ガイドコメント
2010年2月17日発表の4thアルバム。独特の切れ味を持った詞世界が骨身に沁みる「愛でぬりつぶせ」や、叙情性あふれる「ピアノ」、ロック・チューン「ディグゼロ」といった、テイストの異なるシングル曲などを収録。
収録曲
01FREE STONE
悲しみすらも引き連れて前進しようという、彼ら流のポジティヴなメッセージが詰まったミディアム・チューン。劇的な展開のある曲調ではないものの、躍動感いっぱいのベース・ラインが強力なグルーヴを生み出している。
02風と麦とyeah!yeah!
タイトルはノリが良さそうだが、“今見た? あれ見た? あれなんだ?”という問いかけを筆頭に、意味深な言葉がちりばめられたミステリアスなナンバー。チバのヴォーカルも抑え気味で、ひたひたと恐怖をあおるように言葉を紡いでいく。
03ディグゼロ
ポエトリー・リーディングに近いヴォーカルが最高にクールなナンバー。ブリリアントなギター・サウンドや隙間を生かしたアレンジは、80年代のニューウェイヴ・バンドを思わせる。骨太バンドの彼らが、新機軸をみせた意欲作だ。
04BABY 507
ほぼ全編にわたって同じフレーズを反復するギターやグルーヴィなベースに思わず身を委ねてしまう、ダンス・ミュージックとしても機能しそうな曲。生きていると思い出すためにフラフープを踊ってくれ……といった退廃的な歌詞は、チバの得意とするところだ。
05GILDA
“HAPPY BIRTHDAY GILDA”と歌ってはいるものの、単純明快なバースデイ・ソングとは一線を画すナンバー。難解な言葉がちりばめられた歌詞のなかで、“荒野にさえ 花は咲く”というフレーズが、一服の清涼剤のような輝きを放っている。
06ピアノ
ピンと張り詰めた空気が楽曲全体を覆うミディアム・スロー・ナンバー。季節の移ろいを感じさせるはかなくも繊細な歌詞に、チバの新たな一面を垣間見ることができる。ささやかな希望を運んでくれるような、“春が来たね”というフレーズも印象的。
07ダンスニスタ
“ダンスしようぜ”と高らかに歌い上げる、タイトルに偽りなしのストレートなダンス・ナンバー。黒っぽいフィーリングに満ちたブギのリズムは、どこか初期ミッシェル・ガン・エレファントを彷彿とさせる。
08The Outlaw's Greendays
ノイジーなギターとヘヴィなベースがうなりまくるロック・ナンバー。“ゴミだらけの世の中”とは言いつつも、悲観するなんてまっぴら。そんな世界すらも笑い飛ばすような、テンションの高さが実に痛快だ。
09Hey Johnny
恐らくティーンエイジャーだと思われるJohnnyへ向けての、優しく語りかけるような応援歌。“夢みたいな話しようぜ”というフレーズは、平坦な生活をおくる大人たちの冒険心にも火をつけそうなほど魅力的だ。
10リトル・リル
ドラマティックなギター・ストロークで幕を開けるミディアム・ナンバー。一見、散文的な言葉の連なりのように思える歌詞も、メロディと合わさることで物語性を帯び始めるから不思議。チバの真骨頂ともいえる、乾いた世界観も秀逸だ。
11愛でぬりつぶせ
未来へ向かって自ら道を切り開いていくような、爽快かつ疾走感いっぱいのロック・ナンバー。グチばかりのパンクスたちに啖呵をきる歌詞は、同胞たちへの愛のムチといったところか。間奏のギター・ソロも、明るく感動的だ。
12SUPER SUNSHINE
スローな前半は“終焉”を、アップ・テンポな後半は“始まり”を感じさせる、アルバム『STAR BLOWS』のクロージング・ナンバーにして、新章の幕開けを告げるような一曲。10分を越える長尺曲だが、単調に陥らない細やかなアレンジが効いている。