ミニ・レビュー
2年7ヵ月ぶり、4枚目のアルバム。「ラバソー」や「大切にするよ」などのヒット・シングルのほか、自身が作曲した美しいインスト「notice of the way it is」、福山雅治が参加した「最愛」、アコースティック・ギターとベースをバックにした「君が残していったもの」など、実に多彩な楽曲が並ぶ。いずれも味わいのある歌が印象に残る。
ガイドコメント
前作『嬉々』から2年7ヵ月ぶりとなる、2009年11月18日発表の4thアルバム。フジテレビ系ドラマ『オトメン(乙男)』主題歌「ラバソー〜lover soul〜」、『映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』主題歌「大切にするよ」などを収録。
収録曲
01ラバソー〜lover soul〜
フジテレビ系ドラマ『オトメン(乙男)』主題歌の17thシングル。明快なサウンドに凛として艶やかなヴォーカルが映える柴咲流ガールズ・ロックだ。運命の恋愛を守ろうとする彼女の熱烈なメッセージを綴ったラヴ・ソングとなっている。
02ラブマイノリティー
軽快なデジタル・サウンドでテンポよく展開されるミッド・チューン。ヴォコーダーでより甘美さが強調された甘えるようなヴォーカルがキュート。恋に落ちるときのデリケートな女心を綴った一曲だ。
03よくある話〜喪服の女編〜
ラテン・テイスト漂うリズミカルなダンサブル・チューン。東京スカパラダイスオーケストラのホーン隊も参加し、ゴージャスでホットな仕上がりとなっている。ストーリー性のある意味深な歌詞には柴咲独特の感性が表われている。
04百年後
ストリングスが優雅に響くラヴ・バラード。お互いを敬い合い、そっと寄り添ってくれる“喜びのきみ”への想いや感謝を綴った温かい内容で、たおやかなメロディ・ラインにのせて柴咲が丁寧に歌い上げている。
05nθw
軽やかで爽やかなシンセ・サウンドが心地よいポップなハウス・チューン。恋愛に疑心暗鬼になり、とまどいながらも愛を求める女心を吐露した一曲。サウンドにマッチした甘めであっさりとした歌唱が好印象だ。
06notice of the way it is
ピアノが凛と響くインストゥルメンタル。ストリングスやアコギを交え、澄んだ空気に哀愁感が強調された一曲に仕上がっている。アルバム『Love Paranoia』収録曲「break a spell」へと続く序曲的ナンバー。
07break a spell
ドラマティックで憂いのあるサウンドの切ないアッパー・チューン。もういない相手への想いを振り切るような強がりをみせるアグレッシヴな歌唱や、“きっと君は 私を裏切るだろう”と思っていれば楽だったと吐露する想いが痛々しいほどに胸に刺さる。
08最愛 (KOH+)
福山雅治とのユニット、KOH+名義での2ndシングルで、映画『容疑者Xの献身』主題歌。ストリングスとピアノの伴奏にのせて、柴咲が艶やかでときおり儚い歌唱を披露した渾身のラヴ・バラードだ。後半での福山のエレキが哀愁感を演出している。
09君の声
映画『空へ-救いの翼 RESCUE WINGS-』主題歌となった配信限定シングル。ゆったりとしたロマンティックなサウンドが沁みるバラード・ナンバー。“手をふれたら君がわかるよ”と強い絆と深い愛を綴った極上のラヴ・ソングだ。
10再生
間奏ではゴシックな印象さえ与えるドラマティックで哀愁のあるナンバー。ストリングスが響く一方でスペーシーなシンセが鳴ったりと掴みどころがないサウンドのなか、突き抜けるような柴咲のヴォーカルが耳を引く。哲学的な歌詞も彼女ならではか。
11dive
清々しいサウンドに歯切れのよいエレキがマッチしたポップなハウス・チューン。失敗を恐れながらも思いっきり“dive”してしまおうかという好奇心と勇気を綴った前向きな一曲。青い空を連想させるようなさわやかな仕上がりだ。
12Sweet Dream
カラフルでリズミカルなサウンドがうきうきとさせるポップ・テクノ・チューン。“なんでこんなに 好きになったんだ?”と寝ても覚めても恋してるのに伝えられない複雑な恋心を綴ったキュートなラヴ・ソングだ。片想い中の素直な気持ちを表現した一曲。
13ex
さわやかでスタイリッシュなミッド・ナンバー。街中で偶然見かけた元彼との想い出が頭を巡る内容で、信じられそうでも結局あっけなく終わってしまった恋愛に馳せる想いがせつない。クールで憂いを帯びたヴォーカルが歌詞にマッチしている。
14低体温
仕事ばかりで出会いのチャンスもない働く女性の胸の内を綴った軽やかなポップ・ナンバー。“最近ちゃんと寝てない”“いい人いないの?”といったリアルな言葉で表現された歌詞には、特に柴咲と同世代なら共感できる女性も多そう。
15大切にするよ
映画『ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』主題歌の16thシングル。遠くで生きる恩人や大切なひとへの感謝をストレートに綴った心温まる一曲。清涼感のあるサウンドに凛とした清々しい歌唱が映える仕上がり。
16君が残していったもの
アコギの弾き語りによるビターで温かい一曲。自分の元を去って行ってしまった彼女を想い続ける主人公の素直な想いを歌った、男性目線の切ないラヴ・ソング。“君のためになら”という断ち切れない気持ちが悲しい。