ミニ・レビュー
「イタリア歌曲集」は、リートの緻密さとオペラのダイナミズムをともに備え、男女の恋愛の機微をわずか1〜2分に凝縮した小宇宙の連なりだ。明朗な声で繊細に色彩豊かに綴っていく二人の独唱、巧みな情景描写を繰り広げるピアノ、すべてが聴きもの。★
収録曲
ヴォルフ:〈イタリア歌曲集〉
01小さなものでもわたしたちをうっとりさせるようなものがあるわ
02うわさによると、遠いところへ旅立たれるそうですね
03あなたはこの世のだれよりも美しい
04祝福あれ、この世を創られた方に
05目がみえない人たちはいいなあ
06だれがあなたを呼んだの、だれがそうしろと言ったの
07月は言うに言われぬ苦しみを口に出し
08さあ、もう仲直りしようよ、いとしいひと
09おまえの魅力のすべてがあますところなく描き出され
10あなたはほそおい一本の糸で私を釣り上げ
11どんなに長い間わたしは待ち望んでいたことでしょう
12いけませんわ、若いお方、そんな風になさったりしては
13いい気なもんだね、きれいな娘さん
14おい兄弟よ、ひとつ世を捨てて坊主にでもなるか
15わたしのいいひとはとても小さくて、腰も屈めずに
16戦地におでかけの若い兵士さんたち
17おまえの恋人に焦がれ死ぬような思いをさせたいなら
18さあブロンドのおつむをあげて、眠ってはだめだよ
19わたしたちふたりは長い間むっつり黙りこんでいました
20わたしのいいひとが月あかりのうちの前でうたっている
21うわさではあなたのお母さんが反対だっていうことね
22セレナーデを奏でるためにわたしはやってきました
23どんな歌をおまえにうたってあげたらいいのだろう
24わたしはもう乾いたパンを食べることはないでしょう
25わたしの恋人がわたしを食事に招んでくれたの
26いろんなひとがわたしに話してくれたことによると
27やっとのことで疲れた体をベッドに横たえたと思ったら
28わたしが貴族の出でもないくせになんて言うのね
29やんごとないあなたの御身分のことはよくわかっていますわ
30あんなもったいぶった女は、好きなようにさせておくさ
31どうしてわたしが陽気に笑ったりしていられましょう
32なにをそんなにかっかと怒っているの、いとしいひと
33ぼくが死んだら、体を花でいっぱいに覆っておくれ
34あなたが朝早く寝床から起きだすと
35あなたの亡くなったお母さんに幸あらんことを
36もしあなたが天国に召されるようなことがあれば、いとしいひと
37きみを愛するあまり、ずいぶんと時間を無駄にしてしまった
38きみがぼくをちらりと見て、そしてくすくす笑い
39すてきだわみどり色って、またその服を着ているひとも!
40いとしいひと、わたしがあなたの家のまえを通るとき
41きのうの晩、ぼくが真夜中ごろ目を覚ましたとき
42もうこれ以上うたいつづけられない、だって風が
43ちょっと黙ったらどう、しつこいおしゃべり屋さん!
44ああ、おまえは知っているか、ぼくはおまえのために
45奈落があのひとの住む小屋を呑みこむがいい
46ペンナにわたしのいいひとがいるの
演奏
クリスティアン・ゲルハーヘル(BR) モイツァ・エルトマン(S) ゲロルト・フーバー(P)