ミニ・レビュー
10枚目のフル・アルバムとなる本作は、どこを切っても見事なテンション・アップ&ネヴァー・ギヴ・アップな作品。北川のベースや岩沢のハイパート・ヴォーカルはもちろん、二人が作り上げるアグレッシヴかつヒーリングなメロディの素晴らしさ! すべてが揃って、いつだって負け知らずな“ゆずサウンド”がここに。
ガイドコメント
二人のやさしく力強いハーモニー、重なり合う二本のアコースティック・ギターの旋律が絶妙にマッチした2011年2月発表のアルバム。シングル曲「桜会」「マイライフ」「慈愛への旅路」「from」「Hey 和」などを収録。
収録曲
01Overture 2-NI
10枚目のオリジナル・アルバム『2-NI-』のオープニングを飾るインストゥルメンタル。アコギのアルペジオを中心に、朝を告げる暖かな光のように優しいサウンドで展開していく。アルバムの冒頭にふさわしい、希望に満ちた楽曲だ。
02HAMO
岩沢、北川の美しい“ハモ”で幕を開ける、ややシリアスなポップ・チューン。“地球”“宇宙”“神様”といったフレーズを織り交ぜながら、“一人じゃ誰も生きられない”とスケールの大きなサウンドに乗せて歌う。二人の息の合ったハーモニーが心地よい。
03桜会 (さくらえ) (Album Version)
民族楽器を印象的に配した30枚目のシングル。あなたを想う気持ちを桜にたとえ、“何度でも 咲き続けるよ”と優しく歌いあげる。“桜”をテーマにしながらも、行進曲のようなドラムや民族楽器などでの無国籍なイメージがユニーク。
04from
岩沢が作詞作曲を手がけた32thシングル。愛しい君に向けて、二人でともに歩んでいく喜びを綴ったミディアム・バラードだ。共同プロデュースに迎えた蔦谷好位置ならではの、ストリングスを効果的に使った温かみのあるサウンドに、二人の歌声が映える。
05彼方
ピアノとコーラス・ワークで幻想的な雰囲気を作りあげるポップ・チューン。ハモりながらラップのように言葉を紡ぐ歌唱法や広がりあるサウンドは、ともにゆずの新境地といえる仕上がり。JR西日本『山陽・九州新幹線』CMソング。
06蜃気楼
アコースティック・ギターのハーモニクス奏法を印象的に用いた、1分半ほどの小品。二人の美しいコーラス・ワークを前面に押し出し、ゆらゆらとした“蜃気楼”のように繊細でドリーミーなサウンドを作り上げている。
07慈愛への旅路 (Album Mix)
走り出すような軽快なイントロで幕を開ける31枚目のシングル。ドラマティックなサウンドで“もう一度 君に逢いに行く”と真っ直ぐな想いを綴るラヴ・ソングながら、自分の信じた道を歩くんだという決意のようにも取れる歌詞が感動的。
081か8
ゆずの二人の遊び心がたっぷりと詰まったロック・チューン。攻撃的なギターのリフにリズム感あふれる言葉をマシンガンのように重ねていく。“4の5の言う前に いちかばちか 1か8か”と、言葉遊びを交えつつ背中を押してくれる歌詞が楽しい。
09代官山リフレイン
アイリッシュ・フルートやヴァイオリンによる味付けが映えるポップ・チューン。代官山を歩く若者たちに昔の自分たちを重ね、もう戻れない時間を噛みしめながら前向きに生きようと綴る。感傷的な歌詞とケルト風味のサウンドの対比が新鮮。
10Interlude〜The fevers ある日の風景〜
10thオリジナル・アルバム『2-NI-』に収録のインタールード。次曲となる「第九のベンさん」のフリ的な内容で、岩沢と北川の二人が大工に扮して“第9”ことベートーヴェン「交響曲第9番」についてかけ合いをしていく。
11第九のベンさん
ゆずとTRICERATOPSのコラボレーション・バンド“The fevers”名義でのシングル。ベートーヴェン「交響曲第9番」をモチーフにしたバカバカしいほどにストレートなロックンロール・ナンバーで、涙を拭いて前を向こうと歌う応援ソングだ。
12マイライフ
ダスキン企業CMソングに起用の30thシングル。“君が笑ったから笑顔になれたんだ”と、大切な人への感謝の気持ちを鮮やかなサウンドに乗せて歌い上げる。ピアノによる爽やかなイントロから岩沢の伸びやかな歌声へと流れ込む展開が美しい。
13Interlude〜影法師〜
10thオリジナル・アルバム『2-NI-』に収録のインタールード。時計が針を刻む音を中心に、まるで昔へと戻っていくような郷愁を感じさせる音世界を構築。親との思い出を歌う「背中」へとうまくバトンを渡している。
14背中
弾き語りスタイルの静かな導入から、ピアノやストリングスを配したラストへと向かう展開が感動的なバラード。小さくなってしまった親の“背中”に気付き、反発しあった過去を思い返しながら“あなたのもとに生まれてこれてありがとう”と綴る歌詞も涙を誘う。
15Hey和 (Album Version)
日本赤十字社「はたちの献血」キャンペーンソング起用の33枚目のシングル。さまざまなことが起こる世界で“君の為に何が出来るだろう”と綴り、歌を通じて想いを伝える彼らの使命感を感じさせる。ゴスペル調のコーラスが壮大な歌詞をいっそう引き立てる。