ミニ・レビュー
ジャニーズ事務所の人気アイドル・グループによる9作目のオリジナル・アルバム。テレビ・ドラマ『マイガール』『怪物くん』の主題歌を含む2枚組で、ヴァリエーション豊かなポップ・ソングをさまざまに披露。時代の音を感じさせるクリエーター陣とのコラボレーションに聴きごたえあり。
ガイドコメント
およそ2年4ヵ月ぶりのアルバム。「Everything」「マイガール」「Troublemaker」「Monster」といったシングル曲や、待望の未発表曲「空高く」ほかを収録。これまでにない斬新なサウンドも聴かせてくれる。
収録曲
[Disc 1]
01movin' on
ジリジリとしたファンキーなヴァースから高らかな叫びが響くロック風への展開に心躍る。この時代、世界を変えていくという確固たる想いがあちこちから感じられ、櫻井のラップにも強い意気込みがうかがえる。JAL「感謝を行動に」編CM&「嵐ジェット」テーマ曲。
02マダ上ヲ
ファットなレゲトン調を基調としながら、急峻でアジアンなストリングスやクラブ・エレクトロ風のアレンジによって多国籍色を豊かなものにしている。怖いもの知らずで距離を詰める男女の衝動を妖しく描いた、スリリングでホットなナンバーだ。
03リフレイン
素直になれずにいた二人の過去の日々を想い巡らせる切ないミディアム・ポップ。センチメンタルな旋律とそっと触れるようなやわらかいバック・コーラスが、心の琴線を揺らす。はかない夢を追い続けたロマンティストな男の巡恋歌(回春記)だ。
04Troublemaker
TBS系ドラマ『特上カバチ!!』主題歌となった29thシングル。困難、災難……散々な日々が訪れても図々しいくらい前を向けと励ますアッパーで、“Moving now!”とグイグイと引っ張る活力あるメッセージで奮い立たせてくれる。
05T.A.B.O.O
禁断の恋へのいざないを完全犯罪に見立てた櫻井翔のソロ。エッジの効いたギターやサイレン音、艶やかなサックスが創り出すアダルトな雰囲気のなかで、粋がった男をクールに演出。櫻井の趣向に満ちたハードなナンバーだ。
06サーカス
僕と君との恋の行方を夢の中のサーカスのショウにたとえたラヴ・ソング。光と陰に揺れる秘密の迷路に引き込まれた二人を、なにやら妖しげな夜を想わせるサウンドで描く。セクシーな一面をちらりと見せるニクイ曲だ。
07ギフト
成長していくとともに素直になれずにいた父や母への感謝を綴ったハートウォームなナンバー。いつでも勇気をくれた親の想いは、自分が誰かを守る時に宿る想いへと引き継がれていく……大きな“贈り物”。オルゴール風のアウトロが胸をキュンとさせる。
08Everything
切なくも未来を感じる“赤から青に変わるシグナル”のフックが琴線に触れるポップ・チューン。大げさな演出はないが、それがかえって共感を呼ぶ。“走れ走れ!〜”以降のクライマックスは必殺度満点。au「去年と違う夏。」CM曲となった27thシングル。
09Come back to me
オートチューン仕様で展開する松本潤のソロ・ナンバー。フューチャリスティックなクラブ・エレクトロで、中盤ではレゲエ調になったりとブラック・アイド・ピーズ風の変態ビートが特色。櫻井とはまた違った松本のラップ・パートは新鮮だ。
10マイガール
テレビ朝日系ドラマ『マイガール』主題歌の28thシングル。SMAPあたりから連綿と続くジャニーズならではの甘酸っぱくも温かいキャッチーなメロディに乗せ、大切な人への感謝を伝える。距離が遠ざかり思い出になっても明日へと歩む力を与えてくれる曲だ。
11Magical Song
ユーロビート風ディスコに相葉雅紀がソロでチャレンジ。イタロ系シンセ・サウンド上で展開されるドゥービー・ブラザーズ「ロング・トレイン・ランニング」風ギター・カッティングなどのベタな演出も、親近感ある歌唱に不思議と合う。タイトル同様マジカルな魅力満載。
12let me down
バリトンが際立つサックス陣をはじめとしたホーン・セクションと“ヘーイ”“ホー”と飛び交うコーラスが印象的な、アダルトな色香が漂うファンキー・ポップ。櫻井のどっぷり濃厚なラップも加わって、妖しげな恋の妄想を演出している。
[Disc 2]
01Monster
大野智主演の日本テレビ系ドラマ『怪物くん』主題歌の30thシングル。胸騒ぎを生むスリリングなオーケストラ調サウンドを配したヴァースからキャッチーなサビへの対照的な展開が魅力。“見かけじゃなくて 心を抱いて”は美女と野獣における真理だ。
02Don't stop
今は進み続けるしかない現実に踏み出す勇気をくれる嵐流のエール・ソング。ホーン・セクションが派手やかに舞うファンキー・アップで、グングンと進むドラマティックな旋律が心を快活に弾ませてくれる。ブリッジでのフルートも印象的だ。
03静かな夜に
2010年にもアーバン/R&Bシーンでもてはやされた、シンセを配したキラキラ切な系エレクトロ。哀愁が満ちてゆくサウンドをバックに、別れを告げて追いかけた夢が儚く散った男のやり切れなさを大野智が歌いあげるソロ・ナンバーだ。
04むかえに行くよ
マシコタツロウらしい哀惜と希望がほどよく溶け合った旅情的なサウンドで綴る自分探しソング。あの頃に負けないよう明日の僕を迎えに行くというフレーズは、現状に戸惑いや未来へ不安を抱く人の心に勇気を与える。懐かしさも感じさせる淑やかなポップ・チューン。
051992 4##111
にこやかに歩みを進めるような揚々とした心地よさが魅力の二宮和也のソロ。恥ずかしがり屋の二宮が送る大切な人へのメッセージ・ソングで、タイトルの暗号は携帯電話で打つと“特別”に。さらに、もう一つ伝えたい言葉がラストに隠されているので、聴き逃し厳禁だ。
06空高く
“1・2・3・4・5”とカウントアップするフレーズが爽やかに吹き抜けるファンキー・ポップ。そのフレーズと櫻井のラップが交差するパートも、実に気持ちがいい。希望を胸に空高く行こうと励ます、5人が出演したフジテレビ系ドラマ『最後の約束』主題歌。
07kagero- KAGERヤ -
地平線の先に映る陽炎の揺らめきに自身の思いを込めた、強い意志が伝わるポップ・チューン。“鳴り止まない赤いサイレン”から連なるノスタルジックに響くコーラス・パートが、胸の高鳴りを呼ぶ。大人の色香を添えた演出がニクイ。
08Summer Splash!
The 仙台セピアによる爽快なサマー・グルーヴィ・チューン。ラップ・ヴァースから開放感満載のフックへとなだれ込む、夏ならではの清々しさが嬉しい。この季節だから言える“君は真夏の太陽”のフレーズにノックアウトされること間違いなしだ。