ガイドコメント
約1年ぶり、通算5作目となるアルバム。ロックに挑戦した「WHY」、映画『ニュームーン/トワイライト・サーガ』のイメージ・ソング「Destiny」ほか、話題曲が満載だ。
収録曲
01BYE BYE
村山晋一郎制作の16thシングル。ずっとそばにいたいのにサヨナラを告げなきゃいけない別れを歌ったアップで、痛切な思いを吐露するミリヤとは裏腹に軽やかに進んでいくビートとのギャップが切なさを増長させる。平成の恋歌姫の真骨頂だ。
02Last Love
清らかなピアノと麗しいストリングスが織りなすバックに支えられながら、情感をほだしながら歌うミリヤが印象的な17thシングル。誕生日はひとり、クリスマスもひとりなの? と問う、今にも壊れそうな歌唱が胸をえぐる。村山晋一郎制作のミッド・バラード。
03I miss you
DAISHI DANCEらしい流麗な鍵盤を配した4つ打ちハウス・チューン。疾走する清涼なバック・トラックが、“今すぐ会いたい”という感情を加速させるようにサポートする。ミリヤの歌唱も風に乗るように伸びやかだ。
04X.O.X.O.
3rd Productions制作のミディアムR&B。切ない哀愁がにじむスピッツ「ロビンソン」のフレーズを配したトラックをバックに、とめどなくあふれる愛をストレートに歌うラヴ・ソングだ。タイトルは“Kisses and Hugs”の意味。
05HEAVEN
松澤友和制作の5thアルバム・タイトル曲。大切な君との世界=“HEAVEN”へいち早く行きたいと歌うが、自分以上に愛する人を守りたいという普遍的な心の叫びも感じる。ロック的なアプローチのアレンジがほどよく曲の輪郭を形作っている。
06Baby I See You (feat.VERBAL (m-flo))
「青春アミーゴ」制作で知られる周水の楽曲にインスパイアされたという、VERBALを迎えてのミッド。m-floとの客演曲「ONE DAY」風のピースフルな雰囲気だが、“私とあなた以外全部消えちゃえばいい”という悲痛にも似た想いが炸裂。情念がにじむ歌唱だ。
07空
いつまでも同じ空を見ていたいと願う、田中直制作のミディアムR&B。“朝食を作って食べよ”“仕事に遅れちゃうよ”など日常の何気ない風景を切り取りながら、ミリヤがストレートな愛情を臆面もなく語るラヴ・ソングだ。
08WHY
13thシングル「SAYONARAベイベー」の続編といえる、村山晋一郎制作の15thシングル。浮気な男に振り回されながらも“私じゃだめなの?”と訴える懇願ソングで、“どうして”“愛して”と連呼で畳みかけるフックは、切迫を通り越して怖くさえもある。
09FREE
L.B12ことZETTONによる鋭敏なトラックが魅力のミディアムR&B。思わせぶりな態度の彼に右往左往する恋心を吐露しながら、“自由にさせて”と懇願。全般的に切実さ漂う歌唱だが、時折見せるフェイクの凄みに、苛立ちがにじみ出ている。
10Endless Love
m-floの☆Taku Takahashiプロデュースによる4つ打ちハウス。物憂げなストリングスを配すも全体的に☆Takuらしい突き抜ける疾走感が特色のトラックだが、哀愁で満ちるのはミリヤの歌唱の存在感ゆえ。想いが届かないはがゆさを歌う。
11Sweet Angel
結婚行進曲を思わせるフレーズをチラッと口ずさむイントロから多幸感が満ちていく。大切な女友達へ送るウェディング・ソングで、ミリヤも輝かしい瞬間に添えるのにふさわしい瑞々しく優しい歌唱を披露している。MANABOON制作の90年代風ミディアムR&B。
12Destiny
愛の矢で撃たれた直感を信じて、運命の人だけを待ち続ける恋心がテーマ。切なく苦しい心の内を赤裸々に吐露する姿は、悲壮にさえも映る。より心痛を増長するラストのカット・アウトも印象的だ。Jeff Miyahara制作のエレクトロ・ミッド。
13B.F.F.
松澤友和制作の哀切さを漂わせたクラブ・アップ。タイトルは“Best Friend Forever”の略で、友達面して接する相手に“二度と信じない”と決別の啖呵を切る。友の裏切りを嘆くが、業界への皮肉にも聞こえるか。いつになく怒りを携えた歌唱で突き抜ける。
14Don't wanna let go
若さだけで突っ走っていけた時期から年を重ね、自分にとっての幸せとは何かと自問する詞に、現実での葛藤が垣間見える。重圧に押しつぶされそうな心境のなか、思ったまま走り続けると芯の強い歌唱で放つ。BACHLOGIC制作のエレクトロ調ミッド。
15Silent Ocean
3rd Productions制作の、穏やかで麗しい旋律が印象的なミディアム・チューン。終盤へ向けて重なるストリングスが深みを与えながら展開する洗練な佇まいは、Shingo.Sのアレンジの功績大。“私だけの君でいて”と願うラヴ・ソングだ。
16終わりなき哀しみ
ドラム・パターンによる導入が印象的な、村山晋一郎プロデュースによるミッド。努力が報われない日常を危ぶみ、痛みを抱え哀しみに暮れる人へ愛を与えて欲しいというメッセージを、浸透性の高い歌唱で綴っている。ミリヤの精神的成長がみてとれる佳曲だ。