ミニ・レビュー
85歳の巨匠が16年がかりの全集に結びの一筆を加えた。“通俗的なるものからの批判的な距離感とノスタルジーへの埋没の二律背反”が見事に音化された“偉業”だ。セルの往年を想起させる完璧なオケ、文字どおり入魂の歌唱で応じるふたりの歌手、TELDEXによる録音、ライヴの制約を超えた秀逸さだ。★★
ガイドコメント
1995年から始まり、常に新たなマーラー像を提示してきたブーレーズのマーラー交響曲シリーズの最終巻だが、本作はコジェナーとゲアハーヘルによる「角笛」が主役。歌曲は2005年の歌曲集以来となる待望の録音だ。
収録曲
マーラー:
01「子供の不思議な角笛」からの詩による12の歌曲〜番兵の夜の歌/むだな骨折り/不幸のときのなぐさめ/誰がこの歌を作ったのか?/この世の生活/レヴェルゲ/さかなに説教するパドヴァのアントニオ/ラインの小伝説/塔の中の囚人の歌/トランペットが美しくひびくところ/高き知性をたたえて/少年鼓手
02交響曲第10番
演奏
ピエール・ブーレーズ指揮 クリーヴランド管弦楽団 (1)マグダレナ・コジェナー(MS) クリスティアン・ゲアハーヘル(BR)