ミニ・レビュー
音楽の“特異点”にスポットを当てることで、新たなスタンダードを作っていこうという意志に貫かれた、CD付き書籍の第7作。クラシックの権化とでも言うべきベートーヴェン音楽のサムシングが、グールドとバックハウス、ブーレーズとフルトヴェングラーの異なるスタイルから共有物として浮かび上がる面白さ。その音源を坂本龍一・浅田彰・小沼純一による対談を読みながら味わう愉しさ。シリーズの背景にあるであろう、録音文化が積み上げてきた“音楽アーカイヴ”への敬意と愛情が、これまで以上に明快に感じられる。
ガイドコメント
坂本龍一総合監修のジャンルを超えたCDブックの音楽全集第7巻はベートーヴェン。ベートーヴェンとは何者か。ベートーヴェンの何がどう凄いのかを、本と演奏とで解き明かしてゆく。示唆に富んだ刺激的な1作だ。
収録曲
ベートーヴェン:
01ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調op.2-1〜第1楽章 アレグロ
02ピアノ・ソナタ第21番ハ長調op.53「ワルトシュタイン」〜第1楽章 アレグロ・コンブリオ
03交響曲第5番ハ短調op.67「運命」〜第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ
04交響曲第7番イ長調op.92〜第2楽章 アレグレット
05ピアノ・ソナタ第30番ホ長調op.109〜第1楽章 ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ
06交響曲第9番ニ短調op.125「合唱」〜第4楽章 プレスト〜アレグロ・アッサイ〜アンダンテ・マエストーソ
07弦楽四重奏曲第15番イ短調op.132〜第3楽章 モルト・アダージョ (病癒えた者の神に対する聖なる感謝の歌。リディア旋法による)
仕様
特殊パッケージ仕様 (豪華ハードカバーブック仕様)
演奏
(1)グレン・グールド(P) (2)ヴィルヘルム・バックハウス(P) (3)ピエール・ブーレーズ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 (4)ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (5)ヴァレリー・アファナシエフ(P) (6)ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団 エリザベト・シュヴァルツコップ(S) エリザベート・ヘンゲン(A) ハンス・ホップ(T) オットー・エーデルマン(BS) (7)アルバン・ベルク四重奏団