ミニ・レビュー
おなじみ人気タレント、ベッキーのファースト・アルバム。声量も音程もセンスも十分の堂々たるシンガーぶりで、テクノ・ポップもロックもバラードも歌いこなし、作詞はすべて、作曲も数曲手がける多才ぶりにびっくり。古き良きアイドル・ポップの王道を思わせる充実の仕上がりだ。
ガイドコメント
「心こめて」「好きだから」の2枚のシングルが好評を博したベッキー♪#の、2010年2月リリースの記念すべき1stアルバム。前述のシングルを含め、彼女らしい等身大かつ温もりのあるナンバーが揃っている。
収録曲
01テクノキャット
ライトでリズミカルなシンセ・アレンジが全体をカラフルに彩るテクノ・ポップ。迷いや不安をかかえながらも、自分のなかの“大丈夫”を信じて前へ進んでいく強さを描く。クリアな歌声がピュアな感情とマッチする、本人出演の「眼鏡市場」CMソング。
02好きだから
等身大の恋心を綴ったミディアム・バラード。“君に傷つけられると 君にもぶつけたくなるよ”と、本当は好きなのに素直になれなかった自分を振り返る詞が切ない。シリアスなキーボードや力強いドラムなど、ドラマティックな展開のサビが耳を引く。
03君へ
決して頑張れとは言わず、“大丈夫だよ”と優しく諭す詞が勇気を与えるメッセージ・ソング。フルートやホルンを配したさわやかなサウンドが心地よい。NHK歳末・海外たすけあいイベント“あなたのやさしさを2009”イメージ・ソング。
04心こめて
“ベッキー♪♯”名義では初となるシングル。素直になれた今の気持ちを、別れた恋人に向けて歌う切ないバラード。優しさあふれる繊細なメロディに乗せられる、凛々しさのなかにも温かみのある歌声からは彼女の大人としての魅力が感じられる。
05そらいろ
時を染め、命に優しさを降り注ぎ、私の道を照らす……空について描いた曲。柔らかな歌声や透明感のあるコーラスが、素朴なアコギやさりげないパーカッションによる温かみのあるトラックと見事に溶け合っている。優しい気持ちが伝わる穏やかな仕上がりだ。
06〜The STAR Bridge〜
本人が作詞・作曲を手掛けた、30秒弱のア・カペラの英詞曲。教会の礼拝堂で歌っているようなゴスペル風のコーラスが静かに響き、幻想的な雰囲気を漂わせる。私の心にもあなたの心にも星があるという、希望の光に満ちたナンバーだ。
07WBC
ワガママ・バンザイ・クラブを野球のWBCとかけて応援団風の間奏を取り入れた、遊び心満載のポップ・チューン。勢いあるテンポに乗せ、女の子の願いをキュートに歌う。ノリノリで“バンザイ!”と歌う彼女の明るさに元気をもらえる、カラフルな仕上がりだ。
08手紙
本人の作詞・作曲による、優しさにあふれたバラード。あなたからの手紙に“幸せな涙がゆっくりと光るよ”と素直に感激する様子には、ベッキー自身の純粋さが表われているよう。飾り気のないキーボードの音色が、安心感をもたらせている。
09幸の素
弾むようなリズムの陽気なサウンドが、明るい歌声を引き立てるポップ・ナンバー。君とのデートを想像してルンルン気分になるピュアな女の子を描いた詞がキュートだ。日本テレビ系『情報ライブ ミヤネ屋』エンディング・テーマ。
10ハピハピ
テレビ朝日系アニメ『クレヨンしんちゃん』オープニング・テーマ。タイトルのとおり、聴いただけでハッピーになれるような元気いっぱいのポップ・ナンバー。明るい彼女に似合うウキウキした詞とカラフルなサウンドが、ポジティヴな気分にさせてくれる。
11闇を突きぬけてゆく
寂しげなストリングスとピアノの音色による、芯のある奥深いサウンドが魅力。どんなに困難な状況でも“燃え尽きるその日まで走り続けるよ”と、強い決意を真摯に歌う。普段明るく元気な彼女の、別の一面が垣間見られるようだ。
12時の中に
穏やかで美しいピアノの音色と澄んだ伸びやかな歌声が、優しく胸に沁みるバラード。たくさんの人の笑顔のおかげで生きてこられたんだと綴った詞には、彼女の周りの人に対する感謝の気持ちが素直に表われている。“あたたかな愛”に包まれた一曲だ。