ガイドコメント
2010年リリースの通算10枚目となるシングル。フジテレビ系ドラマ『GOLD』主題歌「Wildflower」などのオリジナル4曲に加え、1stシングルから9thシングルの12曲を含む全15曲の洋楽カヴァー曲が収録されている。
収録曲
[Disc 1]
01Wildflower
たくましくひたむきな自分に生まれ変わる思いを歌った、フジテレビ系ドラマ『GOLD』主題歌。悲しみや辛さに打ちひしがれない強い意志を、荒野に根を張った花に見立て、真っ向から風を受け止めるような力強い歌唱で綴る。シンプルで推進力を帯びたミディアム・ロックだ。
02タマシイレボリューション
2010年NHK「サッカーテーマ」起用のファンキー・アップ。冒頭のギターから“スタンドアップ!モンスター”と叫ぶフックを経てラストまで、血湧き肉踊る高揚感で一気にスパーク。魂を揺るがす、逆境に打ち勝つための究極のポジティヴ・ナンバーだ。
03Free Planet
シンプルなビートで突き抜けるロックンロール風アップ。闊達に踊るギターや弾むハモンドオルガンなどをバックに、ブレることなく突き進むヴォーカルは爽快そのもの。限界を飛び越えろと喝をくれる、ソニーエリクソンCMタイアップ曲。
04Roll Over The Rainbow
灼熱の季節に恋しようと歌うサマー・パーティ・チューン。鍵盤やギターなどのジョイフルなサウンドに、開放感もグレイド・アップ。アイドル歌謡がネタと思われるフレーズをチラチラと忍び込ませながら、心弾むロックンロールを展開する。
[Disc 2]
01Fooled Around and Fell In Love
フジテレビ系ドラマ『GOLD』挿入歌起用のエルヴィン・ビショップのカヴァーのアコースティック・ヴァージョン。ホーンとギターが映えるミディアム・ロックを、哀愁をたたえた鍵盤中心のしっとりとしたアレンジで聴かせる。もの憂げな歌唱も堂に入ったもの。
02 (You Make Me Feel Like)A Natural Woman
木村多江主演映画『東京島』主題歌となったアレサ・フランクリンのカヴァー。あくまでもヴォーカルに主眼を置いたシンプルなアレンジが好感。さすがにアレサほどの迫力はないが、不純物を削ぎ落としたようなまっすぐな歌唱でズーンと胸に響かせる。
03Hot'N'Nasty
タイトルの“ナスティ”な感覚にふさわしい、やさぐれた歌唱が出色のハンブル・パイのカヴァー。ギター、鍵盤、パーカッションらも越智のヴォーカルに呼応するようにヒートアップ。男に詰問する女の感情が爆発したファンキー・ロックだ。
04 (Please not)One More Time
アル・クーパー制作のロジャー・マッギンのカヴァー。冒頭のカウントアップから軽快なリズムで展開するウエストコースト風ロックだが、詞は“「もう一度」なんて気力はもうないよ”という男のネガティヴな心境を綴る。それには素知らぬふり風の歌唱がかえって楽しい。
05Rhiannon
スティーヴィー・ニックス作曲らしい憂いを携えた旋律が特色のフリートウッド・マックのカヴァー。ほの暗いムードが漂うロック・サウンドのなかで繰り返す“All the same”は、スティーヴィーが乗り移ったような何とも言えないもがきを演出している。
06Honky Tonk Women
ライヴで披露したローリング・ストーンズの代表曲のカヴァー。オーディエンスのクラップとカホンの甲高い音が響くなか、安酒場でラグタイムを演奏する女になりきったかのように心地よく歌っている。メジャー5thシングル「Hi-Five」に収録。
07Bad、Bad Leroy Brown
メジャー5thシングル「Hi-Five」収録の、ジム・クロウチのカヴァーのライヴ・ヴァージョン。シカゴ南部の寂れた街に住むダメ男、リロイ・ブラウンの顛末を綴ったロックンロールで、コミカルな雰囲気に合わせてノリのいい歌唱を披露している。
08Heart Of Gold
ライヴで披露された、「孤独の旅路」として知られる1972年作『ハーヴェスト』収録のニール・ヤングのカヴァー。物憂げなムードを携えながら、フォーキーでシンプルなサウンドを展開。越智はハーモニカでも活躍、乾いた空気に古き良き風情をもたらしている。
09Desperado
多くのアーティストに歌われ、「ならず者」の邦題で知られるイーグルスのカヴァーのライヴ・ヴァージョン。絶望にただ立ちすくみ、虚無感がひしひしと忍び寄る……といった世界観だが、どんなに廃れた状況にも希望は見いだせると説くような歌唱が心を打つ。
10My Brother Jake
メジャー6thシングル「How Do I Survive?」収録の1971年発表のフリーのカヴァー。鍵盤とドラムを軸としたのどかで陽気なリズムと冗長なギターが、快活なブルース・ロックを奏でる。越智の歌唱も伸び伸びとしていて、いかにも心地よさそうだ。
11Rock And Roll Hoochie Koo
リック・デリンジャーの1973年発表曲のカヴァー。モーサム・トーンベンダーの百々和宏、ストレイテナーの日向秀和、元ブランキー・ジェット・シティの中村達也らが参加し、ハードエッジなアレンジで披露。セッションの楽しさが伝わるロックンロールだ。
12Late For The Sky
弦一徹一団をストリングスに招いて奥行きのあるアレンジに仕上げた、蔦谷好位置制作のジャクソン・ブラウンのカヴァー。端麗な鍵盤に寄り添うように、越智も優しくもキリリとした輪郭のある歌唱で応えている。終盤のファルセットも美しい。
13Piece Of My Heart
ライヴでも複数回披露した、越智にとって思い入れの深いジャニス・ジョプリンのカヴァー。2009年の日本武道館公演の音源で、高みへと上り詰める“come on”の連呼が印象的。情熱を吐き出したヴォーカルに、観客も圧倒されたようだ。
14Bitch
女性の蔑称の“ビッチ”をお構いなくワイルド&ホットに歌う越智に負けじと、八橋義幸&昼海幹音のギター陣が掛け合いに参戦。興奮が転移したホーン隊も加わった、トンガったロックンロールだ。ローリング・ストーンズの1971年発表作のカヴァー。
15The Water Is Wide
『Wildflower&Cover Songs』に新録のカーラ・ボノフのカヴァー。アコギとコントラバスのささやかなバックとともに綴られる、たおやかなラヴ・ソング。温もりのあるコーラスに支えられながら、愛を優しく紡ぐ。女性らしさあふれる名カヴァーだ。