ミニ・レビュー
デビュー5年目を迎えたAqua Timez、自らのプロデュースによるコンプリート・ベスト・アルバム。インディーズ時代のアルバム『空いっぱいに奏でる祈り』から、2009年7月リリースの「プルメリア〜花唄〜」までバランスよく選曲。ロック、レゲエ、ヒップホップなどを見事に融合した、オリジナリティたっぷりのサウンドが凝縮。
ガイドコメント
デビュー5年目を迎えた2009年10月発表のベスト・アルバム。デビュー・シングル「決意の朝に」から新録「最後まで」までの全シングルはもちろん、インディ時代のアルバムやライヴでの人気曲などをコンパイルした特別盤。
収録曲
[Disc 1]
01千の夜をこえて
Aqua Timezがデビュー当初から温めていたというアコースティック・ナンバー。ポップでキャッチーなサビと「怖くたって傷付いたって好きって伝えるんだ」という詞が印象的な、彼らの代表作といえる珠玉のラブ・ソング。劇場版『BLEACH』主題歌。
02虹
日本テレビ系ドラマ『ごくせん』の第3シリーズ主題歌となった6thシングル。不思議と励まされる“大丈夫だよ”のフレーズとキラキラとした清涼感のあるサウンドが心地よい、前向きな気持ちにしてくれるミディアム・ポップの応援歌だ。
03ハチミツ〜Daddy、Daddy〜
“完璧じゃなくていいよ”と歌う、心癒されるポップ・チューン。爽やかな小鳥のさえずりを表現した効果音や、メリハリを効かせたギターの音が、カラフルで温かなサウンドを創造している。太志(vo)が、亡き父との思い出を綴った曲でもある。
04STAY GOLD
「代々木ゼミナール」CMソングに起用され、完全限定生産で発表された9thシングル。自分の生き方に自問自答しながらも自分らしく生きていくことを誓った、夢や誇りにのっとって生きる素晴らしさを表現したメッセージ・ソングだ。
05小さな掌
TBS系ドラマ『ジョシデカ! -女子刑事-』主題歌。澄んだピアノ伴奏と快音を鳴らすギターがマッチしたサウンドは、まさに彼らの真骨頂。そこに乗せるフレーズはどこまでも優しく大らかで、何よりも正直に胸の内に響いてくる。
06ALONES
スローな歌い出しから一転、ヘヴィなビートが炸裂するロック・ナンバー。もう誰かのためじゃなくて、自分のために笑っていいよ、というメッセージが鮮烈に伝わってくる。テレビ東京系アニメ『BLEACH』のオープニング曲。
07Velonica
テレビ東京系アニメ『BLEACH』オープニング・テーマに起用された8thシングル。うねるようなシンセと憂いを帯びた疾走感あふれるサウンドの上で、孤独の悲しみを我慢することはないんだと歌うロック・チューンだ。
08歩み
09ひとつだけ
特徴的な瑞々しいギターのアルペジオで始まり純粋で真摯なメッセージを歌う、何とも彼ららしい楽曲。基本的に穏やかな太志のヴォーカルだが、時おり熱を帯びるたびにこちらの心も熱くなる。並外れたポップ・センスも特筆物。
10ほんとはね
配信限定で発表された後、5thシングル「虹」に収録されたミッド・ナンバー。恋心を寄せる相手に本心とは逆のことを言ったり子供のような態度を取りながらも、“ほんとはね”とこっそり想いを吐露する描写がいじらしいファンタジックな一曲。
11秋の下で
パワフルなリズムとキャッチーなメロディがヤミツキになりそうな、ポップなミクスチャー・ロック。郷愁的で幻想的なAメロやBメロとアグレッシヴなサビと鮮やかなコントラストのギャップにより、メリハリの効いた作品に仕上がっている。
12青い空
13最後まで
[Disc 2]
01等身大のラブソング
軽やかなレゲエのリズムと耳馴染みの良いメロディに乗せて歌われる、“等身大のラブ・ソング”。キャッチーなサビが印象的。人間味あふれるコーラスから、愛を祝福するムードが伝わってくる心温まるナンバー。
02シャボン玉Days
冒頭の瑞々しいヴォーカルに早くも心を掴まれる。また、中盤からはベースの重低音の心地良さやカッティング・ギターの切れ味の良さが掴んだ心を離さない。結成3年目バンドとは思えぬほどの完成度の高さに驚き。
03世界で一番小さな海よ
しっとりとしたギターのアルペジオに、繊細なタッチなピアノの音色とドラムの鼓動が絡み合うイントロが印象的。不安や絶望に直面しながらも、それを克服しようとするポジティヴな歌詞に共感が持てるポップ・ロック・チューン。
04決意の朝に
ナチュラルなメロディとドラマ性を感じさせるアレンジによって、等身大の想いがより壮大に描かれるポップ・チューン。押し売りではない温かなメッセージが共感を呼び、勇気を与えてくれる。アニメ映画『ブレイブストーリー』の主題歌。
05しおり
「三ツ矢サイダー」CMソングでおなじみの、若さゆえのキラメキと甘酸っぱさが詰まった青春まっしぐらのナンバー。直球で響いてくる太志のヴォーカルも印象的で、巧みなバンド・サウンドからも伸びやかなタレント性を感じる。
06希望の咲く丘から
ピコピコと音が空中遊泳しているようなサウンドにメロディアスな旋律が絡み、ヴォーカルが空間を塗り潰していくかのように言葉を紡いでいく。悲しみを乗せたメロディが徐々に広がっていき、光と闇を感じさせる曲。
07一瞬の塵
重厚なストリングスのハーモニーとタイトでパワフルなギター・プレイが織りなす、ハイテンションでスリリングなサウンドが最高にクールなポップ・ロック・チューン。太志の超絶スピードのラップはまさに圧巻。聴けば元気がみなぎる一曲。
08夏のかけら
新垣結衣主演映画『フレフレ少女』主題歌となった7thシングル。ノスタルジックでほろ苦いミッド・スローで、大人になってから感じる、懐かしくいとおしい青春時代のみずみずしさがしみじみと伝わる一曲だ。
09いつもいっしょ
彼らがデビュー前に路上ライヴで演奏していたというバラード。切ないメロディに物語仕立ての詞が乗り、すれ違いの恋を感傷的に歌い上げている。ピアノやストリングスを用いて、ドラマティックかつ温かな生音の世界を作っている。
10星のみえない夜
太志(vo)もその出来に満足しているというメロディアス・ポップ。絶望の中にある希望を描く詞が、ギターを強調した温かいサウンドに乗って優しく響いてくる。また随所に差し込まれた、夜空を連想させる効果音が幻想的で心地良い。
11プルメリア〜花唄〜
仲間由紀恵主演映画『ごくせん THE MOVIE』の主題歌となった10thシングル。若々しい潔さに満ちたバンド・サウンドで、ちょっぴり甘酸っぱいサビ終わりの“微笑みあえたらいいな”のフレーズが琴線に触れる。希望と夢にあふれた青春ソングだ。
12向日葵
夢や希望に向かって生きていくことを、太陽に向かって一心に咲く“向日葵”に重ねて、一語一語噛み締めるように歌う。ゆったりとしたリズムから、力強いギター・サウンドや晴れ晴れとしたキーボードを聴かせている。
13白い森
彼らがバンドを結成したころに書いたという、情感のある壮大なバラード。シンフォニックなストリングスをたっぷりと取り入れ、フルートのしなやかな音色が優しく幻想的な雰囲気を描き出している。ライヴで評判のよい名曲でもある。