ミニ・レビュー
カナダ出身の人気エモ/スクリーモ系バンドの4作目。プロデューサーにブライアン・ハウズ(パドル・オブ・マッド他)を迎え、お得意のわかりやすいポップ・パンクを軸に正攻法で攻めている印象だ。ウィーザーのリヴァース・クオモが参加したシングル「キャント・キープ・マイ・ハンズ・オフ・ユー」他、ゲストも多数。
ガイドコメント
パワフル&ポップなサウンドで人気のシンプル・プランの約3年ぶり4枚目のアルバム。キャッチーなパンク・ナンバーから一緒に唱えるバラード・ナンバーまで、またもライヴ映えしそうな楽曲が満載だ。
収録曲
01YOU SUCK AT LOVE
カラっとしたサウンドが爽快なポップ・パンク・ナンバー。運命の人だと思って始まった恋だったけど、浮気ばかりの君にはもうウンザリ……と別れを突きつける。エネルギッシュなビートで突き進みながら、不意打ちのように終わるラストがユニーク。
02CAN'T KEEP MY HANDS OFF YOU
ウィーザーのヴォーカリスト、リヴァース・クオモをゲストに迎えてのパンク・チューン。ポップなギター・リフにハイテンポなビート、思わず口ずさみたくなるようなコーラスなど、世界中のキッズたちがウズウズするナンバーだ。
03JET LAG
2004年に彗星のように現れたロンドン生まれのヴォーカリスト、ナターシャ・ベディングフィールドをフィーチャーしてのスケールの大きなロック・ナンバー。ピエールとの相性も抜群で、辛い遠距離恋愛を歌い上げる。
04ASTRONAUT
アコースティック・ギターによるイントロで幕を開ける切なげなミディアム・バラード。“アストロノート=宇宙飛行士”のように孤独な自分には、君しかいないんだと切実に歌う。絶妙なコーラス・ワークとアンサンブルが悲哀を増幅させている。
05LOSER OF THE YEAR
レゲエのテイストを感じさせる意外なイントロもつかの間、一気に弾けるポップ・パンク・ナンバー。“お前がここいいないと俺はルーザー・オブ・ジ・イヤーなんだ”とストレートすぎるほどに正直に訴える姿は、もはや男らしい。
06ANYWHERE ELSE BUT HERE
シンセサイザーを効果的に使って、エレクトロ・ポップのようなテイストも感じさせるミディアム・バラード。繰り返しの毎日はうんざりだから、ここにはもういられないんだと歌う。チャックならではのずっしりとしたドラミングが魅力的。
07FREAKING ME OUT
盟友オール・タイム・ロウのフロントマン、アレックス・ガスカースを客演として迎えての緊張感のあるロック・チューン。嫌悪していたはずの“薄っぺらいもの”になってしまった仲間への失望と恐怖を歌う。心情をうまく表現したサウンドメイクが肝。
08SUMMER PARADISE
トロントを拠点に活動するソマリア出身のラッパー、ケイナーンをフィーチャーしたナンバー。アコースティックなレゲエ・チューンというアプローチが新鮮に響く。シンプル・プランの懐の深さを感じさせる好コラボだ。
09GONE TOO SOON
壮大に広がるサウンドをバックに、伸びやかに響きわたるピエールのヴォーカルが感動的なミディアム・バラード。人生を変えてくれた君との早すぎる別れを惜しみつつ、その思い出を胸に前向きに生きていこうと決意するさまを描く。
10LAST ONE STANDING
ハードなテイストでグイグイと攻めるロック・チューン。諦めないものだけが最後まで立っていられるのだから目を覚まして戦い続けろと、突き放しつつも力強く背中を押してくれる。ハードロック調のリフやコーラスがいいアクセント。
11THIS SONG SAVED MY LIFE
アコースティック・ギターのアルペジオで幕を開けるスケールの大きなロック・ナンバー。エフェクトを効かせた細やかなギターのフレーズがサビに広がりを持たせている。ファンのメッセージをもとに、自分を見失っていたときにこの歌が救ってくれたと力強く歌う。
12JET LAG
ナターシャ・ベディングフィールドを迎えて録音されたナンバーのボーナス・トラック・ヴァージョン。カナダのファッション・リーダーであるマリー・メイをフィーチャーしている。少し柔らかなヴォーカルが心地よい。
13NEVER SHOULD HAVE LET YOU GO
かき鳴らすギターとピアノが感動的な空気を作り出すミッド・チューン。君を手放してしまったことを悔い、時間の戻し方がわかればいいのにと歌う。静と動を見事に使い分け、ラストにもうひとつ展開を作り上げるアレンジが秀逸。
14LOSER OF THE YEAR
“お前がここいいないと俺はルーザー・オブ・ジ・イヤーなんだ”と歌うポップ・パンク・ナンバーのアコースティック・ヴァージョン。原曲とは180度違ったアレンジになったことで、彼らのソング・ライティング能力の高さを改めて認識させてくれる。