ミニ・レビュー
KAT-TUNの赤西仁主演で90年代のバンド・ブームをテーマにした映画『BANDAGE』の劇中のバンド名で発表したアルバム。映画を初監督した小林武史がプロデュース。脚本を担当した岩井俊二が6曲で作詞を小林と共作。赤西も1曲、作詞で二人と共作した。まとまりのあるバンド・サウンドを展開。
ガイドコメント
赤西仁主演映画『BANDAGE バンデイジ』の主題歌を含む2010年1月発表のアルバム。劇中で、赤西が演じるLANDSのヴォーカル・高杉ナツが歌った6曲と、小林武史がこのアルバムのために書き下ろした2曲を収めている。
収録曲
01オリンポス
アルバム『Olympos』のオープニングを飾る軽快なミッド・ナンバー。遊園地のBGMを思わせるファニーな鍵盤が印象的で、“ふたりは夢に逢うんだよ”と歌う浮遊感のあるヴォーカルに誘われて夢の国に迷い込んでしまいそうな錯覚に陥る。
02元気 (ska version)
東京スカパラダイスオーケストラのメンバーが参加したスカ・アレンジ・ヴァージョン。ゆったりとしながらも軽快なリズムの陽気なサウンドが常夏を思わせる心地よい仕上がりだ。“夢の中でも あなたに会いたい”と歌う赤西のヴォーカルがたまらなくセクシー。
03二十歳の戦争
世の中の悲しみも苦しみも自分には届かないと歌う無常観に満ちたミッド・ナンバー。涼しげなトラックに憂いを帯びた歌唱がせつなく響きわたる。“みんな この街で 勝手に動くだけ”とは雑多な都会で生きる若者の気持ちを代弁しているよう。
04勇気
どっしりと構えるドラムが体の芯まで響くミッド・ロック。自分を作り上げることで見失ってしまった本当の心を見つめなおす前向きな内容で、“がんばれよ がんばれよ もっともっとやれる”と自らを奮い立たせるだけでなく、聴き手にも勇気をくれる一曲。
05鼓動
海の中を漂うような浮遊感に満ちたミッド・スロー。愛する人だけを抱きしめ鼓動を合わせていこうと、ふたりだけの世界を描いた甘い内容を儚くもセクシーに歌い上げている。幻想的なサウンドに哀愁あるギターがアクセントになっている。
06BANDAGE
KAT-TUNの赤西仁主演映画『BANDAGE』主題歌。憂いを含んだ抑え目のクールな歌唱のなかに時折聴かせる、ハッとするような力強さをもった伸びやかな歌声が心地よい。音楽の無限の創造性を歌う、ポジティヴな意志を綴ったスタイリッシュな一曲。
07二十歳の戦争-Y's edition-
『Olympos』収録の同名曲の“Y's edition”。加工された機械的なヴォーカルでサビのフレーズをひたすら繰り返す内容で、不穏なサウンドと相まって悲痛の叫びにも聴こえる一曲。後半の哀愁すら感じられるノイジーなギターが胸に刺さる。
08元気 (perfect issue)
青空を想起させるクリアなサウンドの“perfect issue”版。“元気出せよ ほら”と背中を押してくれる応援歌だが、“あなただけそばにいてくれたら それだけでいい”とひたむきな想いも綴っている。ビターな歌唱のなかに芯の強さが感じられる。
09サンキュー
跳ねるリズムと清々しいサウンドが心をウキウキさせる明るいロック・チューン。出逢えた奇跡や生きている奇跡に対してストレートに感謝を綴った温かい内容で、どこか晴れ晴れとしているヴォーカルが見事にマッチした仕上がりだ。