ミニ・レビュー
『オリコン』週間アルバム・チャート1位の最年長記録保持者らしい貫禄たっぷりで濃密な6年ぶりのオリジナル作。全10曲中8曲がドラマや映画主題歌などのタイアップというのもすさまじく、いずれもフックの利いたメロディを持っているのはさすが。アレンジも精密で安心して聴けます。
ガイドコメント
オリジナルとしては『そうかな〜相対性の彼方〜』以来約6年ぶりとなる、2011年4月20日発表のアルバム。「今日も どこかで」「さよならは 言わない」「グッバイ」のシングルや映画、CMタイアップなど、話題の楽曲がズラリとそろった超充実作だ。
収録曲
01君のこと
穏やかなアコースティック・ギターのアルペジオが印象的なミディアム・チューン。“僕らと呼べる君”への想いを綴る歌詞は思わせぶりな内容だ。極力抑えられた弾き語りのようなサウンドにより、小田の優しい歌声がじんわりと胸に沁みる。
02グッバイ
TBS系ドラマ日曜劇場『獣医ドリトル』主題歌起用のシングル。パーカッションとアコギによるイントロから徐々に盛り上がりを見せるドラマティックなポップ・チューンだ。佐藤竹善と大橋卓弥参加のコーラスが良いアクセントになっている。
03若葉のひと
ピアノを中心にストリングスやギターのアンサンブルが美しいミディアム・バラード。“何度も 何度も 君に恋をする”と初々しい片思いの恋模様を綴る。メインとは別の旋律となるコーラスで曲に広がりを持たせる、小田和正ならではの妙技が秀逸。
04hello hello
ストリングスとハープの温かい音色が心地よいミディアム・バラード。明日になればいくつもの夢が待っているから元気を出して、と一言ずつ語りかけるような歌唱で優しく包み込む。映画『ロック〜わんこの島〜』主題歌。
05誰れも どんなことも
流れゆく時間を歌ったシリアスなミッド。“いいことも悪いことも”つかの間の出来事だ、と綴る姿はどこか哀愁を感じさせる。決して音数は多くないものの、隙のないアンサンブルで分厚さを感じさせるアレンジが見事。
06こたえ
“どうして こんなに 切ないんだろう”のフレーズが印象的な、映画『ジーン・ワルツ』主題歌として書き下ろされたミディアム・バラード。小田の澄んだ歌声と根本要(スターダスト・レビュー)、松たか子ら参加のコーラスで豊かな表情を与えている。
07やさしい雨
TBS系ドキュメンタリー番組『夢の扉+』テーマ曲起用のポップ・チューン。力強く爽やかなサウンドに伸びやかな歌声がピッタリの、小田の真骨頂ともいえる楽曲だ。君の心の中に“やさしい雨”が降るように願う、と大切な人への想いを綴る。
08さよならは 言わない
ピアノを中心にストリングスやオーボエの優しい音色でドリーミーなサウンドを作り上げる27thシングル。離れてしまった君との思い出を振り返りながらも、“さよならは 言わない”と綴る歌詞が感動的。フジテレビ系ドラマ『トライアングル』主題歌。
09今日も どこかで
フジテレビ系『めざましテレビ』2008年度テーマ・ソング起用の、朝にピッタリの爽やかな26thシングル。“誰かがいつも君のこと想ってる”と、かけがえのない人との大切なつながりを描く。ラストの合唱が深く胸に沁みる。
10東京の空
フジテレビ系ドラマ『それでも、生きていく』主題歌起用のバラード。ピアノの弾き語りスタイルによるシンプルなサウンドが小田の澄んだ声をより際立たせている。自分の生きてきた道を振り返りながら、いちばん大切なものは今も君の笑顔だと優しく歌い上げる。