ミニ・レビュー
2009年の紅白歌合戦に初出場した4人組の1作目。全16曲でCDの容量限界の約80分間収録したお得盤。映画『MW−ムウ−』主題歌の「MW〜Dear Mr.&Ms.ピカレスク〜」、配信シングル曲「見つめていたい」など耳なじみのある曲が多い。独特の世界観を持つ山村隆太(vo)の歌詞と幻想的な雰囲気を持つ阪井一生(g)のメロディという持ち味が十分発揮された。
ガイドコメント
2009年12月23日発表の1stアルバム。au「LISMO」CMソング「見つめていたい」、映画『MW-ムウ-』主題歌「MW〜Dear Mr.&Ms.ピカレスク〜」、マイナビ2011就活応援ソング「フレイム」別ヴァージョンほか収録の充実作。
収録曲
01Calling
“欲しがるままに 求め合っていい 恋をしようよ”と、気持ちのままの行動を肯定する疾走感満点のロック・ナンバー。勢いのあるギターをはじめ、息の合ったバンド演奏が繰り広げられている。1stアルバム『What's flumpool!?』冒頭曲。
02星に願いを
メジャー1stシングルとなった、グルーヴィなアップ・テンポのロック・ナンバー。胸騒ぎを感じて走り出すような甘く切ないヴォーカルが出色で、星の下で指切りを交わした君に逢いたいという感情を集約した“行かなくちゃ”というフレーズが胸に突き刺さる。
03見つめていたい
au「LISMO」CMソングとなったミディアム・バラード。触れ合うほどの距離から一歩下がって愛しい人のことを想う、flumpoolならではのセンシティヴな切り口の詞が冴えた一曲。やさしく敷かれたチェロの音色が、心をほっとさせる。
04MW〜Dear Mr.&Ms.ピカレスク〜
映画『MW -ムウ-』主題歌となったメジャー2ndシングル。哀しげな顔をのぞかせる歌唱と思いを振り切るように走るバンド・サウンドが絶妙にリンク。溶けるように胸を焦がす愛を求める激しい情熱を含んだ詞には、ズキズキとした痛みが感じられる。
05僕は偶然を待っているらしい
矛盾や過ちだらけの日々のなかでもがきながらも、自分で選んだ明日を迎えたいという強い意志を込めたロック・ナンバー。エフェクトを効かせたギターが、迷いを切り捨てろと言うかのようにずしりと迫ってくる。気骨のあるヴォーカルも聴きごたえ十分。
06回転木馬 (メリーゴーランド)
居心地のいい場所や時間を求めるばかりじゃなく、まず目の前の現状や現実を大切に思わなきゃと説くアップ・チューン。ギターとベースのラインが、タイトルの“回転木馬”を暗示するかのように寄り添ったり離れたりするのがおもしろい。
07車窓
電車に乗っていたヴォーカルの山村が、偶然にホームで昔好きだった女の子にそっくりな人を見かけたの機にできたというアコースティックなナンバー。夢という列車を降りられなかった僕が車窓から見た君へ願う、懐かしい人を思い出す温かい詞が聴きどころ。
08Hills
ダイナミックなバンド・サウンドにキーボードを加えたアップ。高層ビル群の“Hills”より、陽の当たる丘の上を目指そう、自分の価値観を大事に進もうと歌う。抜けのいいドラムやタンバリンの刻むビートが、なんとも爽快な気分にさせてくれる。
09夏Dive
flumpoolにとっては意外と珍しいダンス・チューン。16ビートの上にホーン・セクションやコーラスを乗せたにぎやかな夏ソングで、“生きてくってDIVE”という一節のとおり、たまにははっちゃけていくぞ! という心意気を感じさせる。
10LOVE 2010
考え方や信じるものの違いを乗り越えて愛し合っていこうよと投げかける、60年代ロック・テイストのミッド・ナンバー。シンプルでやさしげなメロディを持ち前のハイトーン・ヴォイスでのびのびと歌い上げる、山村のヴォーカルはなかなか見事だ。
11Quville
ライヴでの盛り上がり必至のにぎやかなロック・チューン。“上から下 下から上……”となぞりたい白いバディの“Quville=くびれ”とは? という思わせぶりなオチが楽しい。バンドとしてのエネルギーがひしひしと伝わってくる曲だ。
12最後のページ
中編成のストリングスを取り入れたバンド・サウンドに哀愁を帯びたヴォーカルとコーラスを乗せた、スケールの大きなロック・バラード。積み重ねてきた毎日の先に見えるもの、思い描くものは何だろうという身近な自問が、多くの人の共感を呼びそうだ。
13今年の桜
ピアノのループ音やアコギ&ストリングスの切ない響きと、エフェクト・ギターのうなるような力強さが融合したサウンドが魅力。“出会えたもの全て 抱きしめよう”と自分を形づくってきた人や場所に感謝を述べる、前向きなアッパー・ロックだ。
14タイムカプセル
ギターの阪井一生がヴォーカルをとった、全編マイナー調のミッド・スロー。歳を重ねて心に痛みや傷を負うこともあるけれど、少年のころの純粋な誓いは変わらないと確認するかのように切々と歌う。阪井のやわらかい歌声は一聴の価値あり。
15サイレン
カッティング・ギターや力強いドラム、動きの激しいベースによって、複雑な恋心を描いた疾走ロック。「彼氏はいない」と嘘をつく好きな人への高まる想いを自制して、好きな相手の幸せを一番に願うというやさしい歌詞に、思わずホロリとくる。
16フレイム (Album Version)
「マイナビ2011」イメージ・キャラクターに起用され、その就活応援ソングとなった5th配信限定シングルのアルバム・ヴァージョン。ストリングスやコーラスを大胆に配したドラマティックなサウンドに乗せて、明日へ向かって生きていくよと誓う感動作。