ミニ・レビュー
全15作品中最も地味で深淵な交響曲が、その根底に秘められていた姿を現した。スターリニズムは終焉すれど、ソビエト体制は不動だった69年、名声に溺れることなく内省とその創作活動の継続に精進していた62歳の作曲家の心の叫びに、ロシアの俊英音楽家たちの新鮮な感性が息吹を与えた。★
ガイドコメント
ショスタコーヴィチ後年の、死をテーマとした特異な編成と構成による第14番を、一部ピリオド楽器を使い、ヴィヴラートを抑えた古楽奏法で演奏。新たなショスタコーヴィチ像が浮かび上がる、刺激に満ちた一枚だ。
収録曲
ショスタコーヴィチ:
01交響曲第14番op.135〜ベンジャミン・ブリテンに捧ぐ
演奏
テオドール・クルレンツィス指揮 アンサンブル・ムジカエテルナ ユリア・コルパチェヴァ(S) ペトル・ミグノフ(BR)