構だ”ではじまる、自作の詩によるポエトリー・リーディング。小林武史のアンビエントともいえる実験的で幻惑的な音楽とともに、虚構に生きる人々の猥雑なドラマを語る。“世界の淵はいつもどしゃ降り”で終える、何とも不穏なトラックだ。