ミニ・レビュー
モーツァルトとその同時代の作曲家たちのオペラ・アリア、しかもよく知られた名歌というよりは、登場人物の心情の揺れや葛藤を映す性格的な曲を集めた、気鋭の若手ならではのアルバム。華はやはりその声。さらりと澄明でありながら切り立つ鋭さも艶気も孕んで抒情に留まらない。知情優れた秀盤。
ガイドコメント
2006年のザルツブルク音楽祭で一躍注目を浴びたソプラノ歌手エルトマンによる、ドイツ・グラモフォンからのソロ・デビュー・アルバム。モーツァルトとその周辺の作曲家も取り上げた一枚で珍しいアリアもあり、エルトマンの意欲が伝わってくる秀作だ。
収録曲
01歌劇「ツァイーデ」〜虎よ!爪を研げ (モーツァルト)
02歌劇「ダナオスの娘たち」〜あなたの娘が、震えながら (サリエーリ)
03歌劇「イドメネオ」〜私の悲惨なこの運命はいつ終わるのだろう? (モーツァルト)
04歌劇「イドメネオ」〜父よ、兄よ、さようなら! (モーツァルト)
05歌劇「ツァイーデ」〜安らかな眠りを、いとしい方よ (モーツァルト)
06歌劇「ドン・ジョヴァンニ」〜でも私が悪いんじゃないわ (モーツァルト)
07歌劇「ドン・ジョヴァンニ」〜ぶってよ、ぶってよ、私のマゼット (モーツァルト)
08歌劇「ニーナ、または恋に狂った女」〜いとしいあの方が (パイジエッロ)
09歌劇「フィガロの結婚」〜やっと待ってた時が来た (モーツァルト)
10歌劇「フィガロの結婚」〜さあ早く来て、いとしい人よ (モーツァルト)
11歌劇「ギュンター・フォン・シュヴァルツブルク」〜それはわかっていました (ホルツバウアー)
12歌劇「ギュンター・フォン・シュヴァルツブルク」〜バラ色の時よ (ホルツバウアー)
13歌劇「ドン・ジョヴァンニ」〜ねえ、あなた、おとなしくしていたら (モーツァルト)
14歌劇「ガリアのアマディス」〜誰に頼れば良いのか (J.C.バッハ)
15歌劇「魔笛」〜ああ、私には判る、すべては消え (モーツァルト)
16歌劇「ダナオスの娘たち」〜残酷なお父様、私の命を奪ってください! (サリエーリ)
17歌劇「イドメネオ」〜たとえ父を失い (モーツァルト)
18歌劇「ギュンター・フォン・シュヴァルツブルク」〜峡谷よ、吼えよ (ホルツバウアー)
演奏
モイツァ・エルトマン(S) アンドレーア・マルコン指揮 ラ・チェトラ・バロックオーケストラ・バーゼル