ミニ・レビュー
2009年のグラミー賞で“最優秀新人賞”他を受賞したロンドン出身の女性自作自演歌手による約3年ぶりの2作目で、リック・ルービン他が制作を担当。ディープな歌声はさらに深みを増し、カントリーやゴスペルの要素も取り入れたアーシーな楽曲と相まって、前作以上の手応えを与えてくれる。
ガイドコメント
デビュー作でグラミー賞2冠に輝いたシンガー・ソングライター、アデルの約3年ぶりとなる2ndアルバム。本作のプロデュースはリック・ルービンが担当し、ややハスキーながらふくよかな彼女の歌声を感動的にまとめあげる。
収録曲
01ROLLING IN THE DEEP
アデルの制作時の自身の年齢を冠した約3年ぶりとなる2ndアルバム『21』のオープニング・ナンバー。“きっと出会わなければよかったと思うことになるわよ”と繰り返す、悲しい恋の歌。ハスキーで豊満な歌声が胸に迫る。
02RUMOR HAS IT
“そんな噂を耳にしたわ”“噂”(=Rumour)と繰り返す、三角関係が発覚したドロドロの歌詞に、憂いを帯びたR&Bサウンドを組み合わせたラヴ・ソング。ゴージャスなヴォーカルとグルーヴィなコーラスは、“これが私!”と堂々とした態度が潔い。
03TURNING TABLES
憂いを帯びた、たゆたうようなピアノの音色が流れるバラード・ナンバー。壊れてしまった関係の男女の、失われた信頼関係を綴った悲しい歌詞だが、一人で立ち上がろうとする女性の自立の歌でもある。時折シャウトする歌声にもその決意が表われている。
04DON'T YOU REMEMBER
穏やかなカントリー調のギター・サウンドが心地よいスロー・ナンバーだが、歌詞は愛している人の心をなんとか繋ぎとめようとする女性の気持ちを綴った切ない内容。情感を込めたハスキーなヴォーカルが切々と迫ってくる。
05SET FIRE TO THE RAIN
関係が終わってしまった恋人への未練を綴ったドラマティックなバラード。“あなたと私で一緒にいられれば それ以上のことなんて何もない”など、まだまだ好きな気持ちを抱えている情熱的な歌詞と情感を込めたヴォーカルが相まって、とてつもなく切ない。
06HE WONT GO
アルバム『21』収録のナンバー。自らの制作時の年齢を冠した、その時の気持ちが詰まったアルバムのテーマに沿った“別れた恋人への未練”を綴っている。流麗なR&Bサウンドが切ない思いを美しく昇華させている。
07TAKE IT ALL
去っていく恋人へ“私が変わらなきゃいけないのなら変わるわ”“私 ちゃんと合わせるから”とすがる女性の痛々しいまでの気持ちを描いたバラード。穏やかなメロディを紡ぐ歌声は大らかで優しく、切々とした歌詞がよりいっそう際立つ。
08I'LL BE WAITING
カントリー風の軽快なR&Bサウンドと伸びやかですべてを包み込むようなヴォーカルが心地よいナンバー。とはいえ、綴られているのは破れてしまった恋の歌。“もっとあなたのためになるように”で結ばれた歌詞は、失恋しながらも前向きだ。
09ONE AND ONLY
穏やかなメロディのゆったりとしたバラード。“私をあなたのたった一人の相手にして欲しいの”“あなたの心を手に入れるのを諦めるなんて容易じゃないわ”など、熱い気持ちを綴った歌詞を色香たっぷりのヴォーカルで披露している。
10LOVESONG
憂いを帯びたメロディと淋し気なアコースティック・ギターの音色が響くR&Bナンバー。“どれだけ遠くにいても 私はずっとあなたを愛してるわ”と永遠の愛を誓う、健気な女性の気持ちを描いた歌詞と柔らかなヴォーカルは、そっと聴き手に寄り添うようだ。
11SOMEONE LIKE YOU
“あなたが身を固めたって聞いたのよ”で始まる、長年“女子をやってきた”人間にならわかる“元カレあるある”な歌詞はリアリティに満ちている。ほとんどピアノのみのシンプルな演奏と伸びやかで大らかなヴォーカルがみごとにマッチしたバラードだ。
12I FOUND A BOY
制作時の自身の年齢を冠した約3年ぶりとなる2ndアルバム『21』の日本盤ボーナス・トラック。ギターとヴォーカルのみのシンプルな構成による、“少年を見つけたの”語るしっとりとしたカントリー調のバラードだ。
13TURNING TABLES
約3年ぶりとなる2ndアルバム収録の悲しいバラード「ターニング・テーブルズ」のアコースティック・ライヴ・ヴァージョン。音数の少ない演奏なので、彼女のダイナミックかつ伸びやかなヴォーカルが引き立っている。
14DON'T YOU REMEMBER
2ndアルバム収録の穏やかなスロー・ナンバー「ドント・ユー・リメンバー」のアコースティック・ライヴ・ヴァージョン。原曲よりややテンポ遅めで、ギターのみのシンプルな演奏だ。気だるそうに聴こえるヴォーカルも味わい深い。
15SOMEONE LIKE YOU
約3年ぶりとなる2ndアルバム収録の元カレのことを綴ったバラード「サムワン・ライク・ユー」のアコースティック・ライヴ・ヴァージョン。原曲より控えめで静かなピアノの演奏と呼応するように、ヴォーカルもしっとりと仕上げている。