ミニ・レビュー
圧倒的な存在感で他を寄せつけないポップ・スター、PiNKの初ベスト盤。世界的ヒット「ゲット・ザ・パーティー・スターテッド」以降しか知らない人は、彼女がベイビーフェイスのレーベルからR&Bでデビューしたことを意外に思うだろう。3曲の新曲でのタフなイメージこそ、彼女が勝ち得たものなのだ。
ガイドコメント
アルバム累計セールスが3000万枚を超えるP!NKの初のベスト・アルバム。「ストゥーピッド・ガールズ」をはじめ代表曲をたっぷりと収録するほか、新曲も2曲収録。彼女の華麗なる軌跡が凝縮された一枚に。
収録曲
01GET THE PARTY STARTED
2001年にシングルとしてリリースされた大ヒット曲。自分の意思を初めてフルに反映できたというアルバム『ミスアンダストゥッド』収録のパワフルなパーティ・チューンだ。ノイジーなヴォーカルも元気いっぱいで楽しい。
02THERE YOU GO
全米チャート7位を記録したデビュー・シングル。デスティニーズ・チャイルドやTLC「ノー・スクラブス」など女性R&Bアクトのヒット曲を手がけたシェイクスピアがプロデュースを担当した、シリアスな別れの歌。セクシーかつ攻撃的なヴォーカルが光っている。
03YOU MAKE ME SICK
所属レーベルの社長だったベイビーフェイスがプロデュースした1stアルバム『キャント・テイク・ミー・ホーム』からの3rdシングルにして、映画『セイブ・ザ・ラストダンス』サントラ収録曲。セクシーな歌詞で行きずりの恋を描いたR&Bナンバーだ。
04DON'T LET ME GET ME
全米8位を記録した、アルバム『ミスアンダストゥッド』からの2枚目のシングル。爽やかなメロディとは裏腹に、「他の誰かの人生を一日だけでも」生きたい、「違う誰かになりたい」と訴えかける情熱的なナンバーだ。
05JUST LIKE A PILL
英国で初のNo.1ヒット(全米8位)を記録した3rdシングル。「ドント・レット・ミー・ゲット・ミー」に続いてダラス・オースティンとのコラボによる楽曲で、失恋して心がボロボロになった女性の気持ちを切ないメロディで綴ったR&Bチューンだ。
06FAMILY PORTRAIT
7歳の時に離婚した両親の争い、そして彼女自身と両親の複雑な関係を赤裸々に綴った、幼少期を回想したナンバー。母をショックで泣かせてしまったというこの曲、アルバム『ミスアンダストゥッド』のなかでも最も生々しく迫ってくる。
07TROUBLE
ティム・アームストロングをパートナーに、オールドスクールなパンクを自己流に表現した『トライ・ディス』からの先行シングル。ブリンク182のトラヴィス・パーカーがドラムを担当した、アッパーなロック・テイストの楽曲だ。
08STUPID GIRLS
ビリー・マンがプロデュースを手がけた2006年発表の『アイム・ノット・デッド』からの先行シングル。セレブを崇拝して自分の個性に誇りを持たない若い女性たちに警告を発した、シリアスなメッセージをユーモアで処理した楽曲だ。
09WHO KNEW
ビリー・マンがプロデュースを手がけた2006年発表の『アイム・ノット・デッド』収録シングル。マックス・マーティンおよびドクター・ルークと初めてコラボレーションした、亡くなった友人を追悼する切ない別れの曲だ。
10U+UR HAND
前シングル「フー・ニュウ」に続いて、マックス・マーティン&ドクター・ルークと組んでレコーディングした、『アイム・ノット・デッド』収録のシングル。。ひとりで夜遊びを楽しもうとしていた女性につきまとうウザい男を一喝する、痛快なナンバーだ。
11DEAR MR.PRESIDENT
ニール・ヤングやデヴィッド・クロスビーらに称賛された、当時のブッシュ大統領に宛てた“公開書簡”といえる楽曲。フォーキーなサウンドに乗せて、戦争、貧困、教育、同性愛者の権利など、米国が抱えるさまざまな問題を指摘して、無策な大統領を批判している。
12SO WHAT
「ダンナとはもう終わりなの」という歌詞からはじまる離婚の歌。とはいえ、サウンドは爽快なロックで、すがすがしさが漂う。2008年リリースのアルバム『ファンハウス』からの1stシングルで、マックス・マーティンがプロデュースを担当している。
13SOBER
ネイト“デンジャ”ヒルズとトニー・カナル(ノー・ダウト)がプロデュースを担当した2008年リリースのアルバム『ファンハウス』からの2ndシングル。“恐怖心を克服し抑制を解くこと”をテーマにした、ダークなトーンのナンバーだ。
14PLEASE DON'T LEAVE ME
2008年リリースのアルバム『ファンハウス』からの3rdシングル。恋愛関係において天邪鬼になりがちで、相手も自分も混乱させてしまう女性の葛藤を描いたラヴ・ソング。切なくも柔らかなメロディが心地よく響く。
15BAD INFLUENCE
投げやりに歌う、枯れた歌声が印象的なパーティ・チューン。2008年リリースのアルバム『ファンハウス』に収録の、お酒にまつわる言葉をメタファーとして引用したユニークなナンバー。コラボレーターは、ビリー&ブッチ・ウォーカー。
16FUNHOUSE
2008年発表のアルバムの表題曲で、アルバムで掘り下げた“怖いけどエキサイティングでクセになる”という人生観を総括。「ひとつの箱が窮屈になったら、それを燃やして新しい箱を手に入れよう」とユニークな表現で、人間の成長について歌っている。
17RAISE YOUR GLASS
2010年リリースのベスト盤『グレイテスト・ヒッツ』のためにレコーディングされたナンバー。負け犬たち=本人を含め多数派の基準からハミでた人々に捧げる、パワフルなダンス・チューンに仕上がっている。
18F**KIN' PERFECT
2010年リリースのベスト盤『グレイテスト・ヒッツ』のためにレコーディングされたナンバー。タイトルにもサビにも放送禁止用語を盛り込んでいるが、サウンドは穏やかで優しい。不完全だからこそ自分が愛おしい、と自他に訴えている。
19HEARTBREAK DOWN
2010年リリースのベスト盤『グレイテスト・ヒッツ』のためにレコーディングされたナンバー。好きな人に夢中になっている自分のことを放送禁止用語を交えながら綴る、パワフルなロック・テイストのラヴ・ソングだ。